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ARゲームに挑む我侭姫とプレイヤーたち(旧タイトル:不正破壊者の我侭姫) 作者:桜崎あかり

ステージ2

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エピソード32-3


 午前11時、ある勢力が予想外の行動に出た。何と青騎士のダミーを複数展開し、ARゲームを荒らしまわるという行動――強行手段である。
彼らはARゲームならば何でも――と言う訳ではない。ARFPSやARTPS、AR対戦格闘等の不正等が比較的に分かりづらい物を優先していた。
何故、この勢力が慌ててボロを出すような行動を取る事になったのか――それはコミュニケーションツールを封じられた事が理由である。
つまり、つぶやきサイトを初めとしたSNSが草加市内だけで切断状態になったのは、この勢力を一斉排除する事が目的らしい。
ARリズムゲームやテーブルゲーム等を狙わなかったのは、そこだけSNSを利用した不正が禁止されていたのが理由だろう。
FPSやTPS等のようなジャンルであれば、チャットツール等を使うのはごく当たり前であり――相当なボロを出さない限りは不正と言われる事はない。
「一体誰が――このような真似をしたのか」
 アンテナショップの店内にいても有力情報が得られない事を悟ったデンドロビウムは、アーケードリバースの展開されているフィールドへと向かう。
「しかし、正規品の特定ガジェットで挙動が――という放送が流れていたのは、関連性があるのか?」
 デンドロビウムは放送の内容が気になりつつも、バトルが行われているとセンターモニターで確認出来た場所へと急ぐ。
その対戦カードは、明らかに――誰かが仕組んだという物に見えたのだろう。 


 午前11時15分、デンドロビウムが該当フィールドへ向かっている中で――ある人物がそれに便乗して次々と青騎士を倒していたのである。
それが言わずと知れた北条高雄ほうじょう・たかおだったのは――不幸中の幸いと言うべきなのか、それとも最悪の展開と言うべきか?
「よりによって、高雄が来たのか」
「これは最悪の展開だ――」
「こちらの武装で、奴に勝てるわけが――」
 ある発言を聞き、無言で急接近してきた高雄もさすがに――呆れていた。
青騎士が使用している武器、それは一種のチートと言われても文句のいえないような不正ガジェット群である。
彼らがどういった理由で高雄に勝てないと言ったのは不明だが――慢心だとしたら、ある意味でも『負けフラグ』と明言出来るだろう。
「チートガジェットを持ち込んでおいて、余裕の発言を――!」
 北条がハンドガンで次々と青騎士を無力化していくのだが、途中でガジェットの挙動に違和感を感じ始めた。
一体、何が起ころうとしているのか――。
「誰がチートだと言うのか? ゲームでは強いプレイヤーが勝つのは当然の摂理だ」
「それを不正している貴様たちが言うのか!?」
「どんな手段を使おうと、ゲームに弱者は不要だろう? 違うのか――北条高雄」
「言う事を欠いて、お前達がゲームの何たるかを語るのか!」
 青騎士のひとりと高雄の対立は続く。青騎士の狙いは高雄だと言う事が、これで明らかになったと言ってもいい。
その一方で、別のプレイヤーが目的を達成した事で青騎士側が敗北をする。
これには連携が取れていないという原因があるのだろう。車両の輸送が目的のバトルでも、連携はバラバラと言ってもいい。
その為か――青騎士と他のプレイヤーは全く関係ない、そう高雄は判断している。
「このバトルでは、こちらが圧倒的に不利か。若干の予定を変えるしか方法はないのか――」
 青騎士のひとりは、この捨て台詞と共に撤退した。厳密にはログアウトしたのだが――そんな事は高雄にはどうでもよかったのだろう。
何とかゲームバランスを揺るがしかねないような人間を排除できたのは、彼女にとっても大きかったからだ。
「チートはバランスブレイカーとは違う――あれは、悪魔の力だ」
 何かのワードを言おうとするのだが、その例えがネット炎上を生み出すと脳内で判断した高雄が別の言葉でつぶやく。
彼女は一定のバランスブレイカーであれば許容するような姿勢を取っていた。
全てのゲームが神運営だとすれば、明らかに何かの異変を感じるレベル――そう考えていたのである。


 3度程のバトルが終わり、何とか高雄の勝利で進んでいた中で――その事件は起きた。
5度目のバトルを始めようとした矢先、相手は青騎士だったのだが――。
「ガジェットの機能が――止まったのか?」
 高雄のARアーマーは機能を停止していないが、ARウェポンの方は完全に機能が停止していた。
その原因は分からないのだが、周囲のフィールドがおかしくなっていることと関連性があるのだろうか?
しかし、青騎士のガジェットは機能を停止していない。チートガジェットの方が機能停止になるのが挙動としては正しいはずなのに――。
「北条高雄――今度こそ、終わりだ!」
 青騎士がロングソードを高雄に対して振り下ろし、高雄も回避をしようにも防ぐ手段がない状況だった。
その時、別の青騎士が後ろの方で倒れるような音がしたのである。一体、これはどういう事か?
「なん――だと――!?」
 ロングソードを振りおろそうとした青騎士の一人は、音に反応するかのように背後を振り向いた。
そこにいたのは――どう転んでも青騎士と同じカラーリングのARアーマーを装着した人物である。
「どうやら、マッチング相手を確認しなかったのが裏目に出たようだな!」
 しばらくすると、そこにいた青騎士のカラーリングは全く別の色へと変化した。
彼の持っている剣を踏まえると、その人物が青騎士のメンバーでないのは明らかだったのである。
「貴様は――ペンドラゴン!」
 ロングソードの青騎士は、すぐさまにペンドラゴンのいる方へと走り出した。
まるで、高雄の方は眼中にないような――と言うよりも、ターゲットを変えたと言うべきか?
青騎士がロングソードをやり投げのように――高速で飛ばす。その速度は投げナイフと互角と言うべきかもしれない。
「お前達のようなプレイヤーを――許しておくような状況じゃなくなった。チートプレイヤーは、ゲームバランスを大きく崩す」
 ロングソードをあっさりと弾き飛ばし、両手でエクスカリバーを構えるペンドラゴンの目には――迷いはなかった。
「ゲームバランスなど――勝つ為に必要なものではないだろう? ゲームには勝者と敗者だけがいればいい。その為にルールが必要なのか?」
 青騎士の方はペンドラゴンを揺さぶろうと精神攻撃を仕掛ける。カードゲームアニメではよくつかわれるような精神攻撃を――彼は平然と使ってきた。
「どんな競技にでもルールが存在する。そして、それが守られることを前提としたバランスが存在し――名場面が生まれる!」
 ペンドラゴンの方はエクスカリバーを下す事はしない。
こちらへと向かってくる青騎士を真っ二つにしようと言う勢いで、タイミングを待っていたのである。
「戦争やデスゲームにルールなんてものはない! 要するに――勝てば全ての栄光を得られるのだ!」
 ペンドラゴンの背後から、ステルス迷彩で隠れていたと思われる青騎士がビームサーベルでペンドラゴンを切りつける。
これには対応する事が出来ず、ペンドラゴンは大きくバランスを崩すこととなった。
「チートこそがゲームを勝利に導き、ARゲームは超有名アイドルという神コンテンツを生み出す為のかませ犬となれ!」
 ペンドラゴンに向かってくる青騎士は、黒い刃のロングソードを何もない空間から呼び出し、それで止めを刺そうとしていた。


 しかし、彼らの都合よく全てが進む訳ではなかった。
『デウス・エクス・マキナ――アカシックレコードに記された、ある事件を連想させるな』
 乱入してきた人物、それは青騎士に類似したアーマーと青い刃のロングソードと言う武装のプレイヤーだった。
この人物が持つロングソードは、背中のバックパックからエネルギーを供給するタイプのようにも見える。
ARゲームでも太陽光システムがメジャーとなっている中、あのエネルギー発生装置は何なのか?
しかも、この人物の声は機械混じりではあるが男性の声だ。アーマーのデザインには何かを隠すような不審な個所もあるのだが。
「ある事件だと? それに、青騎士の真似とはふざけているのか!?」
 青騎士は目の前にいる自分の物真似をしているプレイヤーに対して、不快感を覚えた。
都市伝説としての青騎士を真似するプレイヤーは多いかもしれないが、ここまで真似されると――思わずパクリと言い返したくなる。
青騎士ブルーナイトか――確かに、それはそちらの専売特許だろう』
「だとすれば、我々の物真似をする貴様は何者だ?」
『何者――? そうか、一連のシステム挙動が変わった事は――』
「挙動? 貴様がSNSのジャミングをしたのか?」
『SNS? ジャミング? 知らんな』
「言い逃れすると言うのか」
 青騎士と青騎士同士の剣劇が続く。青騎士ブルーナイトの方は、あくまでも目の前の人物が一連の元凶だと言う。
その一方で、もう片方の騎士は青騎士に対し――事件の元凶だと言う事を否定し続ける。
『貴様たちは――このシステム挙動の変化が、何者かが仕組んだ物と言うのか』
「そうでなければ、つぶやきサイト等のSNSがピンポイントで使用不能になる事はない!」
『SNSに関しては自分も知らないと言っている。お前達の勘違いではないのか?』
「勘違いだと? ならば、あの西雲と名乗る人物の脅迫は――」
 青騎士が何かを言おうとしていた矢先、瞬時にして青騎士のライフが0になった。
そして、次の瞬間――そのプレイヤーは強制的にスタート地点へとリスポーンする。
この結果として、青騎士のチームのゲージが割れ――ペンドラゴンと高雄は助かった。
『西雲――成程、アカシックレコードに書かれていたWEB小説が現実化したと言うべきなのか――』
 止めを刺したのは青騎士ではない。それとは別の人物だと言うのは、ある程度察しがついていた。
次の瞬間、青騎士の目の前には――ARガジェットとARアーマーを装着したデンドロビウムの姿があったのである。
「これ以上――あのフィールドは穢させはしない! 芸能事務所は、どれだけのコンテンツを終了させれば――気が済むのだ!」
 デンドロビウムのガンブレードを握る手が震えているのを見る限り、あの人物が倒されたのは彼女にとっての地雷を踏んだ事が原因に思える。
しかし、それを青騎士が言及する事はなかった。あえて口にしないという訳ではなく――自分も似た環境を知っていたから。
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