挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
不正破壊者の我侭姫 作者:桜崎あかり

ステージ2

33/69

エピソード27


 午後1時10分、草加駅に1台のタクシーが姿を見せた。
タクシーのドアが開くと、そこから姿を見せたのは一人の女性だったと言う。
彼女は、とある駅からタクシーで草加駅まで来たらしく――。
「お客さん、草加駅だったら――別の駅から乗り換え出来たのに」
 タクシー料金は3000円を超えていたのだが、この女性は無言でスマートフォンをタクシーの運転手に見せる。
どうやら、支払いは電子マネーらしい。タクシーとしては支払いをしてくれるのであれば、暴力沙汰なトラブルを起こさない限りは問題ないと思っているようだ。
 タクシーを降りた女性の外見は、JKと言う訳ではないがセーラー服である。
身長も170位で周囲~見て目立つ訳でもない。金髪ではなく黒髪なので、普通に女子高生とギャラリーが認識しているのだろう。
「電車と言っても、竹ノ塚駅から――ここは混雑と言うか難しいでしょ?」
 タクシーの運転手も、さすがに彼女の発言にはあいた口がふさがらない状態だ。
どのような電車の乗り方で竹ノ塚まで来たのかも分からない事も理由の一つなのだが――。
「さて、ARゲームのアンテナショップは――ここか」
 タクシーを降りて、周囲を見回して目的の場所を彼女は発見した。
それはARゲーム専門のアンテナショップである。主にARパルクール等を扱っている店舗であり、アーケードリバースは対応していないようにも見える。


 午後1時15分、予想外の混雑もあってかアーケードリバースをプレイ出来るタイミングが若干ずれた。
それもあってか、アルストロメリアのマッチングは予想外の物となっている。
6対6のマッチングなのは変わらないのだが、問題はその組み合わせだった。
【近距離×5】と【遠距離×1】の赤チームに対し、【中距離×4】と【遠距離×2】という青チーム。
どう考えても、近距離ばかりが固まるチームが圧倒的不利なのは――火を見るより明らかだった。
「このマッチング、どう思う?」
「チートガジェットが多いのは、中距離よりも遠距離と聞く。どちらがチートプレイヤーか絞り込むのはバトルを見てからだ」
「しかし、どの距離でもチートプレイヤーがいるのは事実だろう。両方のチームを摘発すれば済む事では?」
「それをやっては、ネット炎上を招く可能性がある。それに――ガーディアンに関しても色々とうるさくなっている事情もあるからな」
 バトル前のマッチング画面をフィールド外のモニターで見ていたのは、背広姿の男性ガーディアン2名だった。
彼らは正規のガーディアンではないようにも見えるのだが――デンドロビウム等のように容赦なくチートを刈り取るような勢力でもない。


 フィールド内、ステージとしては敵のアジトというか秘密基地の様な外見である。
この外見に関しては、ARゲームの専用フィールドにCG映像の秘密基地を設置しているような物であるのだが――その完成度は非常に高い。
下手をすれば、ゲームと現実の区別がつかなくなるようなシロモノであり――ネット上でも危険性を指摘する人間が出てもおかしくないだろう。
CGで作られた秘密基地には質感があり、現実味がないような感覚は全くない。
VRゲームと区別すると言う意味でARゲームを名乗っている訳ではない事が、この映像を見ると明らかだろう。
「なるほど――そう言う事か」
 ARメットを含めたフル装備のアルストロメリアは、自分の姿を近くの窓ガラスを見て――ようやく把握した。
他のプレイヤーは、そう言ったリアクションをせずに早速バトルフィールドへ突入していくのに対して、である。
「本当に、これをゲームという一言で片付けるべきなのか――」
 100円でプレイ出来るようなゲームとしては、常識を疑うクオリティであり――200円でも安い位と思うだろう。
確かにふるさと納税の税収で運営しているゲームと言っても過言ではなく、あまりプレイ料金を高く設定したくない事情もあるのかもしれない。
それでも――100円1プレイは破格であり、全国各地から遠征に来るプレイヤーがいる話も分かる。
 ARゲームがゲームという壁を打ち破るという話も――あながち嘘ではないと、彼女は自覚した。
単純なソーシャルゲームの様なものであれば、ここまでの数のプレイヤーやギャラリーが集まったりはしない。
それだけの魅力があるからこそ――ARゲームには無限の可能性があるのだ。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ