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不正破壊者の我侭姫 作者:桜崎あかり

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エピソード18.5


 7月13日、その日は土曜である。昨日が金曜だったのにギャラリーがいた事が不思議な位なのだが。
土曜と言えばデパート等が混雑するような曜日であり、学生の姿も――というのが東京などのケースだろう。
実際、秋葉原等は歩行者天国が大盛況だと聞く。しかし、それに負けない位の盛り上がりを見せていたのが草加市だった。
土曜日には小規模のイベントスペースで同人誌即売会、アンテナショップではARゲームの体験会、撮影スタジオではコスプレイヤーの撮影会――。
どう考えても、草加市で盛り上がるようなコンテンツではない物が盛り上がっていたのだ。
これには草加市民も困惑気味なのだが、既に慣れてしまっている。ARゲーム等に代表されるコンテンツが、どのような役割を持っているかを知っているから。
「ここまでの盛り上がりは何だ? 平日とは比べ物にならないぞ――」
 午前10時に草加駅近くのアンテナショップ前に姿を見せたデンドロビウムが、この光景を驚いていた。
平日でも数百人や数千人規模というギャラリーが来るアンテナショップやゲーセンがある位、ARゲームの盛り上がりは異常の一言である。
過去に政府が広めようとしたスーパーフライデーが不発気味になっている状況からすれば、ARゲームを経済成長に利用すれば良い位だ。
しかし、ARゲームコンテンツにはデンドロビウムが思っている以上の制約が存在していた。
それを破る事は――法律違反と同義とされているレベルのルールである。


 それがARガジェット悪用を禁止したガイドライン、俗に言う『ノットデスゲーム』である。
このガイドラインは、簡単に表現すれば『ARゲームは大規模紛争、殺傷、破壊行為への転用を禁止』しているガイドラインだ。
過去にARガジェットを悪用しようとした事件が起こった事で、ネット上が炎上――その隙を突いて超有名アイドルが圧力を加え様とした一件が存在する。
これには諸説あり、正確な被害総額などは非公表とされている。ネット上では100兆円はくだらないような額の損害が出たとされているが――。
この詳細を調べようとしたまとめサイトの管理人などが逮捕されていたりする為、調べるべきではない存在とネット上では言われている。
 こうした事情をデンドロビウムは一定の把握をしているが、詳細を知ったとしてもゲームが有利になる訳ではない。
その為、彼女は意図して詳細を知ろうとは関得ていなかったのである。
「そりゃあ、当然だろう? ここはARゲーム特区と言われる程の場所だからな」
 唐突な男性の声に驚くデンドロビウムだが、表情を崩す事はなかった。それは、彼の外見を見れば即座に分かるだろう。
デンドロビウムの目の前に現れた人物、それは明らかにFPSゲームで見るような司令官ポジション――そんな外見だった。
ARメットを被っている為、表情を見る事が出来ない。しかし、敵意は感じないが明らかに接触するべきではない人物だと直感で分かる。
しかし、周囲のギャラリーは――彼女とは全く違うリアクションだ。
「あれって、山口飛龍じゃないのか?」
「武者道の? まさか――」
「あのコートは間違いない。本物だ」
 周囲のギャラリーもARメットを被った山口飛龍やまぐち・ひりゅう、彼を警戒する事はない。
むしろ、彼がここへ来た理由を聞きたい位の状態だろう。
「貴様は一体、何を知っている?」
「それを聞いたとして、君は何を行うつもりだ?」
「決まっている。チートを――チートプレイヤーを一人残さず排除する」
「排除しても、芸能事務所側にコンテンツ炎上の口実を与えるだけだ」
「それは何度も言われている!」
「百も承知か。運営サイドの事情も知らないで、無闇に荒らしまわるのでは――無自覚の荒らしやネット炎上勢力と同じだ」
 2人の話はエスカレートしていくのだが、それを止めようと言うギャラリーはいない。
興味本位で止めないのでもなく、警察待ちでもない。おそらくは、既にARゲームが展開されていると考えているのだろう。
「無自覚の荒らしとは違う。チートプレイヤーがコンテンツに致命的ダメージを与える事は、嫌でも知っている!」
「チートとバランスブレイカーは違う――とも言っていた人間がいたが、君も同類か」
 デンドロビウムの一言を聞き、山口はコートの裏からスカウトナイフを取り出した。
ナイフの刃はビームであり、殺傷能力は一切ない。しかし、そのナイフを投げる事はなかったと言う。

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