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不正破壊者の我侭姫 作者:桜崎あかり

ステージ1

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エピソード18


 7月12日、その日が金曜日だと言う事は周囲も忘れていそうな勢いだが――ARゲームで未成年がプレイしている光景はない。
未成年と言う例えが不適切かもしれないが、この場合は中学生までの姿がない、という表現が正しいのだろうか。
「あれがビスマルク――」
 身長196センチと言う長身の女性、彼女は谷塚駅より若干離れたパチンコ店からビスマルクのプレイを見ていたのである。
金髪の女性と言う事で周囲から注目されそうな気配もするのだが、セクシーなコスプレイヤーであれば町中にいるので、それ位ではアドバンテージにすらならない。
草加市の光景は、ある意味でも様変わりしていると言えるだろう。それも、過去に超有名アイドル無双と言われた時代以上に。
長身の女性の衣装が、ARゲーム用のインナースーツと言うのも振り向かれない原因かもしれないのだが――彼女は気づいていない可能性が高い。


 午後2時ごろにはARガーディアンが駆けつけ、倒れているチートプレイヤーを逮捕したのだが――。
これを倒した人物こそがビスマルクだったのは、ネット上で動画がアップされるまでは一部の人間しか気づかなかった。
彼女がプロゲーマーと言うか、イースポーツ分野でも知られるような有名プレイヤーと言う事もあって、それがARゲームに進出と言う話が作り話と言われる程。
どれ位の実力差があるかと言われると『ARゲームでは右に出る者がいない』や『勝つとしたらチート必須』と書かれるほどだ。
チートプレイヤーが各地で荒らしまわる環境を生み出したのは、彼女の強さが原因の一つかもしれない。
だからと言って、チートと言う不正に手を出しては論外なのは間違いないだろう。
『彼女がプロゲーマーのビスマルクか――』
 更に別の場所から動画経由ではなく、リアルで一連の騒動を見ていた人物がいた。
この人物は装着しているARバイザーで見ていたのだが――どうやら、中継映像経由で視聴していたらしい。
『あまりにも強すぎるプレイヤーは、やがてリアルチートと他のプレイヤーから標的とされる危険性もあるだろう』
 男性のボイスに加え、若干のノイズが混ざる声――北欧神話モチーフのARアーマーは、スレイプニルというコードネームで呼ばれる程の存在となっていた。
周囲の人物には明らかに正体がばれていない。指を指すような人もいないし、振り向いたとしてもスルーしてしまう人がいるだろうか。
今回に限って言えば、ARゲームフィールドの併設されたアンテナショップで観戦していた事もあり――以前の様な懸念はなかったのも大きい。
『ARゲームが正常運用される事――ネット炎上の様な不確定要素やサービスを終了させる存在は、排除すべきだ』
 彼の言う事には一理あるだろう。しかし、闇が存在しないARゲームはあるのだろうか?
そして、ゲーム業界全体を見ても――光だけが存在し続けると言えるのか?
スレイプニルは、次の段階へ進むべきだと考えていた。


 午後3時、アミューズメント施設で一連の出回っている動画を知ったアルストロメリアは――。
「あのビスマルクが――参戦?」
 先手を打たれたと思ったのは言うまでもない。しかし、ビスマルクがロケテスト勢とは気づいてなかった。
ふるさと納税の事情を知らない人間は数多いと言うよりも、アーケードリバースが他のARゲームと誕生の経緯が違う事を知らない人間が多い。
「アーケードリバースはARゲームプレイヤーの知名度上げに利用されるようなゲームではない。それを証明する為にも――」
 未だに自分は参戦するかどうかを悩み続けていた。このままふるさと納税でサポートしていくだけでもアリなのではないか、とも思っている。
しかし、この状況を打開しなければ以前に起こったコンテンツ市場の炎上と同じ事を繰り返すだろう。
だからこそ――普通にゲームの進行を見届けるだけでは炎上を止める事は出来ない――そう考えたのである。
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