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不正破壊者の我侭姫 作者:桜崎あかり

ステージ1

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エピソード9


 午後1時30分頃、山口飛龍やまぐち・ひりゅうはアンテナショップの前で足止めを食らっていた。
不審者と言う訳ではないのだが、グレーのコートにARメットを装備した状態と言う事もあって不審者扱いされている。
アンテナショップではARメットやARバイザーを装着したままの入店は可能なはずであり、不審人物扱いされるのはクレーマーであれば人格権侵害と訴えそうな気配だ。
山口の場合、そこまでの対応には発展しないが――。店側の対応はアンテナショップ側で新人バイトに周知徹底していないのが理由だろうか?
「これは大変失礼しました。まさか、あの山口社長がお忍びで来るとは――」
 別の裏口経由で男性スタッフに誘導される形で、店内へと入店は出来た。
そこまで優遇されるような事をしたのかは、別として。
山口の方も心境は複雑であり、こうまでされると逆に何か悪い事をしたかのような感じさえする。
「こちらとしても、別に大事になるような事はしていないのだが――」
 山口は自分がやった事に関して、大事と言われるようなことと言われると複雑だ。
あくまでもARゲームに関するノウハウを保護する為に動きまわっていたにすぎないから。
これは後に草加市とふるさと納税の関係や町おこしにも影響するのだが――それは後ほど。


 山口は別の青色のユニフォームを着た新人男性スタッフの誘導を受ける形で、アンテナショップの店内を案内された。
先ほどのスタッフはショップ責任者であり、別の対応をする為に席を外したのである。
「入り口では、申し訳ない事を――」
 男性スタッフの方は、すっかり弱気ではないのだが――入り口での対応をやり過ぎたと反省していた。
山口の方は「そんな大げさな事は――」と言わんばかりの困惑をしている。さすがに表情を見る事は出来ないが。
「君はARゲームに興味は?」
「ゲームに興味がある訳では――」
「ARゲームのアンテナショップは、基本的にARゲームがメインの仕事になる。興味がないというのはおかしいのでは?」
「時給で1500円という短期バイトが、これ位だったので」
 男性スタッフはお金がどうしても必要であり、興味は別としてARゲームのアンテナショップでバイトをする事に決めたらしい。
何にお金が必要なのかは、敢えて聞かない事にしたが――何かを買う為にお金が必要そうな顔はしている。
山口も彼の気持ちは若干理解できる。興味のない分野でもお金が必要であれば、やむ得ずにバイトをする事だって――と。
さすがに犯罪行為に手を出すのは論外だが――。
 しばらく案内してもらっていると、ARゲームのフィールドに到着した。
ここでは、ARゲームでも人気機種である『アーケード・リバース』が展開されている。
山口は観戦が目的ではないが、近くにあったベンチに腰をかけて男性スタッフにも座るように――。


 対戦カードは6人対6人、輸送トラックの指定エリアまでの護衛が勝利条件となるシンプルな物だった。
赤チームが6人でトラックを護衛するのに対し、青チームは3人がトラック、3人がゴール地点で待ち伏せと言う作戦の様である。
「君は――ARゲームをどう思う?」
 山口は男性スタッフに質問をした。ゲームを薦める訳ではないが、ある程度の理由は聞きたいと考えているようである。
「テーブルゲームであれば、少しは興味ありますが――」
 男性スタッフはカードゲームであればプレイした事はあると言うか、おそらくはそちらがメインなのだろう。
お金に関してもカードを買う為の物かもしれない。
「ARゲームにもテーブルゲームを扱った物がある。麻雀やチェス、囲碁、将棋と言った物もオンラインゲーム化された時代だ――」
「それは分かって――います。カードゲームでもデジタルカードを使う物があると言うのも、ネットで知りましたが」
「ARゲームを毛嫌いする人間には、VRゲームとARゲームを混同するケースがあるらしい」
「VRゲームでチートを使って無双するプレイヤーを題材にした小説がある事も――理由の一つと言うのは、自分もネットで知りました」
「そこまで分かっているなら、どうして――ARゲームを?」
 山口は何となく男性スタッフの言う事にも一理あると思った。
ARゲームとVRゲームは一見すると類似ジャンルかもしれないが、実際は異なる物を使用している。
それが区別できない――むしろ、同一と見てネット炎上させようと言う勢力がいる事も――彼は把握していた。
「――非常警戒? どういう事だ」
 山口は唐突にARメットに表示された非常警戒の警告表示に驚いていた。
そして、山口の目の前に赤チームのプレイヤーの一人が飛ばされて来たのである。
飛ばされても、特殊フィールドで防御されるのでギャラリーに被害が出ない。本来ならば、そのはずだった――。

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