第81話 天国と地獄その2
「無数に存在する『宇宙』にも究極的な『天国』、究極的な『地獄』と呼んでいい『宇宙』があります。それらは『無』の中の『宇宙』の分布の両極にあり、強烈な地場を形成しています。
『無』に空間はありません。『宇宙』と『宇宙』の位置的な関係はすべて主観的なものです。『無』に散らばる『宇宙』の全体を見渡すことが出来るのは『神』の中でも特別な力を持った神だけです。ま、自慢じゃありませんがわたしもその一人です。
『無』の中で『宇宙』は球形に分布しています。
球の南極の頂点に天国の中の天国『真天国』があり、極北に地獄の中の地獄『真地獄』があります。
多くの『宇宙』は赤道の円盤を中心とした上下に漂っています。
『宇宙』は主観的な重さで浮き沈みしてほとんどの宇宙が常に位置を変えています。悪い状態になると重くなって地獄の北極方向に沈み、良い状態になると軽くなって天国の南極方向に浮上します。赤道付近で漂っているのは構いませんが、北に沈みすぎると『真地獄』の強力な重力に捕まって引き寄せられ、なかなか抜け出せなくなります。せっかく南極へ浮上しても『真天国』はほとんど重力を持たず、逆に押し出す力があるので少し悪くなるとあっと言う間にグンと沈んでしまいます。
今この宇宙は赤道よりちょっと北側の位置にあるでしょうか? それでもずいぶん持ち直したはずですよ。感謝するように。
南に『真天国』北に『真地獄』があるわけですが、では球の中心はどうなっているのかというと、・・・・・・謎です。『真天国』も『真地獄』も極端に活動の少ない『死の宇宙』ですから、中心には『生の宇宙』があるのかも知れませんが、わたしの目にも眩しすぎて見ることが出来ません。おそらく一番最初の『宇宙』が生まれたのはそこでしょう」
「真の天国も『死の世界』なのですか?」
「そりゃあそうです。天国も地獄も死んでから行くものでしょう?
あなたに訊きましたね、本当に天国に行きたいのか、と。
天国とは永遠の平穏、つまりまったく生命活動のない世界です。そこに永遠にとどまりたい魂などまずほとんどいません。せいぜい『サイン』だの『イエス』だのと言った姿形のはっきりした神様の下へ行きたいと妄想を描いているだけでしょう?
言ってしまえば、『真天国』とは充実しまくった人生を120歳の寿命まで幸せいっぱいに生きて、思い残すことなんて何一つないベニオの臨終の姿で」
「わたしはそんな悟りきった人物にはなっていませんよ」
「『真地獄』とは核兵器で重傷を負って苦しみに苦しみ抜いて、怒りと憎しみにまみれて若い命を奪われようとするロベルトさんの死の姿、といっていいでしょう」
「・・・・・・・・・・・」
「『真天国』が軽やかなガス状の世界、『真地獄』が凝り固まって内部が真っ赤に燃えたぎって絶えず爆発を繰り返している鉄の固まりとイメージしてもいいでしょうか」
「どちらも我々のような人の姿はない、と?」
「ありませんね。軽すぎても重すぎても『形』としてまとまっていることはできません」
「では、わたしの見た『地獄の光景』の宇宙はどの位置にあるのでしょう?」
「当然地獄寄りですね。死滅の怒り恨み憎しみでその宇宙はどんどん極北に沈んでいって、最後には『真地獄』とくっついて一体となります」
「ずっと訊きたかったのですが、人類が死滅した世界は全て地獄と化すのでしょうか?
もしここくるみ国の宇宙で核兵器のない平和な世界が築かれ、あなたという神も存在していなかったら、あの隕石の衝突で人類は死滅していた危険が多分にあったと思うのですが?」
「こう考えてください。
再三『神』という存在について説明してきたように『宇宙』も全体で一つの生命体なのです。
生きる者にとって死は忌むべき悲しいことです。
しかし死は生きる者に確実に訪れ、
死はその状態や状況によってその感じ方が全然違うものです。
幸せな生涯を120歳の寿命まで精いっぱい生きた者の死は満足な、穏やかなものでしょう。
不幸な苦しい人生を若い内に突然殺され断ち切られた死は怒りと憎しみで煮えたぎったものとなるでしょう。
では、人生の途中で思いがけずやむを得ない事故で打ち切られることになった死は、どうでしょう?
そこまでどう生きてきたかでその捉え方はずいぶん違うのではないでしょうか?」
「つまり、死は必ずしも地獄に通じるものではない、と?」
「悲しい死を迎えても、そこまで楽しい幸せな思い出をたくさん得てきた人生なら、生に肯定的であり、決して否定に転じないでしょう」
「その宇宙は当然パーフェクトマンを生み出すことなく、次の宇宙へ引き継がれることもなく、時間も閉じずに保存もされないのですよねえ?」
「そうです。その宇宙は死にます。
人は死ぬと魂が解放され自由になります。
宇宙も死ねば、魂は解放されます。
宇宙も『魂』を持っていますね?
解放された『宇宙の魂』は宇宙が内包していた魂たちを乗せて、『無』の中をどこでも自由に行くことが出来ます。
人の死は宇宙の死とイコールではありません。死した人の魂たちが『宇宙の死』まで心穏やかに眠り、『地獄』に引き込まれることがないことが『宇宙の魂』が自由になり人の魂も解放される条件ですね」
「では何がなんでもパーフェクトマンを誕生させる必要はないのですか?」
「ありません。ただし、『もしも』という人類の願いを込めた次の宇宙を作ることは出来ません。しかしそれも幸せな一生を送れば必要のないことかも知れません」
「幸せな死を迎えるために幸せに生きなければならない、と言うことですね」
「そういうことです」
「人の魂が自由なものであり、肉体が滅んでも別の新しい肉体、新しい宇宙に転生していく、と言うのは分かりました。
その魂の遍歴は、永遠に続くのでしょうか?」
「人の魂もまた人の一生と同じです。いずれは死を迎えます。
究極的に、人の魂が行く場所は、真天国か、真地獄か、どちらかです。
天国も地獄も永遠の死の世界ですからね。そこでは時は止まっています。魂自身が心の底からこれ以上何もいらないと悟りきったとき、永遠の安らぎである真天国にいたり、そこで永遠の安らかな眠りにつきます。
一方魂が何度も転生を繰り返しながら一向に心が向上せず、それどころか悪くなる一方なら、宇宙から宇宙へ巡り歩き、宇宙自身をどんどん重くしていき、真地獄へ近づいていきます。人もそうですが魂も必ず心の芯では平穏を願っているものです。人も魂も常に善なる天国を仰ぎ見ながら、そのくせその身を汚し怠惰に溺れていけば、いずれは真地獄の重力に捕まり、逃げ出せなくなり、ついに取り込まれ、永遠の死の苦痛を味わい続けることになります。
しかし、
ま、わたしのようにどっちも嫌だと我が儘に思うのが普通の人の心でしょう。赤道の円盤上の宇宙たちを永遠に渡り歩き、永遠の命を保ちたい、と言うのが一番正直な魂の気持ちでしょうね。
でも用心するように。そういう怠け者の気持ちは自分を堕落させ、気付かぬうちに徐々に地獄に近づいていくものです。気付いたときには、ま、だいたい手遅れですね」
「そうですわ、ロベルトさんが前世で悪い行いをしたから今の地獄にいるのだと言われてわたしはひどく反発を感じたのですけれど、そういう考えで人を生まれながらに身分分けして差別的に扱う宗教がありますね?」
「ある意味それが正しいと言ったのは、それを魂の側から見た場合です。生まれ変わりを望む魂からすれば、悪い魂はそういう人生にしか生まれ変わりを許されなかった、と言うことです。
しかし、もちろんそんな思想が正しいわけありません。これは明らかに人と魂の関係を考え違いしています。人と魂は別なのです。人を生まれながらに差別するなど、完全に間違っています。人が先で、魂は後なのです。人を力で支配するに等しい、それは地獄に通ずる思想です」
「なるほど。納得です」
「ついでに言えばその宇宙が地獄であるか天国であるかも、その宇宙で生きる人間・・知的生命体の生き方の結果です。元の宇宙の周辺に生まれるわけですからある程度の範囲は決まっていますが、神は必ず良い世界になるようにその宇宙を生み出します。最初から天国地獄の決まっている宇宙もありません」
「それも納得ですね」
「はい。
ところで話は戻りますが、
オデールの魂とジークフリート王子の魂には申し訳ないですが、実は別の宇宙で別のオデールとジークフリート王子が生まれることは・・・ない、と思います」
「何故です?」
「わたしは、様々な宇宙を巡ってきましたが、わたしは自分のいる宇宙を見たことがありません」
「それはあなたが同じ人間であるあなたに出会うことが出来ないと言うことではありませんか?」
「それも考えましたが、他にこの時代・・恐竜のいるはずの時代に人類が繁栄している宇宙は一つもないのです。ちなみに人類の時代に恐竜が生き残っている宇宙も一つもありません」
「この宇宙は特別の宇宙と言うことですか?」
「ええ。そもそも妖精や魔女のいる宇宙なんてふつうの活動的な宇宙では他に一つもありません」
「どういうことなのでしょう? そもそもパーフェクトマンにはどの程度の『変更』が可能なのでしょう? わたしは最初過去を変えるのは人間自身だと思っていました。何故それが起こるのかに人間を超越した力が働いているにしても、実際にそれを行っているのは人間であると。
ここまでの説明でもそれはおおむね合っているようです。パーフェクトマンは人間の願いを聞いてそれが実現するようにエネルギーの流れを変えてやると言うことでした。
しかしこの宇宙では世界の構造そのものが違っています。時代が大きく違い、妖精や魔法と言った他の宇宙にはない力が存在しています。まさに神の力のなせる業ですが、果たしてそこまでの大幅な『作り替え』がパーフェクトマンにも可能なのでしょうか?」
「で、あなたの見解はどうです?」
「一番簡単な答は、
この世界が現実ではない、つまり物質世界ではない、バーチャルな世界と言うことです」
「つまり、ここは『大宇宙』の世界ではなく『小天国』の世界、もしくは、宇宙を旅するパーフェクトマンの頭の中の世界、と言うことでしょうか?」
「そうです。いかがです?」
「それはわたしにとってあまりありがたくない考えですね。もしそうであるなら、説明はとても簡単です。『ぜんぶ夢』。それだけです。そしてバーチャル世界の中にいるわたしにそれを否定する術はありません」
「おいおい、まさか本当にそうなんじゃないだろうな?」
「違う、とは言えません。実際ご指摘の通り、ここくるみ世界は、カラベラスと言う名の『天国』または『宇宙』の中にあるのですから」
「・・・・・本当に、本当なのか?・・・・」
「そうなのかも知れません。でもわたしはそれを認めたくはないですね」
「当たり前だ。認められてたまるか」
「しかし、となると、説明が非常に難しくなります。これまで説明してきた『神』以上の神がこの宇宙を作ったことになります。ここまで大幅に世界の造りが違う宇宙は他にないのです。
この世界、宇宙を、無理やり説明しようとすれば、それは物質とエネルギーが完全には分離していない宇宙、と言うことになります。妖精も魔法もエネルギーの形を変えたものと言うことです。そしてそれが動植物の進化を促して恐竜の時代を飛び越えて人間を世界の王にしたのでしょう。
何者が世界をそのように作ったのか? その正体はわたしも知りません。その意図するところも、謎です。隕石が降ってきたときにそれに対応するのが恐竜でなく人間だったら?だったらどうだというのか?わたしには分かりません。
人間の英知に期待していたのか、それとも逆にさっさと人間を滅ぼして次の知的生命体の登場を促すつもりだったのか?
しかしおかしいのは、この世界では長く火薬や銃と言った殺傷兵器が登場してこなかったのです。他の宇宙の人間の歴史と照らし合わせて考えるとこれは異常なことと言えます。この世界は他の宇宙の人間と比べるとずーっと、長く平和に暮らしてきたのです。このまま平和な状態が続けば人類はほぼ確実に隕石衝突によって滅んでいたでしょう。
ところが200年前に銃が登場すると人間の世界は一変しました。急速に大型破壊兵器が続々開発され、ついに究極の破壊兵器核ミサイルにまで辿り着いてしまいました。驚くべきスピードです。わたしがいろいろ邪魔なお節介をしなければやはり人類は自力で隕石衝突の危機を乗り越えていたのかも知れません。
しかしそれがこの世界を作った神の意図するところとは、わたしにはどうしても思えないのです。
この世界のシンボル的な存在である妖精たちを人間たちの宗教は迫害してきました。その宗教が近代の大量破壊戦争を押し進めてきたとも言えます。そしてその教義が正しいのなら、彼らの神はもともと別の宇宙の存在で、神の教えは外からの干渉なのです。結果を考えれば人間たちにとってはやはり妖精より宗教の方が正しかったと言うことになるでしょう。
この世界を作った神は人間に滅びの道を用意し、外の大神が人間に生存の道を説いた。人間の側からすれば世界は悪魔によって作られ、神によって救われた、となるでしょうか。
でもわたしは昔の世界の方が好きです。昔の世界の方が良かったとは言いません。今の世界の方がずっと人々は平等で豊かでしょう。でも、わたしの目には明らかに人間の心は変質したと見えます。人間は天国ではなくパーフェクトマンに至る道を選んだと言うことでしょうか?
もう一つ、全ての宇宙に共通して疑問なのは、『恐竜たちの魂はどこへ行ってしまったのか?』と言うことです。
魂が人間にばかりでなく動物や物にまで宿るのは説明したとおりです。ならば、文明こそ持たなかったかも知れませんが人間と同等の知能を持ち、おそらく社会も形成していた恐竜たちが魂を持たなかったはずはありません。
しかし今の宇宙に恐竜たちの魂は跡形もありません。
どこへ行ってしまったのか?
おそらく既に彼らの魂は我々のような形を持っていないのでしょう。つまり、高次元の宇宙、天国の一員となり、永遠の眠りについてしまったのでしょう。
もしこの宇宙の人間が滅びる運命にあったとしたら、その時我々は天国の住人になれたのでしょうかねえ?
そうそう、時間の問題がありました。
大統領。あなたはくるみ国500年の時間が外の世界ではわずか100年経ったに過ぎないと知ってどう思いました?」
「そうさなあ・・・・、騙された、と思ったな」
「外の100年の時間がくるみ国では500年にもなっています。この時間の『速さ』をどう思います?」
「スカスカだな。時間ばかり早く過ぎていってまるっきり中身がねえ」
「ベニオさんはどう思います? うらしまたろうの逆ですね。夢の国から帰ってきていったい何百年過ぎているだろうと思ったらぜーんぜん短い時間しか過ぎていなかったのですから」
「外の世界に比べたらくるみ世界はぜんぜん退屈だ、と言うことでしょうか?」
「手厳しいですね。見方によって評価は正反対でしょう。
年数だけ見ればくるみ国での時間が圧倒的に速く進んでいます。
しかしこれは本当に時間が速く進んでいるのでしょうか?
逆の見方をすれば、外の世界の1年がくるみ世界の5年に相当するのです。時間ではなく中身を見れば、外の世界の方がくるみ国の5倍も忙しく時を過ごしていることになります。外の世界の1日はくるみ国の5日間に当たり、外の世界の人間はくるみ国の人間の5倍も動き回り、5倍も疲れていることになりませんか?
中身を考え合わせれば外の時間の方がくるみ国の5倍も速く進んでいるのです。
これがいいのか悪いのかは、人の考え方しだいです。外の世界ではめちゃくちゃ忙しく働いて物質的にどんどん豊かになりながら100年を過ごし、くるみ国では進歩も何もないながら毎日の生活を楽しみながらのんびり500年もの時を過ごし、どちらの時間が早く、どちらの生活が良いのでしょう? 変化を求める人にはくるみ国の生活は退屈すぎ、平穏を求める人には外の生活は過酷です。
わたしにとってはもちろんくるみ国の生活が理想ですけれどねえー。
あ、オリンピックのノアの名誉のために言っておきますが、それぞれの世界の中で流れる時間の速さは同じですよ。相対的な、速さの違いです。ノアの新記録は外の世界でもそのまま通用します。
さて、ではそもそも何故外の世界とくるみ世界で時間の差が生じるようなことが起きたかというと、くるみ世界と外の世界は別々の宇宙だからです。ここくるみ国は母カラベラスが作り上げた別の宇宙なのです」
「小天国とは違うのか?」
「違います。外の世界の宇宙と同程度のエネルギーを持った大宇宙です」
「こんなちっぽけな世界がか?」
「ええ。エネルギーのほとんどは母が受け持っていますから」
「宇宙そのものじゃあ最強だわな。だが宇宙の中に宇宙が存在することが出来るのか?」
「出来ますよ。爆発しないようにもの凄い力で押さえつけておかなくてはなりませんがね」
「じゃあ、もしカラベラスが死ぬようなことがあったら?」
「くるみ世界はエネルギーの解放によって急激に大膨張、外の宇宙とぶつかって大爆発を起こして両方とも消滅してしまうでしょうねえ」
「危ねえなあー。おい、おまえさんの母上殿は大丈夫なんだろうな?」
「健在でなかったらこのくるみ世界も外の世界も存在していません。
これでわたしたち神の力を持つ魔女の秘密が分かったでしょう? わたしたちは体内に宇宙を持っているのです」
「宇宙って、どこから手に入れたんです?」
「宇宙の果てからです。
パーフェクトマンのエネルギー体がどうやって複数の宇宙を作り出すかを説明したとき、複数同時のビッグバンを引き起こすと話しましたね? その中に、いわば不発弾がいくつか含まれているのです。ビッグバンの空間の中の真空に包まれ、ビッグバンと同等のエネルギーが体積は極小のエネルギーのまま取り残されているのです。
母カラベラス、そしてわたしはその純粋エネルギー体の宇宙を見つけ出し、体内に取り込んだのです」
「どうやって?」
「それは魔女の秘密です。人間に真似できることではありません」
「おまえさんは、・・人間じゃないのか?」
「違います。わたしは、魔女です」
「ふうーん・・、知らなかったぞ。
待てよ、おまえさんも体内に宇宙を持っているのか? 危ねえ、おまえさん一度殺されたじゃないか!?」
「だからもう一人神の力を持つ魔女が必要だったのです。あの時はわたしの宇宙はクリステルに渡してありました」
「今は?」
「わたしが返してもらって持っています」
「宇宙はその二つだけか?」
「取りあえずは。でもまだ見つかっていない宇宙はあるでしょうねえ。
ノアール。つまらないことを考えないように」
「べー」
「さて、クララさん。
他の宇宙にあなたと同じ人間が無数に存在しているわけですが、あなたは、その中で特別の独立した一人です。
何故なら、唯一無比の存在であるわたしがあなたの人生、あなたの宇宙に介入したからです。あなたが自分の宇宙に帰った時点からあなたの宇宙は神の意図から独立した流れになるはずです。
ロベルトさん。あなたもですよ。ま、説明したように神のエネルギーパターンは修復能力がありますから、あなた方の存在など取るに足らないものかも知れませんけれどね。
何故あなた方二人、それからベニオさん、あなた方が特別扱いを受けているかは、分かっていますね? そう、前世の魂があなた方に生まれ変わっているからです。
しかし魂の生まれ変わりが肉体の生まれ変わりではないというのも分かりましたね?
ここからは前世に関わる個人的なお話です。
そこで、ポーロ教皇。あなたとはここでお別れです」
「そうですか。お名残惜しいですね。もっといろいろ勉強させていただきたかったですが」
「あなたはもう十分知らなくていいことを知ってしまいました。どうぞご自分の世界に戻ってご自分の生活をなさってください。あなたにはくるみ国のためにいろいろご尽力くださって感謝しております。ありがとうございました」
「いえ、わたしこそ、人類を救ってくださってありがとうございました。神がこの世界をお作りになった意図を、わたしも考えてみることにします」
「さて問題は、ノアさん。あなたはどうします? あなたともここでお別れですが」
「あの・・、わたしは女神さま、カラベラス様にお会いさせていただけないのでしょうか?」
「駄目です。レプリカとは言え母の像を壊した罰です。
あなたはくるみ国に残りますか? それともカメリア国に行きますか? それとも教皇に頼んでいっしょに連れていってもらいますか?」
「わたしは・・・・・、ポーロ教皇さま、お願いできますか?」
「もちろん構いませんが・・」
「いいんですね?」
「はい・・・」
「シルヴィさん。あなたはどうします? 母に会いたいですか?」
「それはもう、是非!」
「ちなみに、その後は? くるみ国、カメリア国、外の世界、どこに行きたいです?」
「外の世界も魅力的ですが・・、わたくしはやはりくるみ国こそが我が家です」
「分かりました」
「お別れですな」
「ええ。どうぞお元気で。あの彫像はわたしの永遠に誇れる宝物ですわ」
「ありがとう。あなたとの出会いがわたしにとっては一生の宝物です。さようなら。いつまでもお元気で」
「さようなら」 |