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この世界の平均寿命を頑張って伸ばします。 作者:ちちまさ

第一章

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新たな決意


 いつものように挨拶しながら事務所に向かう。すれ違う人はにこやかに挨拶してくれる。

 事務所に入り皆に挨拶をする。
「こんにちは」
「「「こんにちは」」」
 ここでも皆にこやかに挨拶をしてくれる。

「ヒデさん、最近はよく来るね」
 ヒューイさんが椅子に座りながら話しかけてきた。

「うん、また相談なんだけどさ。ウィルさんも呼んで皆に話したいんだけど」
「あ、じゃあ、僕がウィルさん呼んでくるっス」

 エド君が素早く動いてドアから出ていった。暫らくすると二人で戻って来た。挨拶を済ますと席についてもらって化粧品と鉛白の危険性とかこれまでの話をした。

「その白粉って化粧品が危険なのはわかったけど、今すぐわかりやすい症状が出るわけじゃないんだろ?」

「そうなんだよ、まだ出来てないけど性能的には鉛白の方がいいらしいんだよね。だからこっちが作った化粧品がせめて安ければいいんだけどな」
「うーん、原料わかる?」

 ヒューイさんに言われてポールさんに言ったのと同じ材料を伝えた。
「じゃあ、単純に鉛白と酸化亜鉛の価格で決まるのか」
「あ、でもポールさんが改良をするって言ってたけど、明日になってみないと出来上がらないから」
「ほほー、それは楽しみだね」

「少し前の情報だと確か鉛白の方が少し安かった気がするな」
「そうか、じゃあやっぱりポールさん待ちだね」

「まあ、親父だったら、やってくれると思うけど。その化粧品をうちで作るつもりだろ?そうするとどれだけ簡易に出来るかだな」

「うん、もちろん採算が取れるならだけどね」
「ん?何だ随分と消極的じゃないか」

 そうだ、こんな事ではダメだ。前に読んだ異世界小説の中で鉛白の危険性があるという話を読んでから少しPCで調べた時に得た知識を話しておかないと。

「うん、そうだね。値段で負けてるなら宣伝力とアイデアで補わないとね。この化粧品を使い続けるのは本当にマズイんだよ。本人にはもちろん生まれてくる子供とかにも障害が出たりしてね」

「え?そんなに危ない物なんですか?」
 ローさんが木の容器に入った化粧品を見つめる。

「うん、ただ、直ぐに症状が出ないから危険性が伝わりづらいんだよ」
「よし、チョット商人ギルドに行ってこの化粧品について訊いてきますね」
 席を立つと一目散に外に飛び出して行った。普段は優し気な雰囲気を漂わせているが今のローさんはまるで別人の様だった。チョット驚いた顔をしているとアルミンさんが話してくれた。

「ローは妹がいたんですけど幼い時から体が弱くて、妹さんは十歳になる前に亡くなったそうです。今の話しで思い出してしまったのかもしれないですね」

「う、それは、知らないとはいえ嫌な話をしてしまったな」
「それは平気です。ローはそう言った子を減らしたい一心で動いているだけですよ」
「うん、俺も気合を入れ直して新しい化粧品が売れる様に頑張ろう。使えるもの全部使って」

「俺も今日は先に上がっていいかい?親父について化粧品の改良に付き合ってくるよ」
 ウィルさんも席を立ちあがりそう言うとヒューイさんを見る。
「もちろん、いいよ、試作品が出来上がらないと始まらないからね」
「うん、わかった。少しでもいいものが出来る様に頑張って来るよ」
 楽し気に笑うと足早に出て行った。

「やっぱり親子だね。実験してる時のポールさんの笑い方そっくりだった」
 さて、確かに試作品が出来ないとこっちは何もできないな。寮の話しってどうなったんだろ?

「ヒューイさん前に話していた寮の方はどうなった?」
「それね、親方と話して場所と規模の話しは進めておいたよ」
 そう言って周辺の地図を広げて指で場所を刺して行く。

「ん?ここが工場でしょ?ここに孤児院があって、結構孤児院に近くていい場所があったね」
「そうなんだよ。ここら辺に住んでる人の大半が寮に入りたいって人だったからここいらを更地にして寮を建てて住んでもらう事にしたんだよ」

「え?でもうちで働いてる人ばっかりじゃなかったでしょ?」
「ああ、そういう人には。、前にヒデさんが言ってた空き地に簡易の家を建てたからそっちに移ってもらった。寮に入る人達も出来るまではそこに住んでもらうつもり」

「この寮を建てる敷地って結構な広さだけどここら辺に住んでいた人達って結構いたんじゃない?簡易の家って足りたの?」
「まあ、この敷地全部に人が住んでたわけじゃないし、簡易の家は少し窮屈だけど寮が出来たらそっちに移るし、残った人も嫌なら他に移るでしょ?」
「移るとは?」
「いやいや、元々皆勝手に住み着いてるだけだからね。お願いして移ってもらったけど、嫌なら他に行くからって了承もらってるしね」

「そうなの?あんまり無理なことしないでね。ヒューイさんが悪者のように言われたら嫌だから」
「ハハ、それは大丈夫。最初に焼肉を振る舞って工場の働き手を集めた事があったろう、その時の印象が良いらしくて皆二つ返事で了承してくれたよ」

「おお、それは良かった。こんな所でも役に立つなんてやっておいてよかったね」
「本当だよ、ごねられてお金を要求されるのも覚悟してたからね。そんな事一軒も言って来なかったのは驚いたよ。よっぽど印象良かったのかな?」

「ハハ、それだけじゃないよヒューイさん、孤児院の院長先生が前に言ってたんだけどここら辺はみんなで支えあっていかないと生きていけないって。怪我や病気で働けない人や小さな子がいる人とかがみんなで支えあってるんだって。だから今回の事もそういった気持ちで移動してくれたんじゃないかな?」

「そうか、そう言われてみれば孤児院の近くの土地が必要をなんだと話した途端了承してくれたな」
「院長先生が地域の皆と上手く付き合ってくれたいたおかげだね。見習わないとね」
「うん、本当にそうだね」

「それと、寮が出来た後、家の建て替えをしたい人は一時的にここに住んでもらえばいいんじゃない?」
「うん、そう考えてるよ」

「おお、流石ヒューイさん。こっちは順調だね。化粧品も成功させないとね」

 一度、ギルドに戻る事にして何か緊急な事があったら知らせて欲しいとだけ伝えて工場を出た。

「孤児院の方を通るけど今日はもう上がる?」
 横を歩いているミラに話しかける。

「ん?ギルドに戻るよハルナちゃん達も戻って来るから一緒に帰るよ」
「そうかってもう孤児院が見えてきたね。新しい孤児院ほぼ出来上がってるんじゃないか?」
「うん、もう後は内装やったら出来上がりだって言ってたよ」
「仕事早いな、まあ人もいっぱいいたしな」

 遠目で孤児院を見ながら元気に走り回る子供達を見ながら歩いているとミラが話しかけてきた。

「ヒデ兄師匠さっき院長先生を見習わないとって言ってたでしょう?」
「うん、言ったよ。とっても立派な人だよ」

「クスクス、院長先生もヒデ兄師匠はとっても立派な人だから皆も見習いなさいって言ってたよ」
「ええ?本当に?それは嬉しいな。尊敬する人にそんな事言われるなんて」

「私もヒデ兄師匠は凄い人だと思ってるよ。最初、手にスライム塗って何してるのかと思ったらいつの間にか腰痛のお薬作っちゃうし、そうしたら工場建てて院の周りの人達雇ってみんな元気になっちゃうし、皆ヒデ兄師匠がそうしてくれたんだよ」

「ハハ、ありがとう。でもいろんな人が力を貸してくれたから出来たんだよ。ああ、うん、そうだな気を引きしめて行こう。今は皆がいてくれる、工場の事も化粧品の事も相談して皆の力を合わせれば絶対に上手くいくさ」

 何か根拠はないが上手くいくような気がしてきた。口に出して言うのも結構大事だな、その気になって来た。


 
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