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この世界の平均寿命を頑張って伸ばします。 作者:ちちまさ

第一章

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奇病

 
 親方に頼んでから数日経っている。朝起きて身支度を済まして、二日酔い軍団にプットアウト広範囲をかけて診療所の前から追い払っていたら。

「「「「ヒデ兄(師匠)おはよう」」」」
いつもの四人が元気よく挨拶してくる。

「おはよう。あれ?今日は院のお手伝いはいいのか?」
「うん、昨日から院にお手伝いの人が来てくれてるの」
「ん?工場からのお手伝いさん?」
「うん、そう言ってたよ」
 前にヒューイさんに頼んでいた希望者に保母さんの仕事をやってもらう奴か?仕事速いな。

「それで今日はクエに出るのか?」
「うん、久々で楽しみだぜ」
「身体は動かしていたけど、森に入るのとはまた違うからね」
「あんまり休んでると弓の腕が落ちちゃいそう」

「そうか、久し振りだからいつもより気を付けろよ」
「「「はい」」」
 ママさんの所で朝ご飯を一緒食べて、お弁当を作ってもらって三人に持たせてから、ギルドの玄関まで見送る。

「キャリーちゃん、まだクエスト中なの?」
 診療所に戻りながらミラが訊いてくる。

「うん、今回のは高レベルのクエらしくて何人も参加しるみたいよ」
「ふーん、早く帰ってこないかなー」
 珍しくそんなこと言うミラの頭を撫でながら診療所のドアを開けると中に若様がいた。

「わっ、ビックリした。おはようございます若様」
「おはよう、ヒデ君」

「遅いですわ、庶民のクセに貴族である私達を待たせるなんて!」
 どう見てもミラよりも小さい子のように見える子が車椅子に座ったまま甲高い子で怒っていた。
「……遅くなり申し訳ございません」
「あら、庶民にしてはわきまえてますのね」
 機嫌を直してニコニコして答える。若様が急ぎ足で寄って来て申し訳なさそうな顔をして小声で話す。

「ゴメンね、大きな取引先のお嬢さんなんだよ。見ての通り足が悪くてね、診てほしいのだけど」

 大きなってわざわざつけるって事は他の国のお姫様?
 しかし、この世界の車椅子を初めて見た。ほとんどが木で出来ているので重そうだ、押すのに結構力が要りそうだな?
 車椅子の後ろを見たらメイドさんがいた。おふ、本物のメイドさんだ。小さくは無いけど隣のヴァネッサさんに比べると少しだけ低い、あの重そうな車椅子を押せるのかな?

 こちらも小声で若様に話す。
「はい、わかりました。まず、診てみますね」
「おお、頼むよ少しばかり大見得を切っちゃったからさ」
「はい、頑張ります。おはようございます。お嬢様」
「お嬢様?あ、私の事でしたわ、なかなか新鮮で面白いですわ」

「私の名前はヒデと言います。回復師を生業にしております」
「私の事はミイと呼びなさい。後話し方は普通でいいわ」
「ありがとうございます。それでは診ますね」
「何を診るの?」
「え?病気を治すために来たのですよね?」

「聞きましたかエイミー?」
「はい、聞きました」
 車椅子の後ろのメイドさんが無表情で答えてきた。

「今までそう言って治してみせた者はいませんわ」
「そうなんですか、俺は治るかどうか判らないから診るんですけど?」
「なるほど、診る前から必ず治りますと大言を吐く者よりはマシですね?エイミー」
「はい、畏まりました」
 メイドさんが前にやって来てミイさんの服を脱がす。

「ちょ、ちょっと待ってください。脱がなくていいですから、そのままでいいですよ」
「そうなんですの?今までの人はみんなそうしてきましたから」
「いいから、早く着てください」
「エイミー」
「はい、畏まりました」
 脱がすのも速かったけど、着させるのも速かった。

「はい、じゃあ診ますね」
 【診断】

『これは、マスターの知識にない病気ですね』
≪いやいや、今までだって無かったの色々あったよ?≫
『この世界特有の病気です』
≪え?何それ?≫
『マスターの言葉を借りて言うなら、ファンタジーの奇病です』
≪どういうこと?≫

『この病気は、足の先から魔法結晶に変わっていく病気です』
≪何それ?原因は?治せるの?≫
『治せます。原因は本人の中にある膨大な魔力を消費しないでため込んでいる為です。ある意味魔力の暴走です』
≪ん?じゃあ、普通に魔力を使えばいいって事?≫
『そうです、患者様は特に高い魔力を持っているのも関係してるようです』
≪わかった、ありがとうね≫

「原因と治し方が、わかりましたよ。お嬢様」
「何ですって?本当ですの?それで、何が原因なのですか?」

「はい、お嬢様が貯め過ぎたからですね」

「……」お嬢様が頬を赤らめる。
「……」エイミーさんは無表情だと思ったら眉寄せて虫けらでも見るような冷たい表情に変わっている。
「……」若様がそっぽを向いて聞こえないふりをしている。
「……」ヴァネッサさんが残念な人を見る憐みの表情を向ける。
「……」ミラが真っ赤になっていた。

「あれ?俺なんか変な事言った?」
「ヒデ兄師匠、女の子に何てこというの?」

「え?……あ、違うよそうじゃないよ。えっとね、あの、ま、魔力の事だから」

 まだ、少し赤い顔をしているお姫様が慌てて答える。
「ま、魔力ね、魔力がどうしたというのかしら?」

「はい、えっとですね。お嬢様は人より多くの魔力をお持ちのようですね?その膨大な魔力を消費せずに持っているのが原因なんです。ですので魔力を消費すればこの病気は治ります」

「何ですって、そんな事で治るの?でも、だとしたらこの病気は治らないですわ」
「ん?何でですか?」
「私は魔法が使えないですの。いえ使えなくなったってしまったの。フフ、確かに今までの人達とは違いましたわ。エイミー」
「しかし、お嬢様」
「良いのですわ、ヒデさんにお礼をお渡しして」

「ん?治療費は治ってから貰うよ?」

「貴方、聞いてなかったのですか?」

「んー、使えなくなったって事は前は使えたんでしょ?何か原因があるんですよね?」


「いいでしょ、お話ししますわ。あれは私がまだ幼少の頃、私の魔法が暴走したせいで、お母様のお顔に酷い火傷を負わせてしまったのです。今でも、お優しいお母様は私に怪我が無かった事だけをお喜びになってますわ。でも、大好きなお花の手入れやお散歩が出来なくなってしまいましたの。私のせいでお母様は、お部屋から出られなくなってしまったのです。そして、私はその日以来魔法が使えなくなったのですわ。わかったでしょ?」

「なるほど、じゃあ、そのお母様の火傷の怪我が治れば魔法が使えそうですね?」

「貴方に司祭様ですら治せないものが治せますの?」
「どうだろ?診てみないとわかんないけど?」

「……何なんですの貴方は。では城に来てお母様の怪我を治してもらいますわ」

え?城って言った?見たい、見てみたい。デカイ建造物は大好きです。

お読みいただきありがとうございます。

仕事が忙しくてこんな時間になってしまいました。
数日は、すこし遅くなってしまうかも。
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