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この世界の平均寿命を頑張って伸ばします。 作者:ちちまさ

第一章

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side ヴァネッサ物語

 私には、感謝などと言う言葉では到底言い表せない人が両親以外に二人いる。

 一人は最近知り合った人。一〇年前に負った怪我を治してくれたヒデ殿。

 強大な魔力と癒しの技を持ちながら何一つ偉ぶらず、治療の為ならその魔力を使い果たし倒れるまで治療をやめない人。
 地位や名誉、お金にも欲を見せない聖人かと思わせる半面、木剣を腰に差し満足げな顔をしたり、よくわからない人だ。
 傷の事は自分としてはもう一〇年間でだいぶ慣れたのでそこまで不自由を感じては無いのだが、この傷を見るたび悲しそうな顔をするダニーを笑顔にしてくれたのだ。やっぱり、感謝の言葉だけでは言い表せない。


 そして、もう一人が親衛隊隊長のシオン様だ。この人は先のヒデ殿とは、真逆の人だ。こんな恐ろしい人がこの世に存在するのかと本気で考えたこともあったくらい恐ろしい人だ。



 目の事故から一年。やっと顔を見せたダニーは、子熊のようになっていた。一年前は、私より身長が低く、”おちびのダニー”などとからかっていたのに……可愛かったダニーはいなくなったが、今のダニーも子熊のヌイグルミみたいで可愛くていいな。

 傷を見て泣きそうな顔を一瞬して無理やり真顔に戻して話す。
「目、すまなかったな」
「いや、事故だ気にするな」
この後何百回と繰り返すやり取りの一回目がこの時であったかよく覚えてはいない。

 あの日以来、ダニーは剣を持つことが出来なくなっていた。

 二人の家は代々騎士を務めてきた武家の家だ。当然のように騎士学校に入学している。騎士の学校なのだ、片目だろうが、剣が握れないだろうが、関係ない。剣の強さで、成績の順位が決まっていく。私は、上位の成績だったが、ダニーは、最下位だった。何とか、引き上げようとするのだが、私が近づくと逆効果になるようだ。


そんな時に現れたのが、当時、親衛隊隊員のシオン様

「陛下が、最近の学生の技術の低下を気にされてな、私がここに配属された。ここは、実に無駄な金を垂れ流しているとは思わないかな諸君、こんな事ならここを潰してスラムに炊き出しでもしていた方が諸君らにはお似合いなのではないか?違うと言うなら今すぐ剣を持って闘技場まで来い、今すぐだ殻も取れないひよこ共が!」

 衝撃的だった。学校と言っても貴族のみの学校だ。学校内での爵位、階級など関係が無いなどと謳ってはいるが、内情は爵位が幅をきかせている。公爵様辺りが怒りそうだなと思ったらやっぱり闘技場の真ん中で剣を持って待ってた。


「おい、貴様、親衛隊隊員ごときが、この公爵家のーーーーーー」
 バキッ~~~
「木剣は脆くてダメだな。で、なんでしたっけ?公爵様なんか言ってましたか?まあ、いいか、次の奴の邪魔だからとっとと出て行ってくださいよ」
最後の”よ”のとこで思いっきり場外に蹴り飛ばしていた。

「はい、次どうぞ」
「くっ、話している最中に卑怯ではないか?」
「はあ?敵は待ってくれないですよ?四の五の言わずかかってらしゃい」
「くそ、行くぞ~~」
 バキッ「次」ボクッ「次」ドムッ「次」ザクッ「次」グフッ「次」…………

 ほぼ、一撃でふっ飛ばされる学友達、そんなこんなで私の番まですぐ回って来た。
「おお、もしかして、独眼の姫ですか貴方?」
「は?そんな呼ばれ方もしてましたか?」

「ふうふん、なかなか、好成績らしいじゃないか、どれ、少し遊んでやるか」

「クッ、行きます」
 飛び込んだ瞬間右目の死角に入り込んで思いっきり吹き飛ばされていた。

「え?なにそれ、貴方、右側の感知して無いの?」
「ある程度はしてますが……」
「話にならない、どうする、もうやめときますか姫さん」
「クッ、まだまだー」

「おお、いいですね~、少しは楽しめそうだ」
 この後も容赦のない死角攻めを受けて成す術なく完膚なきまでボロボロなされた。


 私はこの時気を失っていたのだが、ダニーは剣が握れないなら盾でも両方に持ってろと言われて戦ったところ、シオン様が笑顔になる位まで押したそうだ。ま、笑顔になってからボコボコにされたそうだが。

 今までみんな、右目の死角に入らないように気を使いながら戦っていたのは何となくわかっていた。たまに攻めて来てもわかりやすいフェイントや掛け声などかけていたから、この甘い感知でも掴んでいたが、シオン様が初めて容赦なく攻めてくれた。まるで歯が立たなかった。しかし、この人を倒さないと憧れの親衛隊には入れないのだ。

 次の日、山ほどポーションを持ってシオン様に所に行き稽古をつけてもらった。次の日も、次の日も、次の日も……



 そして私は…………



 条件反射で立てるようになっていた。

「立て、ヴァネッサ」
「はいっスッ」
「面白いな。ゾンビかよ」

 面白がっているがここで立たないと容赦なく踏みつけて来るのだ。

 え?勝てるようにならないまでも一撃くらい入れたのでわって?ハハ、あんな、非常識が服着て歩いてるような人にありえないですよ。まあ、手を抜いてる時に一撃かすった瞬間、満面の笑顔で何をされたかわからないうちに倒れた事はありましたが。

 まあ、おかげで剣の腕も上がり親衛隊にも入隊することも出来たのですが、あの刷り込みはいまだに消えない。隊長の前に出ると学生時代に戻ってしまう。

 後、変な口調に。


 そう言えば、こないだの瀕死騒ぎの時だって本当は、城全体を巻き込んで爆発するほどの禁術を用いた魔術だったらしいですよ。それを、強引に自分だけに向くように魔法を書き換えたらしいです。発動した魔法の書き換えってどうやるんですか?って話ですよ。聞いてみたら「なんか出来た」ってわけわかんないですよ!


 最近はおめかしして何所かに出かけているらしいのですが、あの服装は反則だ。最初に見た時など、宴会芸の練習かと思って思いっきり笑ったら、今までもらった事のない本気のパンチを食らった。


 あれ以来、あの服で現れたら、咄嗟に身体を抓って平常心を保てるようになった。人間必死になれば出来ない事はないようです。

 あれ?後半隊長への愚痴みたいになっちゃっいましたね。でも、感謝してるのは確かなんですよ。

 隊長とヒデ殿に会えたことを

 ”女神様に感謝を” 


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