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この世界の平均寿命を頑張って伸ばします。 作者:ちちまさ

第一章

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交渉 当日



 翌日の朝にポールさんがギルドに来てくれた。朝ご飯を食べ終わってチョットゆったりしていた時だったのでギルドの酒場にいた。
「あ、ポールさんこっちこっち」
 ギルドの入口でキョロキョロしていたポールさんに声をかけた。こちらに気が付いてにこやかにやって来る。

「ヒデ君、おはよう。ギルドに来るのも久し振りなのでな色々変わっているのう」
「そうなの?俺はこの状態しか知らないから。どんなとこが所が違うの?」
「そうじゃのう。まず何か狭くなっておらんか?」
「ん?もしかして診療所が出来たからかな?」

「ほほー、あれがヒデ君の診療所か」
「いや、俺のってわけじゃないよ」
「フォフォ、そうなのか?」
「でもヒデちゃんはあそこに住んでるから診療所のヌシみたいな物よね」
 ママさんがポールさんの茶を持ってきてくれた。

「俺が診療所のヌシならママさんは酒場のヌシじゃん」
「あら、私はちゃんと自宅あるもの」
「え?そうなの?いつも居るからここに住んでるのかと思った」

「ホホホ、ヒデちゃん乙女には秘密がたくさんあるのよ」
「漢女の事は知りたくもない事だらけだけどな」
「あら?ヒデちゃんには秘密を教えてあげてもいいのよ?」
「だから知りたくないって」

「フォフォ、楽しそうでいいのう」
「う、まあ、騒がしくて退屈しないのは確かだね」
「フォフォ、良きかな良きかな」

「そんな事より今日の作戦会議しましょう」
「フム、何か考えとかあるのかの?」
「これと言ってはないです。誠意持って話をするつもりです」

「それで良い。相手は化粧品の改良に改良を重ねて造り上げとる商品への愛がなければできん事じゃ」

「はい、俺の故郷でも色の白さや化粧の伸びの良さなどから好まれていました。お化粧の美しさのみを見れば鉛白にいってしまうのは仕方ない事かと思います。なので、この造っていただいた試作品を代替品にしてもらいたいと思てます」

「フム、試作品の質問などはワシが答えるからの。ドンドン振ってくれ」
「はい、その時はお願いしますね。それと昨日キャリーさんに色々訊いて、考えた物とかあるんですけど……」

 時間いっぱいになるまで色々話した。


 お昼過ぎになって若様が迎えに来る時間が近づいてくる。
「じゃあ、留守番お願いねキャリーさん、ミラ」
「はい、お任せ下さいませ」
「うん、ヒデ兄師匠頑張ってね」
「おう、頑張って来るぞ」

 診療所の中に入ると若様が待機していた。
「若様今日はよろしくお願いします。こちらが湿布薬や今回の化粧品を開発してくれた。ポールさんです」

 若様が慣れた感じで右手を出して握手しながら気さくに話し出す。
「こんにちは。ポールさん僕はヒデ君の友人です。あの湿布薬は父や母も大喜びしてましたよ」
「フォフォ、ヒデ君はああ言っとるがヒデ君がいたからこそ出来上がったものじゃよ」

「やっぱり、ヒデ君の周りにいる人達は小気味良い人達だね。さあ行こうか。ヒデ君準備はいいかい?向こうはもう待ち纏かまえてるからね」

「はい、大丈夫です。お願いします。若様」
「じゃあ行くよ」

 そう言うともう次の瞬間には、診療所とは違う場所になっていた。

 部屋の雰囲気は周りの装飾品はもちろん、椅子やテーブルまで落ち着いた趣味の良い、けして安くなさそうな品々だった。その真ん中にケネスさんの隣の派手な衣装を着た初老の男性が立っていた。

 あの人がマルーツさんかな?衣装が派手だけどスマートで切れのある顔だちをしているので妙に似合っていた。一歩前に出て挨拶をする。

「こんにちは。私はヒデと言います。回復師をしております。こちらは今回のお化粧品の開発をしてもらったポールさんです」

「ほほー、私はマルーツ商会のマルーツだ。友人のケネスから何やら会ってほしいと頼まれたのでなここまで会いに来たのだよ」

「はい、まずは、貴重な時間をいただきありがとうございます。お時間をあまりかけるのも良くないので、まずはこちらのお化粧品を見て欲しいのです」

「ん?何かと思ったら商品の売り込みか?」
「近いですがそうではないです。まずは手に取って試して下さい」

「ふむ、どれ化粧品には少々煩いぞ。覚悟しておけ」
 そう言うとテーブルに置いた試作品の蓋を取って、顔を近づけ匂いを嗅いでから手で取ってみたりなど色々試してみている。暫らくしてテーブルに戻す。

「悪くない。だが、うちの製品の方がより白く伸びも良いな」
「はい、鉛白は色が鮮やかですからね」

「ん?成分の分析をしたのか?ならなぜ鉛白を使わなかった?」
「うーん、確かに分析はしましたが、この白さが鉛白の物なのは最初から知っていましたから」

「知っていた?知っていたとはどういう事だ?」
「言葉通りです。私の故郷では鉛白を使用した化粧品は、肌を白く見せお化粧のノリも良くとても人気がありました。ある事実が解るまでは」

「なに?ヒデと言ったか?ヒデの故郷では同じものが発売されているのか?」

「いえ、今はもう発売してないですよ。発売禁止になったのです」

「発売の禁止だと?いったいどういう事だ?いや、それも気になるが、うちより先に発売していただと?二番煎じではないか」

 え?そっちに食いつくの?なるほど。そっちを押し気味に交渉出来るかな?


「いや、今は発売禁止になったと言ったな?どういう事なんだ?」


「はい、鉛白はとても危険な物なのです。使用した本人、そして抵抗力の無い赤ん坊には特に危険なんです」

「それを、証明する事は出来るか?」
「出来ません。私は回復師です。研究者ではないです。この鉛白が危険な事は知っていてどの様な現象が起こるとしか知らないのです」

「では、君がウソをついている可能性もあるわけだ」
「いいえ、ありません」
「はあ?なぜ言い切れる」

「では、私がウソをついて何の得があるのですか?」
「君はこの試作品を売りつけに来たのではないのか?」

「いいえ、これは貴方が鉛白の使用をしないとお約束していただけるなら、無料で製造方法をお渡しします」

「製造方法を無料でだと?この化粧品が出来るまでどれだけの熟練した技能がいると思っている?」
 あれ?そうなの?ポールさん簡単に作ってたけどなんでだ?

「えっと、そうですけど。それだけこっちも本気で来ているという事です」


「わかった」


「え?わかったって?どういう事ですか?鉛白の使用をやめてくれるって事ですか?」
「いや、君らが本気なのはわかったという事だ。なのでこちらも開発の人間を呼びたいのだが少し時間をおいてから話し合おう」

「わかりました。我々はここで待たせてもらいます」

「うむ、すまんな。ケネス他の部屋を借りるぞ」
「なら、ワシの部屋でいいだろ」
「どこでもいい」

 ケネスさんと話しながら部屋を出て行った。

 ハァ、疲れた。まだ後半戦もあるのかよ。

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