挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
この世界の平均寿命を頑張って伸ばします。 作者:ちちまさ

第一章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

100/149

仲間


 ポールさんが少しうなだれて話しかけてきた。
「ヒデ君すまんな。思いつく限りの事はやったんじゃがな」
「ん?何言ってるんですか?ここまでやってくれたんですよ?後は任せて下さい。きっと売ってみせますよ」

「ヒデ君こそ何を言っているんじゃ?相手がどれだけの規模で商売をしているか聞いておるよな?」
「ええ、聞いてます。でも、せっかくここまで作り上げてくれたのに……」

「ヒデ君、前に君が国単位で腰痛の人を救いたいと言った時の事をおぼえておるかの?」
「もちろん、覚えてますよ」
「では、ワシが何を言いたいかわかっておるじゃろ?いや、ヒデ君も本当は大勢の人を救う方法が一つしかない事はわかっておるよな?」

「う、でも、皆がここまでーーー」

ヒューイさんが少しあきれたように話しかけてきた。
「ヒデさん、俺言ったよね。随分消極的だって。ヒデさんは勘違いしてたみたいだけど、俺の言った消極的だねって言ったのは他人を救う時のヒデさんは一直線に向かって行くのにどうしたんだろうって思ったんだよ。この試作品は素晴らしい出来だがマルーツを圧倒は出来なかった。それを踏まえてヒデさんの意見を訊きたい」


 俺はここに集まった人の顔を見回す。
「ヒューイさん申し訳ないこの化粧品をヒールファクトリーで販売することは出来ないです。ポールさん、ウィルさん化粧品の開発ありがとうございます。これだけの出来なら絶対に説得できます」

「試作品が出来てもしかしたらぐらいにしか思ってなかったよ。ヒデさん、焦らなくてもキチンと売り上げは上がってるし、スラムの人達の生活水準は上がってるよ。ヒデさんはでっかくかまえてくれないと面白くないよ」

 ウィルさんが力強く話す。
「マルーツの化粧品は流石の出来だったよ。でも、俺と親父が造りあげた物だってけして引けを取る様なもんじゃないと自負しているよ。圧倒出来ないとわかった時に親父と話して、何とか現状より良い物に仕上げたつもりだ」

「うん、そうだね。何を焦ってムキになってたのかな?交渉出来るならした方がいいよねその方がたくさんの人が救えるんだから」

「フォフォ、そうじゃ、ヒデ君はそうでなければのう。その為に造った試作品じゃよ。ヒデ君後は頼んだぞ」

 今まで黙って聞いていたエド君が慌てて話し出した。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。ここまで出来た商品を売らないんですか?商品の出来はマルーツの物にも引けを取らないんでしょ?じゃあ、売りましょうよ」

「うーん、エド、それでお前の見込みではどれぐらい売れると思う?」
「え?ヒューイ先輩、そ、それはマルーツのこの化粧品の半分くらいは売れるんじゃないでしょうか?」
「うーん、ま、エル商会が手を貸してくれたらそれぐらいはいくかな?でも、マルーツはまた鉛白を使った新製品を出してくるぞ」

「そ、そうなりますよねやっぱり。こんな良い商品なのにお蔵入りになるなんて悔しいです」

 ウィルさんがエド君の肩を叩きながら笑っている。
「ハハハ、エド君、ありがとう。でも、ヒデさんがこの試作品を必ず生かしてくれるさ」

「はい、必ず生かしますよ。まずはエル商会のケネスさんに連絡取らないとね」
「次の荷の引き取りはまだ当分先だよ?」

「あ、大丈夫、そこら辺は当てがあるから。試作品もらって先に戻るね。キャリーさんとミラはお化粧品の改良に付き合ってくれる?」

「わかりましたわ。ホホ、目の輝きがさっきとは大違いですわね。お師匠様そうでなくてはいけませんわ」
「ハハ、ありがとう。キャリーさんも見抜いていたんだね」

「お師匠様はいつも向こう見ずに走ってましたからね、今回だけ消極的になっていたのが気になっていただけですわ」

「フフ、そうだね。これこそ持ってる力を全部使って成功させる事だよね。皆ありがとう。皆が作ってくれた道筋を使わせてもらうよ」


 そう言うとドアから飛び出してギルドに向かった。この世界に来てヒールの力で色々な人を救った。それはこの世界から見ればほんの一握りにも満たないだろう。

 今度は未来の為に何としても鉛白の使用をやめてもらわなければと、考えて代わりになる商品を生み出してもらい、地球の知恵を使って売れば売れるはず、これを買えば救われるのだから売れるはず、などと勝手に思い込んでいたのかもしれない。

 そして、皆わかっていたんだ、俺がこの道を辿るだろうとその為に道筋を付けてくれていたのだ。嬉しくてしょうがなかった。きっと今笑いながら走っているだろう。だが笑う事も走る事も止められなかった。


 ギルドについて診療所のドアを開けると若様とヴァネッサさんが待機していた。
「やあ、ヒデ君何か話があるんじゃないかと思って来たんだけど?」
「ハハ、これはナイスタイミングですよ若様。本当にいるなんて驚きましたよ」

 それだけ言って呼吸を落ち着くのを待ってから、化粧品の話しと化粧品の中に入っている鉛白の危険性と代替えの商品がある事、マルーツの会頭に会いたい事を話す。

「なるほど、ヒデ君の話しでなければそんな馬鹿なの一言でかたずけている話だよ。それだけマルーツの化粧品は信用があるからね」

「はい、それは、仲間に調べてもらって知っています。この鉛白は直ぐには症状が出ないんですよ。本人より生まれて来る赤ん坊に障害が出たりするんですよ」
「それが本当なら大変な事だよ。いや、ヒデ君が言うなら本当の事なんだろう」
「はい、なのでマルーツの会頭に直接会って話しをしたいんですよ」

「なるほど、流石ヒデ君だねそこまで用意をしているなんて」

「う、えーっと、恥ずかしい話ですけどここまで用意してくれたのは仲間なんですよ。俺は何とかこの商品をマルーツより売れば被害が抑えれるって考えていたんですが」

「それは、難しいだろ?マルーツの販売力は国内外どちらでも五番内にはどの国でも入るんじゃないかな?」

「らしいですね、だから仲間も俺が次にこの道に進むってわかっていたみたいでこの試作品を仕上げてくれたんですよ」

「フフ、その仲間はヒデ君の事わかっているみたいだね。僕も今のヒデ君の方がヒデ君らしいく思うけどね」

「はは、そうですか?若様もそう思うならそうなのかな?」

「マルーツの会頭の面会は何とかするよ。会える日が決まったら知らせに来るよ」
「はい、お願いします。出来れば王族の命令じゃなくてケネスさんから回してもらいたいのですが」

「なるほど、その方がいいね。了解したよヒデ君。急ぐ為にも今日は一旦戻るよ。じゃあね」
そう言うともう次の瞬間には消えていた。

「よし、後はマルーツの会頭に会って何とか代替えの案を飲んでもらわないとね。とは言えきっとケネスさんみたいに何かオーラ持ってるんだろうな。会うの怖いな」

誰もいない診療所でひとり呟く。





+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ