Chapter 3 episode: Watchers
一部始終を窓の外から眺め、省は眉をひそめた。
――やはり、よくわからない男だ。
なぜか霊力は低いようだが、それでも〔さきほどかけた術〕は興味深いものだった。
――あれは、使えるかもしれない。
捨て駒にはちょうどいいだろう。みずからの手を汚す必要はない。
それより気になるのは、〝プレイヤー〟の多さだ。
いったい何人いるのかわからないほど、能力者が当たり前のようにいる。ひとつの組織、それも学校にこれだけ集中するなど普通では有り得ないことだった。
――どうも、敵は多そうだ。
中立者は中立のままでいてくれればいいが、そうもいかないだろう。
――麗奈とロミオは……いないか。
肝心の二人の気配は察知できなかった。見つけたら、いったん拠点に連れ戻すつもりだったのだが。
「うん……!?」
今、一瞬だが明確になんらかの視線を感じた。
――なんだ?
わずかではあった。しかし、そこには看過しえないほどの強い何かが含まれていた。
――まさか、な。
自分が監視しているつもりで監視されているとでも? そもそも、この学校の結界内に入った時点で感知はされただろうが、今のところこちらに狙いをつける必要はないはず。
考えたくはないひとつの可能性。
〔ここにいるはずなのにいない仲間〕。
「――――」
自分だけは注意しておこう。そうこころに誓う省であった。