自分が・・・組織に刃向う者だということ・・・。
彼女には知られたく無かった真実・・・
いつか話す時が来ることは、自分も分かっていた。
その時が来るまで知られたくは無かった。
だが・・・彼女は知っていた。
全てを・・・俺の・・・
正体を。
「FBI?大君が?」
彼女が本当に驚いていたのか・・・偽りなのかは、まだその時の自分は分かっていない。
「あぁ・・・明日決着をつけに行く・・・」
この時。この時が真実を話した時だと俺は思っていた・・・
だが彼女が次に俺に見せた、偽りの言葉と表情で・・・
全てを読み取った。
『自分の正体は知られていた。』
「アハハ!バカね・・・嘘つくなら、もっとマシな嘘ついてよね・・・」
彼女が目を反らした。
「そんなんじゃ・・・」
そしてもう一度振り向いた時には・・・
俺が彼女の姿で一番見たくないものが・・・彼女の目に溜まっていた。
「全然驚かない・・・!」
「お前・・・知っていたな!?知っていて何故俺から離れない!?お前を利用していたんだぞ!?」
「言わなきゃ・・・分かんない?」
言葉が止まった。
「大君がFBIだって事は知ってた・・・。でも・・・そのことを言ったら、大君から離れなきゃいけないんだよ?・・・そんなの・・・絶対にいやだったの・・・!!」
バカ・・・な女・・・。
その次は、言葉よりも行動の方が早かった。
「大・・・君・・・?」
顔は見えなかったが、彼女が戸惑っているのは聞こえた声で分かった。
「すまない・・・。明美・・・。」
謝らなければいけない。彼女を不安にさせたのは・・・
俺だ・・・。
「仕事を終えたら・・・必ず、迎えに来る・・・。それまで待っててくれるか?」
「・・・うん・・。待ってる・・・。待ってるから・・・!!」
あの約束は果たされなかった。彼女に・・・あんな仕事が出されたのも・・・
全て自分が原因。
その仕事の前日にメールが一件来ていた・・・。
時が止まったような気がした。
『大君・・・もしもこれで組織を抜けることが出来たら・・・、今度は本当の彼氏として付き合ってくれますか?
P.S もし私に何かあったら・・・志保を頼みます。今までありがとう・・・。
愛してます。』
分かっていた。自分は彼女の偽り・・・『嘘の恋人』だということは・・・。
今になってどれほど自分が彼女のことを想っていたのかが・・・痛いほど分かった。
彼女の行方は分からない・・・。電話をしても必ず同じ声が返ってくる。
彼女には会えない。
妹にも・・・会わせる顔が無い。
姉が殺される原因を作った張本人・・・それが自分。
でも・・・必ず守り通す・・・。
彼女の最期の願いを叶えなければいけない。
『妹は何としてでも守る。だから心配するな。』
そう伝えたくても・・・
俺の声はもう届かない。
それでも・・・
『どんなに遠くにいる人でも・・・声は必ず届くから。あきらめちゃダメだよ!大君!』
彼女のこの言葉を信じてみようと思う。
やらなければいけない仕事を終えたら・・・
お前の最期の声に答えるから・・・
後もう少しだけ待っててほしい。 |