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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

きっぷのルールを知らない情弱からJRは何円儲けたのか?

 例えば、ここに出張で東京と大阪を新幹線で往復するサラリーマンがいるとする。
 出張するサラリーマンはよくやるだろう。
 そんな時、ふとしたことからみどりの窓口や指定席券売機で「東京から大阪までの往復」と言ってしまう。

 そして来たのは行きの特急券と帰りの特急券、そして「東京都区内→大阪市内」と書かれた往復乗車券。

 あーやっちゃった。こうしてまた一人、何も知らない哀れなサラリーマンが損をしてしまった。
 この手の凡ミスはおそらく毎日、日本の何処かで行われている。
 おそらく、損する切符の中でも一番多いのがこの「東京都区内→大阪市内」ではないか(2番目はおそらく東京都区内→神戸市内)と思う。

 え? 偉そうなこと言ってるお前は東京大阪を往復する時はどう買うんだって?
 私はまず、口で説明しない。紙にかけばやり取りの誤解も生じにくい。
 まず「特急券」の所に行きと帰りの新幹線の特急券を買う。ここまではいい。
 乗車券を書く欄、ここが問題だ。
 私はいつも「東京都区内→明石」と書いている。いや、実を言うと明石じゃなくても「土山」、「加古川」、「宝殿」、「(陽)大久保」何ていう書き方でもいいし、あるいは東京都区内の方を「鴻巣」とか「久喜」とか「熊谷」にする人もいるだろう。

 どうせ使わない区間を余計に買っているんだ。経路と距離さえ間違えなきゃ書き方は自由だ。

 私は何を言っているのかって?
 実は、往復乗車券の場合、片道の運賃計算キロが601キロを超えた場合、往復割引が適用され、片道運賃が1割引きになる(1円単位の端数は切り捨て)
 「東京都区内→明石」の場合、大阪を飛び越えていて608.9キロだ。
 ちなみに、601キロ以上だからと言って「垂水」「舞子」と書いてはいけない。これだと「神戸市内」扱いで「東京都区内→神戸市内」になってしまう。これだと一番大損のアホ丸出し切符が出来上がってしまう。

 それはともかく、この場合片道運賃は9610円、640キロまでならこの値段になる。
 ところで、アホ切符の象徴である東京都区内→大阪市内の場合、大阪駅が基準になるので、556.4キロだから片道運賃は8750円になる。
 しかし、東京都区内→明石の場合は1割引きになるから9610-961=8649、端数切り捨てなので片道あたり8640円!

 こうして、541キロ以上600キロ以下の切符を往復で買う時には、必ず余分に買うという鉄則を知らない冒頭の哀れなサラリーマンは、きっぷのルールを知らないで220円損してしまったのだ。220円あれば500ミリのジュースが飲める、100円の菓子が2個買える、大きなカップ麺だって買える。
 どうだ!? バカにできないだろう。

 しかも、この220円損する切符だって、例えば騙されている乗客が1日100人いたとすれば毎日22000円、1年で803万円も儲けている計算になる。
 ちなみに、これが新神戸駅だと589.5キロになるので片道あたりの運賃は9290円、明石までの切符に比べると1300円も損していることになるのだ。

 JR東海によると、1日あたりの新幹線の乗車人員は2015年度で東京駅が97,000人、品川駅が34,000人、京都駅が37,000人、新大阪駅が78,000人という、東名、名阪移動の人数等もあるが、どちらにしても毎日数万人は東京と大阪を新幹線で移動しているだろう。
 とすると、例えば限りなく少なめに見積もって1万人、そのうちの半数が往復割引の存在を知らずにアホ切符を買ったとしたら毎年毎年、JR東海は4億150万円儲けている計算になる。
 もちろん、これが毎日3万人騙されていたとすれば、年間24億900万円もJR東海は利益を得ていることになる。
 騙され方は他にもある。JR西日本と利益を分割するだろうが、東京都区内→神戸市内なら、1000人毎日騙されているだけで毎年4億7450万円鉄道会社が潤っていることになるのだ。

 あまり知られていないことだが、きっぷは原則として後戻りしない限り何度でも途中下車できるし(もちろん例外はあるし、我々が普段使ってるのも、定期券を除けば例外的な切符と言っていい)、距離に寄っては有効期限もそれなりの日数ある。
 基本的には一括で買ったほうが安いが、場合によっては分割購入が安い場合もあるから注意したい。

 更に切符は経路だって自由に決められる。だから例えば大宮から新青森を往復するのに、新幹線で単純往復するアホがたくさんいる。クソッタレな指定席券売機では経路まで詳しく指定できないからだ。
 ともあれ、幸いにして私の最寄り駅にはまだ窓口がある。
 私なら、よほど急いでもいない限り、新潟まで上越新幹線、そこから秋田まで白新線と羽越本線、そして新青森まで奥羽本線で、そこから新幹線で大宮と言う経路で指定する。

 大宮から新潟までは333.9キロ、新潟から秋田までは273.0キロ、秋田から新青森までは181.9キロ、そして新青森から大宮までが683.4キロ、全部の合計で1472.2キロ。運賃は15980円、対する新青森までの単純往復は683.4キロで片道10150円の所を往復割引で9130円となって18260円。
 どうだ!? 2280円だ。
 鉄道の切符は「遠距離逓減制」といって、距離が長くなれば長くなるほど1キロあたりの運賃が安いように出来ているのだ。

 だからこうやって一周すると運賃が安くなる。同じ手は秋田や山形、盛岡など、福島以北の東北本線・羽越本線・奥羽本線やその視線の沿線なら大抵の場所で使える。
 ただ、難点としては、新潟周りだと特急料金が高くなる。
 指定席特急料金は大宮新青森単純往復は「はやぶさ」だとして6470円往復で12940円、一方で新潟周りは秋田までの上越新幹線+「いなほ」で6180円、秋田新青森の「つがる」が2250円、そして帰りのはやぶさ6470円で14900円と逆に1960円高くなってしまった。
 それでもまだ320円違う。
 しかし、はやぶさは全席指定席だが上越新幹線と在来線特急は違う。普通車なら座席の質は同じだからここを自由席にすると上越新幹線+「いなほ」で5190円、「つがる」が1730円になる。はやぶさは据え置きで6470円だが合計は13390円と差額450円まで抑え込めた。これなら運賃分と合わせて1830円。
 1830円もあればラーメンが2杯は食えるだろう。


 更に在来線なら、特急料金不要の普通列車も走っている。
 接続次第で使えば特急料金がまるごと浮く。例えば新青森と秋田までの区間を普通列車で乗れば(701系なのが難点だが)2250円も浮く、そうすれば2570円、新幹線をつまみ食いすれば数千円浮かすことも出来るだろう。
 時間に余裕があるなら高崎、越後湯沢と新青森、盛岡のみを新幹線にするという手もある。どうせ有効期限は有り余ってるから平気平気。
 例えば津軽鉄道に乗りたいとか、弘前に立ち寄るとかなら間違いなくこっちの方が得だ。

 ちなみに、これが目的地秋田なら更に違ってくる。
 大宮秋田単純往復なら運賃は17680円、指定席特急料金は14860円で合計32540円。一方、新潟周りは運賃14470円、特急料金は13610円で28080円でその差額は4460円だ。
 ちなみに、秋田から大宮までグリーン車を使うとグリーン料金は片道4110円である(ただし指定席特急料金から520円引きになるので実質3590円)

 そしてもう一つ、地味に厄介な難点がある。
 乗車券には経路として「東海道」だとか「東北」とか「羽越」とか「新幹線」とか「大宮」とか書いてあると思うが、あれは実はみどりの窓口の仕様で16個までしか印字できない。
 17個以上の経路を指定する乗車券も当然買うことが出来るわけだが、機械で発行できない。
 そうすると「出札補充券」と呼ばれる大変面倒くさい切符を発行しないといけない。
 駅員さんは、黄緑色の薄い紙で、手書き入力するハメになる。運賃も手計算しなきゃいけないから駅によっては何日も発行まで待たされることがある。

 私も、2回ほどこの「経路オーバー」で「出補」のお世話になったが、いずれも在住地から北東北に向け、新潟周りでの大回り旅行をしたケースで発生した。
 時刻表に詳しいと、ここからここまでは新幹線で残りは在来線でも間に合うとかそういうことを考えてしまう。
 そうすると、乗車券の都合上「乗車駅名、新幹線、降車駅名」となって3経路消費する。新潟周りだと在来線の場合、特に大宮以南の場合、「東北、高崎線、上越、信越、白新、羽越」と5経路になったり、そこに本数の少ない区間だけ新幹線に乗ろうとして「高崎、新幹線、越後湯沢」なんて注文をした日にはそれだけで8経路、更に東北新幹線でまっすぐ帰らずにローカル線に立ち寄るなんて真似をしたら……

 実際、2回ともそんなパターンになった。2回目の時のように知識のある駅員さんならいいが、1回目の時は「エラー出ると思います」と言っているのに打ち込んでエラーになった挙句何度も何度も試したのがかわいそうだった。

 いずれにしても、鉄道で旅行する際には、路線図をよく見て、時刻表をよく見て、なるべく経路がぶつからないように指定すると、格段に安くなるのだ。

 この存在を知らないため、JRは一体、何人の人からどれだけのお金を巻き上げたのか?
 興味は尽きないものだ。

 ところで、JR東日本の新幹線は東京駅から乗ってはいけないことを知っているだろうか?
 上野駅、または大宮駅から乗るのが基本だ。
第一、大宮駅までは線形が悪いのと埼京線沿線のプロ市民……もとい地域の方々が騒音問題で苦情を立てていることから、新幹線なのに110キロまでしか出ない、在来線で行ってもそこまで所要時間は変わらないのだ。
 え? 乗り換えが嫌だって? お前どうせ東京駅が最寄り駅じゃないだろ。今なら「上野東京ライン」とか「湘南新宿ライン」何ていうありがたいものもあるんだぜ。
 ちなみに、新幹線の東京上野の所要時間は6分、上野東京ラインの所要時間も6-7分だ。

 ともあれ、東京駅から乗ると、上野駅から乗るよりも一律で210円余計な費用がかかる。
 JR東日本は親切なことに新幹線での乗車人員を見せてくれている。東京駅は定期外1日平均68171人、定期9505人とある(2015年度)
 つまり1日あたり68171*210=1431万5910円、年間で52億2530万7100円、JR東日本は上野駅乗車を知らない人たちから儲けている計算だ。ちなみに、大宮乗車でもっと安くなるケースも考慮すれば(例えば新青森とか)、この金額はもっと大きくなる。

 ちなみに、上野駅は定期外9677人、定期1956人、大宮が定期外23052人、定期6109人だから、ああ悲しきかな。いかにこの世の中はバカが多いかということが分かる。
 あ、もちろんフリーきっぷとかの関係で東京駅から乗っても変わらないパターンもあると思います。あるいは日本のJR全線制覇するんだという時に、あるいは乗りたい列車が上野駅に止まらないけど、大宮駅で降りたら間に合わないとかで東京-上野を避けて通れないこともあるでしょう。その場合はうん、乗ってもいいんじゃないかな? と思います。
 とは言え、今では上野駅は大半の列車が停まるし、大宮駅は全列車停車駅なので、そんなケース滅多にないと思いますが。

 ちなみに、ここまでの話を聞いて、もし往復割引やきっぷのルールの存在を広報しないJRが悪いと言う人がいたら、それは全くの的外れであると言えるだろう。
 きっぷのルールを知らないあなたが悪いのです。というか、みどりの窓口にあるJR時刻表に全て載っています。
 巻末のピンクのページに「きっぷあれこれ」とあるのだから熟読するといいだろう。え? 面倒くさい? それもいいでしょう。でも、JRは何も悪くないですからね。ルールを知りもしないで損してるあなたが悪いんですから。
 え? 飛行機? バス? 自家用車? 何のことかなあ……おじさん難しいことよく分からないよ(笑)

 それに、あなたが余分にお金を使ったことで、JR東海のリニアに、あるいは他の経済に還元されるのです。
 悪いことばかりではないですよ。
現在、「永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件」が連載中です。
よろしかったらご覧ください。
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