窓から顔を出し空を見た。静かな夜、静かに輝く月。漆黒の暗闇。
扉を開き部屋を見た。嗅ぎなれたにおい、今にも崩れそうな机の荷物。何年も過ごしてきたこの部屋。
ベッドに入る。見上げたさきには見慣れた天井。ゆっくりと目を閉じる。
…暗い世界。僕の空想空間。
外は相変わらず変化をし続け、見慣れた町も学校も記憶とは少し違っている。
この部屋も僕が成長するにつれ荷物が増え、その分思い出も積まれてゆく。
町を歩けば知らない人たちが行き交い、出会い、別れる。
通り過ぎ知らない人であっても、僕と同じように生きている。生き方が違うにしても、生きている。
他人とは、自分と異なるもの。
僕と関わりを持たない人、僕の身近な人。
他人という言葉が一緒であってもちょっと違う。自分と他人。対なる関係。
自分と他人、つまり僕と他人。
でも僕は一人じゃない。他人という、家族、友達、恋人…。僕を支えてくれる人たち。
ぶつかり合って、言い争って、それでもなお、一緒にいる大切な他人。
繋がっているのは心の糸、見えない糸。
脆くて断ち切ることは簡単で、見えないから結ぶことは難しい。そんな糸。
そんな糸が張り巡らされた僕の世界。いくつ僕と他人が結ばれるのだろう。
僕と一体どんな人が結ばれるのだろう。一体どうすれば他人と結ばれるのだろう。どうすればいい?
僕は迷う。
糸を見つけるために彷徨い、糸を結ぶために奮闘する。でも、やり方がわからない。わからないから諦める。
一人僕は世界を閉じる。
僕を結ぶ糸なんて存在しない。僕の存在を否定する。
僕って何?
…。
考えれば考えるほど悲しくて、探せば探すほど迷い込む。暗闇が僕を一層惑わせる。
糸がほしい。
僕を救ってくれる糸がほしい。暗い世界を壊してくれる光がほしい。僕を結ぶ他人がほしい。
なんでもいいからほしい。僕という存在を否定しないでほしい。
…でもどうすればいい。
願うことばかりで、なにもしない。わからないからなにもしない。
だめだ、とわかっていても、その続きがわからないから動けない。
変化が怖い。心が痛い。
でも、薬がないから治せない。他人の力じゃ治せない。
暗闇の中、一筋の光を見つけた。僕なりの答え。
僕が治す、薬がないなら自分で作る。僕の力がだめでもあきらめない。
痛いから治す。
どんな理由であっても僕は少しずつ前を向く。
少しずつ変化をする。変化をしていくなかで世界を開く。
やり方がわからないのなら、やり方を作る。僕なりに作る。
他人と僕。繋がりが見えないけど、見えないからこそ大事にする。
断ち切ることのないように常に強く結びとめる。
僕と家族、僕と友達、僕と恋人。僕と他人。同じように生きている。
変化する、しない。
選択が必ずあるみんなの世界。どっちも正しい道。
行った方向でもう一つの道の意味が存在する。
意味が必ずある。迷っても必ず出口がある。
ないなら探す。探してもないなら自分で作る。
…少しずつ光に包まれこんでいく、僕の空想空間。
目を開ける。いつもと変わらない天井。でも、今日は少し暑い。毎日同じような日でも少し違う。
変化するこの世界。いつものように起き上がる僕。
でも今日は違う。そんな気がした、いつもの朝。
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