こんにちは。
今回は豆フクロウさんの「遊戯王GX~旋風の守護者~」より、主人公甲斐祐騎君とヒロイン紅龍蓮さんにお越しいただきました。とはいえ、デュエルするのは祐騎君だけですが。お相手は現在活躍中の本音担当ツンデレ(!?)エース。結構難産でしたが、なんとか完成しました。どうぞ!
第三期「胎動する終焉」
特別編「✝アルカナクロスワールド旋風の守護者✝」
アルカナ~切り札の騎士~
特別編「✝アルカナクロスワールド旋風の守護者✝」
「む……」
早朝、エースが散歩に出かけていると、一ヶ所だけ妙に景色が歪んでいる。
エースは今、希冴姫たちの部屋に居候している。男がいるのは不健全だということで部屋に入ったばかりのセツを追い出しての入居である。
「お前ら……言い分はわかる。わかるが、そんなに俺をたらい回しにして楽しいか!? 俺は一体、何回部屋を変えれば落ち着けるんだ!?」
「少なくとも、我は楽しい」
「鬼か!?」
「騎士だ」
良く言う、と我ながら苦笑した。だが、どうにも毎回やり込められるセツを、ようやくやり込めることに成功したので気分が良かった。結局空き部屋もなく、途方に暮れたセツはテント暮らしの憂き目に遭っている。今も気分よく散歩をしていたのだが……。
「これは……」
不用意に近づくことはせず、やや遠巻きにその歪みを観察するエースに、背後から声をかける者がいた。
「それは、時空の歪。終焉の影響で生み出された、異世界への扉だ」
「何者だ!」
牽制と威嚇の意味を込めて銀の細剣を振るう。しかし、その剣は軽くいなされ。そればかりかキィン……と軽い音と共にエースの手から奪われる。
「なっ!?」
「危ないな。こんな物騒なモノ、人間界ではあまり振り回さない方が良い。問題になるよ?」
そう言って苦笑するのは、エースよりも頭一つ半は高い、長身の男。風に靡く金の長髪といい、隙のない身のこなしといい、タダものではないオーラから、エースはその人物に当たりをつけた。
「……真中希望か?」
「正解。セツから話は聞いているね? 切り札の騎士団長、エース」
「そうか、貴様が……」
セツたちからは、大雑把にしか話を聞いていないが、相当な強者であり、一種のゲームマスター的存在であることは聞いていた。
「なに、そんなにいいものじゃない。権限自体は君たちと何ら変わりない、何処にでもいる一般市民さ」
「戯けたことを」
希望のジョークをエースは一蹴する。あからさまにからかっているのが丸わかりだ。
「それで? この……時空の歪、だったか。これはどうするべきだ」
「当然、放っておくのは良くないな。以前、セツもこれに遭遇してね。異世界でのデュエルで、歪みを正してきたのだけれど……」
希望は、エースとその歪みを交互に眺める。
「今回は、キミを御指名のようだ」
「何故我が。貴様が行けば良かろう」
「いやいや……物語のメインキャストを退けて主役などとてもとても」
「ふざけた奴だな……」
「けどまあ、実際こういった歪が目の前に現れた以上、今回はキミが主役なのさ。だから、行っておいで」
真面目なのかふざけているのかは分からないが、確かにこの歪は自分を呼んでいる気がしたエースは、訝しげな顔をしながらも仕方ないと首肯する。
「だが、確かこの歪は異世界へと繋がる扉なのだろう? 向こうの世界で正してしまえば、こちらにはどうやって戻ってくる?」
「なに。基本的にはキミを、世界がこちらの世界に引っ張り戻してくれる。歪がなくなることで異世界とのパスが切れ、修正がかかる、と言った具合さ」
「……とにかく、元に戻れるのならばそれでいい。余計な説明はいらん」
「そうかい? なら、いってらっしゃいな。僕は、ここで待っていよう」
「待たなくとも構わんが」
「いいじゃないか。キミをけしかけた手前、無事を確認する責任があるしね。責任は取らなくちゃいけない。そうだろう?」
「そうだな。それには、同意してやる」
それだけ言い残し、エースは歪の中へと身を躍らせた。
「あ、ちょっと待って」
……訂正、踊らせようとした。
「……な、なんだ人の出鼻をくじいて!」
「いや、君には今説明したけど、良く考えれば相手方にも説明が必要だろう。いきなり現れてデュエルしろ! じゃあ辻斬りみたいだし。辻斬り扱いされたくないでしょ?」
「……当然だ。我は騎士なのだから」
「というわけで、今回は僕も同行しようか。ストーリーテラーとしての役割、存分に発揮させてもらうよ」
説明好きの血が騒ぐのか、何処となく嬉しそうな希望を伴って、エースは歪に飛び込んだのだった。
「……む、ここか……」
気がつくと、目の前にはいつものレッド寮。特に代わり映えもしない、普通のレッド寮である。
「……? 異世界、と言っていたが……」
「なに、平行世界も異世界の内だよ」
屁理屈ばかり言う奴だ、と顔をしかめる。
「まあとにかく、中に入ってみるといい。キミのデュエル相手が……まあ、待っているというか、待ちぼうけているというか……」
「なんだそれは。はっきりしないな」
希望の指示する部屋の扉を開ける。と……
「……寝ているな」
「寝ているね」
部屋の中では、一人の男が平和そうな顔で一人眠っていた。確かに、待ちぼうけている、様にも見える。
「とりあえず、起こさんことには始まらないな。おい、起きろ」
適当に声をかけて揺するも、少し反応しただけで中々起きない。氷水でもぶっかけるか、とエースが少々物騒なことを考えていると、男が身動ぎした。
「起きたか?」
「……zzz」
ギュッ!
「っ!? ひ……」
眼を覚ましたかと思ったその男は、寝ぼけてエースに抱きついてきた。
「しッ……」
「あ、剣は預かっておくねー」
「痴れ者がぁぁぁぁぁぁっ!!」
突き飛ばしてから渾身のアッパー。幸い剣を持っていなかった――剣があればブロック肉にしていた――ので、仕方なく思い切りぶん殴った結果、男は更なる深い眠りに……
「つかないつかない」
「め、滅したか!?」
「滅さない滅さない。倒すならデュエルで。リアルで殴り倒しちゃダメだから」
『きゃあああっ!? ま、マスター!?』
「む?」
突如聞こえてきた悲鳴に、何事かと振り向けば、そこにいたのは半透明の、鷲のような帽子をかぶった天使の女性。
「……確か、『ガーディアン・エアトス』……だったか」
『そ、そうですマスターの精霊をやらせていただいていますエアトスです! というよりいきなり何を……』
「痴れ者を成敗しただけだ」
『ウチのマスターぶん殴っておいて何を抜け抜けと……!』
「いきなり見知らぬ男に抱きつかれれば、自衛のために鉄拳くらいは当然だろう」
この際、希望が剣を回収していなければ刃傷沙汰だったことは黙っておく。
『あ、またマスター寝ぼけて……なるほど。ですが、だからといってマスターが殴られたのを平然と見逃すことも……』
「職務熱心なことだな。エアトス」
『当然です! 私はマスターをお守りするために居るんですから! あ、あと私のことはエールと呼んでください』
「断る。我の名前はエース。エールだと紛らわしい。エアトスと呼ぶ。文句は好きなだけ言え。聞く耳持たんが」
『取り付く島なし!?』
その時、コンコンとドアがノックされ、真紅の髪をしたポニーテールの少女が入ってきた。
「祐騎、起きてる? また何かヘンな世界に……って、あんたたちは?」
「む……来客か」
「こんにちは。お邪魔しているよ」
未だにムスッとしたエースが少女を一瞥し、相変わらず自然体な希望が軽く手を上げる。
両者を眺め、少女はなるほど、と一つ頷いた。
「……今回のゲストは、あんたたちなのね」
「話が早くて助かるね。紅龍蓮」
「……なんで私の名前を?」
「禁則事項です」
伝家の宝刀一閃。これを言われたら黙るしかない。
「って、祐騎!? え、なんで祐騎が寝相じゃ説明つかない体勢でベッドから転がり落ちているの!?」
混乱する蓮に、希望が一通りの説明をこなす。ここにはデュエルをするために来たこと。祐騎が寝ていたこと。エースが起こそうとしたら抱きつかれたので自衛のため(強調)全力のアッパーカットで吹っ飛ばしたことなど。
「……ああ、またやったのね祐騎……とりあえず、事情は理解したわ」
顔を赤くしていることや、また、という言い回しから、恐らくは以前やられたことがあるのだろう。この状況も含めて。
「じゃ、とりあえずエースは、祐騎とデュエルをする必要があるのね?」
「そうだ。その痴れ者の女ならしっかりコントロールしておけ。危うく奇怪なオブジェを作りだすところであった」
「お、女!? ち、違うわよ私と祐騎はそんな……」
「なんでもいいから起こせ。話が進まん」
「おや、もうその話題を終わらせてしまうのかい? もっと弄れそうなんだけど」
かかった獲物をあっさりとリリースしてしまったエースに、希望は何やら不満げだ。
「弄らなくていいから! 起こせばいいんでしょ!?」
蓮もこれ幸いと赤くなった頬を隠すようにして祐騎を起こしに向かう。慣れたもので、ものの数分で深い眠り(気絶)に落ちていた祐騎を起こすことに成功してしまう。
「流石、手慣れたものだね。まるで熟練夫婦のような手並みで……」
「アンタは黙っていなさい!」
「説明役は引っ込んで後ろで解説していろ。誰も聞かんが」
「……辛辣。では、お言葉に甘えるとしようか」
希望は肩を竦めて背を向ける。
「え、えーと……すみません、なんか、状況が良く分からないんですが……」
突然起こされたと思ったら知らない人間が二人。しかも何やら顎も痛むという状況に混乱する祐騎に、今さっき下がったばかりの希望が嬉々として戻ってきて説明する。よほど説明するのが好きらしく、瞳が輝いている。
「なるほど……では、僕はエースさんとデュエルすればいいんですね?」
「そうだ。出来れば付き合って欲しい」
「はい。僕で良ければ喜んで」
「ふふ……そのセリフだけ抜き出せば告白っぽいね」
「だから、アンタは黙ってなさい!」
相変わらず余計な茶々を入れてくる希望を半ば無視し、エースと祐騎はデュエルデスクを構える。
「「デュエル!!」」
「僕の先攻、ドロー! 僕は『暴風小僧』を攻撃表示で召喚。ターン終了です」
「我のターン、ドロー! 我は永続魔法『ポット』を発動する!」
「『ポット』?」
初めて聞くカード名に、祐騎だけでなく蓮も首をかしげる。
「解説しよう。永続魔法『ポット』は、発動時互いに500ポイントライフを支払わなければ発動できない。このカードが存在する限り、ライフを支払う効果を使う度、100ポイントごとにチップカウンターを一つ、このカードに乗せる。更に、互いのスタンバイフェイズ時にも、最低100、最高500のライフポイントを支払う。そして、戦闘によってモンスターを破壊した時、破壊したプレイヤーはこのカードに乗っているチップカウンターを全て取り除くことで、その数×200ポイントライフを回復するゲインカードだ」
「なるほど……と言うことは」
「ああ。賭けようか。我らのライフを。まずは500ずつ、な」
エース&祐騎LP3500
「そして、我は『お注射天使リリー』を攻撃表示で召喚する」
「リリー!?」
「そうか、リリーの効果は……」
「そう。“ライフコスト”だ。バトル!『お注射天使リリー』で『暴風小僧』を攻撃! そして我はライフを2000ポイント支払って効果発動!」
エースLP1500
『お注射天使リリー』の注射器が巨大化し、『暴風小僧』に突き刺す。
「子供になんて仕打ちを。トラウマになったらどうするんだい?」
「……だ、黙れ」
「ところで、攻撃名は言わないのかい? ほら、『検診のお時間でーす』って」
「黙れと言っている!」
希望の茶々はともかく、リリーの攻撃により、『暴風小僧』は破壊される。
「くっ……!」
祐騎LP1600
「そしてこの瞬間、永続魔法『ポット』の効果が発動する! 今のコストで、『ポット』に乗っているチップは三十枚! よってライフを6000ポイント回復!」
エースLP7500
「なっ……」
蓮が絶句する。初手からライフ差が6000近く開いたのだから無理もない。
「何よあのチート!」
「いやまったく。リリーはキツイね。あの効果と相性抜群だ」
何しろ、『ポット』の影響下ではライフコストがコストにならない。これでは『お注射天使リリー』は実質攻撃力3400の三つ星。しかも攻撃する度2000ライフを回復するようなものだ。
「更に我はカードを一枚セット。ターンエンドだ」
「つっ……いきなり手痛いダメージだ……僕のターン、ドロー!」
「『ポット』の効果だ。ライフを支払え」
「くっ……僕は100ポイントライフを支払います」
祐騎LP1500
「祐騎! 頑張って!」
とはいえ、序盤からこのライフ差はキツイ。
「祐騎……」
心配そうに祐騎を見つめる蓮に、希望はフッ、と微笑みかける。
「大丈夫。彼は、打開策を見つけているよ」
「え?」
「行きます! 魔法カード『死者蘇生』! 墓地から『暴風小僧』を蘇生します!」
「させん! カウンタートラップ『神の警告』! ライフを2000ポイント支払い、モンスターの特殊召喚を含む効果を無効にし、破壊する!」
エースLP5500
そして、ライフを支払ったことにより『ポット』にチップカウンターが20枚乗る。
「祐騎!」
「いや、これでいい」
「え?」
なんでもないことのようにそういう希望に、蓮が一瞬顔を向ける。蓮の耳に、祐騎の力強い声が聞こえてくる。
「僕は装備魔法『早すぎた埋葬』を発動! ライフを800ポイント支払い、『暴風小僧』を蘇生!」
祐騎LP700
ライフを支払ったことでチップカウンターが乗る。
「くっ……馬鹿な。『死者蘇生』を囮に『早すぎた埋葬』だと?」
通常なら、まったく反対の戦術をとるだろう。だが、『ポット』の発動下に於いてはこの“セオリー外”こそが妙手となる。
「更に『暴風小僧』をリリースして『神禽王アレクトール』をアドバンス召喚!」
「っ! アレクトール!?」
「そして、これがリリーの攻略法」
「行きます!『神禽王アレクトール』の効果発動! このターンのみ、『お注射天使リリー』の効果を無効化します!」
「しまった!?」
「バトル! アレクトールでリリーを攻撃!『デルタ・リバース・トルネード』!」
「くあっ!?」
エースLP3500
「更に、モンスターを戦闘で破壊したことで僕もライフを回復します!」
現在『ポット』に乗っているチップカウンターの数は29。
「よって、僕はライフを5800ポイント回復します!」
祐騎LP6500
「これで、形勢逆転だ」
「すごい……」
ライフ差約6000を一気にひっくり返した祐騎。それを、あたかも未来を読むかのごとく言い当てた希望。どちらも尋常ではない。
「僕はカードを二枚セット! ターンエンドです!」
「我のターン、ドロー! 我は『ポット』にライフを100支払う。我は手札から魔法カード『レイズ』を発動! ライフを500支払ってカードを三枚ドロー!」
『レイズ』は『ポット』が存在するときのみ使用可能なドロー補助。エースはカードを三枚ドローする。
「我は『切り札の騎士―テンス』を召喚。魔法カード『二重召喚』を発動!『切り札の騎士団長―エース』。即ち我自身をアドバンス召喚する!」
エースLP3400
「レベル7モンスターを一体のリリースで!?」
「我はリリース軽減能力を持っている。さあ、これで我の準備は整った」
エースは祐騎に向かって、無敵な笑みを浮かべる。
「我は手札から魔法カード『ブラック・コア』を発動! 手札を一枚捨てることでアレクトールを除外する!」
「うっ……アレクトールが……」
「更に、我のモンスター効果を発動! 我が存在する限り、我も貴様も、手札を捨てる度、カードを一枚ドロー出来る」
「手札コストまで……まさか、そのデッキは……」
「そうだ。我と、この『ポット』の効果を利用したコストレス・ポーカー! 我はたった今引いた装備魔法『閃光の双剣―トライス』を我に装備! 手札を捨てたことによりカードをドロー!」
「コストレス……!」
なんという恐ろしいデッキ。コストとは基本的に、強すぎる効果の規制のために設けられていると言うのに、それを無視するなど。
「バトル! ダイレクトアタックだ! 二連続攻撃!」
「ぐぅぅ!」
祐騎LP3500
「またライフが並んだ……」
「良い勝負だね」
そう言った希望だが、すぐに表情を鋭い笑みに変えて呟く。
「だが、もう終わる」
「え?」
「我はカードを一枚セットし、ターンエンドだ!」
「僕のターン、ドロー! 僕は『ポット』にライフを100支払います。僕は墓地の『暴風小僧』を除外して『シルフィード』を攻撃表示で特殊召喚!」
「さっきアレクトールを除外ではなく、破壊しておくべきだったな。エース」
希望の言葉。確か、祐騎の墓地にはこれで……。
「僕の墓地にモンスターがいないことで、僕は『ガーディアン・エアトス』を攻撃表示で特殊召喚します!」
『エースさん、私のマスターを殴った分は、きっちりお返ししますよ!』
「バトルフェイズ! 僕は『ガーディアン・エアトス』でエースさんに攻撃!『フォビドゥン・ゴスペル』!」
「させん! トラップカード『サンダー・ブレイク』! 悪いが倒させてもらう!」
「なら、僕も『サンダー・ブレイク』にチェーンしてトラップカード『ブラスト・モード』!」
「出たわ! 祐騎の切り札!」
「説明しよう。『ブラスト・モード』は、特定のモンスターを/ブラストと名のついた上位種に進化させることができる通常罠カードだ」
「……なんで別世界のアンタが説明できるのよ」
「解説キャラなもので」
その癖解説になっていないことを言う。
「『ブラスト・モード』の効果で、エールを進化!『ガーディアン・エアトス/ブラスト』!」
『力が漲る……! これなら!』
「そして『ブラスト・モード』の効果で特殊召喚されたエールは、このターンエースさんの魔法・罠・モンスター効果を受け付けません!」
「なにっ!?」
よって『サンダー・ブレイク』は不発。更に、進化した守護者の、真の力が解放される……!
「『ガーディアン・エアトス/ブラスト』の効果発動! お互いの墓地に存在するエアトス以外のモンスターを全てデッキに戻し、その数×500ポイント攻撃力がアップします!」
「……我の墓地に存在するモンスターは二体だ」
『墓地に眠る魂よ。私に力を!』
リリーとテンス。二体の魂が守護者の銃に吸い込まれ、攻撃力が1000ポイントアップする。これで、攻撃力は3800。
「更にトラップカード『ダブル・ショット』! このターンのエンドフェイズに対象を破壊する代わり、エールの攻撃力を倍にします!」
攻撃力7600。
「バトルを再開します!『ガーディアン・エアトス/ブラスト』で、『切り札の騎士団長―エース』に攻撃!『コミュニオン・ブラスト』!」
『ええい! スピリット・ブラスター、シュート!』
「ぐああああああっ!?」
エースLP0
「大丈夫ですか!? すみません、エースさんの分身に……」
「否、心配するな。むしろ今は、気分が良い」
「え?」
言葉の通り、どこか清々しい表情のエースはエアトスと祐騎に顔を向けた。
「最後、テンスとリリーをデッキに戻してくれて、ありがとう」
困惑する二人に、エースが言ったのはそんなことだった。
「何、我もお前と同じだ。出来れば、墓地にあいつらをとどめたままデュエルを終えたくはなかった」
「エースさん……」
「……やはり、別世界にも、居るものだな。我々を道具ではなく、生き物として、友として扱ってくれるものが。それがわかっただけで、我は満足できる。勝敗など、些末事に過ぎん」
エースの身体が透け始める。歪が消え、世界に引き戻されるのだろう。
「さらばだ。異世界の精霊使い。願わくば、その優しき心が陰らんことを」
「は、はい! エースさんも、どうかお元気で!」
お前もな、という言葉と笑みを残して、エースは消滅した。
「さて、じゃあ僕も後始末をしてから帰るとしようか。君たちも、元の世界に送ってあげるよ」
「え? そういえばあんたはなんで帰ってないのよ」
「フフ。さっき説明した事情だけど、実は嘘なんだ」
世界が徐々に綻びていく。端から糸が解けるように。
「嘘?」
「彼女の前に歪なんて現れていない。今回は僕の自作自演。君たちは、無自覚の仕掛け人。悪かったね。利用しちゃって」
「え、えっと……よく事情が……」
困惑する二人に、希望はまた笑顔を向ける。
「彼女は……エースは少々、繊細な子でね。モンスターが墓地に送られる。とりわけ精霊が墓地に行くことが我慢ならない性質なんだ」
希望は二人に、エースの事情を話して聞かせる。
「そんなことが……」
「だから、エアトス。墓地から魂を救いだす守護者を使うキミに、彼女の相手をして欲しかった。それが、今回の主題。ありがとう。優しい勇者殿」
「いや、僕は!」
いきなり勇者などと言われ、思わず顔を赤くする祐騎。
「それじゃあ、二人も元の世界で仲良くね。君たち二人の前に、光差す道があらんことを」
希望が指差す先、そこには光の道らしきもの。
「さあ、その道を行くといい。元の世界に戻れるハズだ」
「あ、あの」
「うん?」
「ありがとうございました。僕を選んでくれて」
「……どういたしまして」
純朴な言葉に心からの笑みを浮かべ、希望は返す。
「それじゃあ、行きなさい。もうすぐこの世界が壊れるよ」
「え、ええ。行きましょ。祐騎」
「はい。蓮さん」
二人の少年少女は手に手を取り、光の道を行く。それを見届けて、希望は解けて逝く世界を見上げる。
「すまなかったね。使い捨ての世界。キミの残骸は、決して無駄にはしないと誓おう」
解けた光の糸を、希望は掌に集め、光の珠をその手に抱える。
「さあ、次はどんな物語を紡ごうか」
世界が全て光の珠に消えると共に、希望もまた、その世界から姿を消した。
とりあえず二つほどコラボを終えた感想。
コラボって思いの外難しい! あと、自分が作ったオリカがちょうどいいと思っていても、やっぱりチート臭い! リリー強い!『ポット』あるとリリーめちゃ強い! 最強のメリットモンスター! なにコストレスデッキって!? 反則!
やっぱ、使ってみないとわかんないもんだなぁ……制限くらいは行きそうだ。
そしてエースより希望を目立たせてしまった。反省点多し。
どうにも微妙な感じになってしまいましたが、豆フクロウさんの旋風の守護者。こちらもよろしくお願いします。シンクロを導入する流れとかが秀逸ですので。あと、僕はティルが好き。このコラボでは出してない癖に。
それでは、悠でした!
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