さだめ「な~っにっかな~な~にっかなっ?」
ルイン「今回は、これ」
『拡散する波動』
さ「ライフを1000支払うことでレベル7以上の魔法使い族モンスターに全体攻撃能力とモンスター効果無効能力を持たせる魔法カードだね」
ル「私は使えない。天使族だから」
さ「……見た感じ魔法使いっぽいのにね」
お待たせしました! 今回から(ある意味前回から)最終戦が始まります! その緒戦を飾るのは……? 普段以上のボリュームでお届けします、アルカナ第四期第三十八話、どうぞ!
第四期「精霊界へ。全ての真実」
第四期第三十八話「いつか隣に立つために」
アルカナ~切り札の騎士~
第四期第三十八話「いつか隣に立つために」
「……アハッ!」
姿が安定した『リチュア・エミリア』が愉しそうに笑みを浮かべた。
「ねぇお姉さま? アタシたちってさぁ……」
エミリアの狂気に染まった瞳が苦痛に喘ぐエリアルを射抜く。
「あそこでへばってるポンコツをぶっ殺すことなんだよねェ?」
「っ……ぁ」
見つめられるエリアルの目が恐怖に染まる。
「待って! エリアルはやらせない!」
そんなエリアルの前に、凛が立ち塞がる。
「アァ~?」
その凛を気に食わなそうに睨みつけるエミリアは、ピンと来たように嗤う。
「あぁそっか! アンタそのポンコツのマスターだ! アハハッ! そっかそっか! アハハハハッ!」
「何がおかしいの!?」
「いやだってさぁ……」
ねぇ? とエミリアは先ほどからニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべるのみの『リチュア・ノエリア』に視線を向ける。
「……そのような、出来そこないの裏切り者に肩入れする神経を疑う、ということさね」
「なっ……!?」
あまりの発言に絶句する凛。ノエリアは淡々と続ける。
「そうであろう? 姉も同然のエリアを裏切り、力に溺れ、挙句罪を償うでもなくのうのうと生きる……何処をどう見ても、出来そこないではないか、のぅ?」
「ぁ……ぅ」
ガクガクと震えながら杖を支えに蹲るエリアル。
「エリアル! 気にすることはないわ! 貴女は出来そこないなんかじゃ……」
「で、も……」
水色の目に涙を一杯に溜め、震えてところどころつっかえながら、エリアルが話す。
「でも、あたしの、所為で……敵も増えて、それに、そもそもあたしがおねぇちゃんを……う、うらぎ」
「エリアル!」
「っ!」
それ以上言わないで。と言うようにエリアがエリアルを強く抱きしめる。
「……許せない」
そんな二人を見て、凛は激昂する。
「エリアルは、頑張ってる! 臆病で、いつも自信なさげだけど……それでも! そんなエリアルが、勇気を振り絞って私たちの戦いに着いてきた! 何か役に立ちたいって! その意志を……勇気を! 馬鹿にするのは許さない!」
凛はデュエルディスクを構え、戦闘態勢に入る。
「私とデュエルして! 私の大切な精霊を、馬鹿にした貴女たちは、私が必ず倒すから!」
「へぇ?」
「ほほ……小娘が。独りで我ら三人の相手をするというのか?」
「…………」
凛の挑発的な視線を受け、面白そうな顔をするエミリアとノエリアだが、もう一人……『リチュア・ナタリア』は興味なさげにそっぽを向いている。そして……。
「「「デュエ……!」」」
「おいおいおいおい! ちょっと待てよ!」
今にもデュエルが始まろうかというタイミングで口を挟んできた男が一人。光丸だ。
「お前らよぉ……なに人を無視してやりあおうとしてんだよ? オレだってそのアイドル娘とやりてぇってのによ!」
「貴方は……!」
「ハッ! ホントはあのクソ生意気な戦野剣士とやろうと思っちゃいたが……ま、ソイツは風丸に譲ってやらぁ」
ニヤニヤと、先程のエミリアとはまた違う、嫌らしい笑みを浮かべ、光丸が凛を見る。
「四対一……!」
つ……と凛の頬を一筋の汗が伝う。さっきは興奮していて気にならなかったが、流石に四対一という状況はわけが違う。そもそも、凛は以前セツに指摘された通り、リチュアデッキを使い慣れているわけではないのだ。その状態で、純粋なリチュア三人と、サポート能力に優れたクライスターボを相手にするのは、いくらなんでもマズイ。
「それでも……それでも、退くわけにはいかない! エリアルを馬鹿にされたまま、退くことなんて出来ない! デュエ「落ち着いて。凛ちゃん」……ッ加藤、先輩?」
自分を奮い立て、デュエルを始めようとした凛に、またしても待ったの声がかかる。
「頭に血が昇り過ぎ、だよ~? そんなんじゃ、冷静なプレイングも出来ないし、プレイミスもする。勝ちたいんでしょ? ならまずは落ち着かなきゃ~」
「で、でも……」
「流石に四対一じゃ厳しいでしょ~? わたしが手伝ってあげるよ~」
「え、でも……加藤先輩の相手は……?」
「ああ、それなんだけど~」
ユーキは苦笑する。
「わたし、みんなと一緒に戦ってたことあんまりなくて……因縁の相手、みたいなのがいないんだよ~」
言われて見ると、確かにユーキが戦った因縁の相手と言えるものは精々アテナくらいのもので、他に戦うべき相手が存在するわけでもない。
「だから、ね~? 二人くらいなら引き受けるよ~。どうせリチュアもクライスターボも、わたしにとってはカモだから~」
「……あぁ?」
「なんですって?」
ユーキの言葉にカチンと来たのか、光丸とエミリアがユーキを睨む。
「相手にならないよってこと。わかる? 儀式もターボも……わたしのサイレントデッキのカモでしかないの。なんなら、全員纏めて相手するよ?」
挑発的な視線。以前のユーキからは考えられないが、強くなったが故の自信だろうか。
「か、加藤先輩……っ! あんまり挑発しちゃダメです! それに、彼女たちは私が……!」
「凛ちゃん」
しーっ、と凛の言葉を止めるユーキ。
「お姉さま! アイツ! アイツムカつく!」
「まあ待て。エミリア」
「でもぉ!」
「挑発さね。乗るんじゃないよ」
さらりと受け流し、しかしノエリアもやはり腹に据え兼ねるところがあったのかギロリとユーキを睨む。
「…………」
その視線をニコリとした笑顔で受け流し、逆にまた挑発的な視線を向ける。
ピキ……。
「ナタリア!」
「ん~?」
どこか眠たそうに、しかし面白そうな微笑みを浮かべる異国風の女性。
「あの小娘、やっておしまい」
「ええよ~? ウチとしては、リチュア同士で争うんも興味ないし……」
それより……とナタリアはユーキに向けて流し眼を送る。
「強気の女は好きやわ~。ああいうんを可愛がってやるんも一興……どない? 光丸はん?」
「……はん。いいぜ。オレも強気の女を泣かせるのは大好物だぜ?」
怒りの炎を情欲の炎に変え、光丸も乗ってくる。
「そういうわけで……ウチらで相手したるさかい、よろしゅう」
「ま、精々可愛がってやるからよ」
「あはは~。ごめんね~? わたし、もう身体も心も売約済みだし……サクッと片付けてセツくん助けに行かなきゃね?」
チラッ、とユーキは凛に視線を向ける。
「っ……ありがとう、ございます!」
ユーキに背中を向け、自分の相手に身体を向ける凛。ユーキも同時に二人の相手に向き合った。
「さあ……デュエルの時間だよ~?」
「「「デュエル!!」」」
ユーキLP4000
光丸LP4000
ナタリアLP4000
上手いこと凛ちゃんから二人、こちらに引きつけることが出来て、わたしは内心ホッとしていた。変則タッグの二対一。ライフも相手の半分。デッキ相性が良いのは事実だけど……正直、わたしは内心不安に溢れていた。
「じゃあ、先攻は貰うね~?」
表面上どれだけ余裕ぶっていても、わたしは所詮どこにでもいる普通の女子。セツくんと出会って、強くなれた自負はある。でも……。
「ああ、いいぜ? オレたち二人相手にどこまでやれるか、見せてみなよ」
「二対一やし……そんくらいは許したげるよ? どーぞ」
数で勝っているからか、強気な二人。
「じゃあ……わたしのターン!」
気持ちで負けるな。わたし! それがデュエルで、どれだけ大事か、わたしは知ってる筈なんだから!
「わたしはモンスターを一体守備表示でセット! カードを二枚セットして、ターンエンド!」
落ち着け。何時も通り。何時も通りセツくんの教えを思い出して……今まで自分が培ってきたことをやるだけ!
「ハッ! 意気込んでた割に随分消極的だなぁ? こりゃ実力も底が知れるってもんだ! オレのターン!」
安い挑発。態々買ってあげる義理はないよね。わたしはわたしの信じたデュエルをするだけだから。
「オレは手札から『サイバー・ドラゴン』を攻撃表示で特殊召喚!」
『サイバー・ドラゴン』ATK2100
「『サイバー・ドラゴン』!?」
サイバー流のモンスターが、どうして……!?
「決まってんだろ? 希望様から頂いたのよ。何も不思議なことはねえだろ? 希望様は創造主なんだ。カードの一枚や二枚、当たり前に持ってる」
「……」
確かに、希望さんによって創造されたとも言える光丸たちが、その恩恵を受けていない筈がなかったね。こんなことで動揺してるようじゃまだまだ。心を落ち着けて。思考を止めない……。
「おら行くぜ! オレはカードを一枚セット! そして『サイバー・ドラゴン』をリリース、『光帝クライス』を攻撃表示でアドバンス召喚だ!」
機械龍が消え、空から光輝く帝が降りてくる。これが、『光帝クライス』……。
『光帝クライス』ATK2400
「光帝の効果を発動するぜ! コイツが召喚・特殊召喚に成功した時、フィールド上のカード一枚を破壊する! オレが破壊するのは俺のリバースカードとテメエのモンスターだ!」
「そうはさせない! リバースカードオープン! カウンタートラップ『デストラクション・ジャマー』! 手札を一枚捨てることで、モンスターを破壊する効果を無効にして破壊するよ!」
「なにぃ!?」
光帝から放たれた光線を結界が防ぎ、跳ね返す。
「クライスの効果は知ってる。セツくんに教えてもらったからね」
伏せたばかりの自分のカードを破壊しようとしたってことは、あのカードは恐らくフリーチェーンのカードじゃなくて破壊されることに意味のあるタイプのカード。『呪われた棺』や『黄金の邪神像』、『荒野の大竜巻』もアリかな? 他には墓地発動の『スキル・サクセサー』とかも可能性はあるけど……流石に可能性は低いかな。
「ちぃ……オレはカードを二枚セット。ターンエンドだ」
光丸さんは問題ない。効果は中々厄介だけど、使い手が未熟。挑発にも乗せやすそうだし、調子にも乗りやすい。
「ふむ……ウチのターンやね。ドロー」
問題はこっち。さっきまでの挑発もどこ吹く風で平然としてるし、何よりリチュア。サイレント・ソードマンでロックが完成してしまえば怖くないけど、この序盤を乗り切ることが難しい。わたしのデッキは大抵が二対一交換か一対一交換。何度も繰り返し襲われるリチュアの効果全てに対応し切ることは出来ない。
「まあ、初めはこんなもんやろ。『リチュア・アビス』を守備表示で召喚」
『リチュア・アビス』DEF500
「『リチュア・アビス』の効果は知っとるやろ? あらゆる召喚を切欠にデッキから守備力1000以下のリチュアをサーチする……中々便利な効果やなぁ? ウチは『ヴィジョン・リチュア』を手札に加え、効果を使うわ」
『ヴィジョン・リチュア』……確か手札から捨てることでリチュアのあらゆる儀式モンスターを手札に加えられるサーチ効果。リチュアはホント、そんなのばっかりだよね。
「ウチが加えるんは……ん~どないしよう? これやな。『イビリチュア・リヴァイアニマ』を手札に加える」
「リヴァイアニマ……」
セツくんからは聞いてないし、凛ちゃんも使ってなかった。どんな効果なのかはわからないけど……リチュアだし、嫌な予感しかしないね~。
「もいっちょ行くえ。手札から『シャドウ・リチュア』を捨てて効果発動。デッキから『リチュアの儀水鏡』を手札に加える」
「儀式魔法……」
揃っちゃったか。まあ仕方ないよね。最初の手札が豊富な段階で、リチュアが揃えられないとも思えないし。
「ほんなら行くえ? 儀式魔法『リチュアの儀水鏡』を発動! 手札の『イビリチュア・ソウルオーガ』をリリース。全てを呑み込み喰らいや!『イビリチュア・リヴァイアニマ』!」
『イビリチュア・リヴァイアニマ』ATK2700
ナタリアのフィールドに、一振りの剣を持った龍のようなモンスターが現れる。
「バトル、行くえ?『イビリチュア・リヴァイアニマ』でセットされたモンスターを攻撃!『タイダル・ソード』!」
『イビリチュア・リヴァイアニマ』が剣を振り上げ、わたしの守備モンスターを狙う。
「更にこの瞬間『イビリチュア・リヴァイアニマ』の効果が発動。このカードの攻撃宣言時デッキからカードを一枚ドローし、それがリチュアと名の付いたカードやったらあんさんの手札を一枚覗ける……ドロー!」
ドロー効果? やっかいだね……それにピーピング。伊達に希望さんの力で生み出されてないってことかな?
「ウチのドローカードは『サルベージ』。ふん、リチュアやないけど、結果オーライやね。さ、攻撃再開しよか?」
ナタリアがそう言うと、リヴァイアニマは今度こそわたしの守備モンスターを貫いた。
「わたしの守備モンスターは『シャイン・エンジェル』! このカードが戦闘で破壊され、墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスター一体を攻撃表示で特殊召喚するよ! わたしが呼び出すのは『サイレント・ソードマンLV3』!」
『サイレント・ソードマンLV3』ATK1000
「そう来る思ったわ。メインフェイズ2に手札から魔法カード『サルベージ』! 墓地の『シャドウ・リチュア』と『ヴィジョン・リチュア』を手札に戻し、墓地の『リチュアの儀水鏡』の効果発動や。デッキに戻すことで墓地の『イビリチュア・ソウルオーガ』を手札に戻す」
……やっぱり強い! リチュアは一ターンでどんどん手札がくるくる回る。墓地もデッキもなく、ただひたすらに自分の欲しいカードをピンポイントでサーチ&サルベージしてくるから戦線が途切れない。
「手札から『シャドウ・リチュア』を捨てることでデッキから『リチュアの儀水鏡』を手札の加え発動。フィールドの『イビリチュア・リヴァイアニマ』をリリースし、手札から『イビリチュア・ソウルオーガ』を儀式召喚や」
『イビリチュア・ソウルオーガ』ATK2800
「まだまだ行くえ? 墓地の『リチュアの儀水鏡』をデッキに戻し『イビリチュア・リヴァイアニマ』を手札に加え『イビリチュア・ソウルオーガ』のモンスター効果や。手札から『イビリチュア・リヴァイアニマ』を捨てることであんさんの『サイレント・ソードマンLV3』をデッキに戻させてもらうわ」
逆巻く水流が『サイレント・ソードマンLV3』を呑み込みデッキへと送り返してしまう。
「折角召喚しても、デッキに戻されちゃ終いやんなぁ? ターンエンド」
そのターンエンド宣言を聞いて、わたしは笑みを浮かべる。
「そのエンド宣言を待ってたよ~。リバースカードオープン。永続トラップ『リミット・リバース』! 墓地から攻撃力1000以下のモンスター一体を選択して攻撃表示で特殊召喚できる! わたしは墓地から『サイレント・ソードマンLV3』を特殊召喚!」
『サイレント・ソードマンLV3』ATK1000
「なんやて!?」
「そんなもん何時の間に……まさか!? オレのターンに!」
『デストラクション・ジャマー』のコストとして捨てたのは『サイレント・ソードマンLV3』。最初からこのつもりだったから~。
「クライスの効果も、ソウルオーガの効果も知ってるよ。ついでにガストクラーケとマインドオーガスの効果もね?」
「まさかテメエ、最初から……!?」
クライスの効果を躱すため、手札に温存。ガストクラーケの効果を躱すため墓地送り。マインドオーガスの効果を躱すためフィールドへの特殊召喚手段を確保しておき、ソウルオーガの効果には『シャイン・エンジェル』からリクルートしてきた囮を使う。
「最初はガストクラーケとマインドオーガスだと思ってたんだけどね? リヴァイアニマのレベルは8だったし、ソウルオーガもいることがわかったから~」
勿論リチュアの特性を考えれば全てに対応され、ガラ空きにされる可能性もあったから、二割くらいは賭けだった。でも、きっと八割方成功すると思ってたよ。
「この女……!」
「さあ、わたしのターンだよ。ドロー! そしてスタンバイフェイズ時にフィールドの『サイレント・ソードマンLV3』を墓地に送ってデッキから『サイレント・ソードマンLV5』を特殊召喚するよ~!」
『サイレント・ソードマンLV5』ATK2300
わたしのフェイバリットモンスター。ずっと見守っていてくれた寡黙な騎士。
「わたしは手札から『サイレント・マジシャンLV4』を攻撃表示で召喚するよ~」
『サイレント・マジシャンLV4』ATK1000
「そして魔法カード『死者蘇生』! 光丸さんの墓地から『光帝クライス』を攻撃表示で特殊召喚!」
「っ!? テメ、オレのカードを!」
『光帝クライス』ATK2400
「そして『光帝クライス』の効果で光丸さんの伏せカード一枚とナタリアさんのソウルオーガを破壊するよ~」
「ちっ!? オレはその効果にチェーンしてトラップカード『強欲な瓶』を発動! デッキからカードを一枚ドロー! クライスの効果で更にドローだ!」
「ほんならウチもドロー……やけど」
ナタリアさんの方はわかってるみたい。それが、どういう意味なのか。
「二人がドローしたことにより『サイレント・マジシャンLV4』に魔力カウンターが二つ乗るよ~」
『サイレント・マジシャンLV4』ATK1000→2000
「更にわたしの最後の手札は『天よりの宝札』! お互いに手札が六枚になるようにカードをドロー!」
わたしの手札はゼロ。だから六枚のカードを手札に加えることが出来る。光丸さんは三枚、ナタリアさんは二枚のカードをドローする。当然……。
「また『サイレント・マジシャンLV4』にカウンターが乗るよ」
『サイレント・マジシャンLV4』ATK2000→2500
「バトル!『サイレント・ソードマンLV5』で光丸さんにダイレクトアタック!『沈黙の剣LV5』!」
さあ、どうするのかな~? サイレント・ソードマンの攻撃を通しちゃったら、相方にとって都合が悪いんじゃないかな~?
「ぐうああああっ!?」
光丸LP4000→1700
あれ? 通っちゃった。あれだけ伏せておいて攻撃反応型はなし? ううん。どっちかって言うと……。
「続いて『サイレント・マジシャンLV4』でダイレクトアタック!」
「そっちはさせねえ! トラップ発動『ガード・ブロック』! ダメージを無効にしてカードを一枚ドローする!」
……やっぱりね~。
光丸さんがドローしたことにより、サイレント・マジシャンにまた一つカウンターが乗る。
『サイレント・マジシャンLV4』ATK2500→3000
「ど阿呆! そないカード伏せとるんやったらなんでソードマンの攻撃を止めんねや!?」
「うるせえ! ソードマンの攻撃を止めてたら、攻撃力3000の『サイレント・マジシャンLV4』のダイレクトアタックを受けるしかなかったんだ! それとも何か? この闇のデュエルで、3000ものダメージをモロにライフで受けろってか!?」
「レベルアップされるよりマシやろ!? なんでそないなことがわからへんねん!?」
やっぱり、即席タッグの綻び。元々光丸さんに協調性とかなさそうだし、そんなことだろうと思った。それに、ダメージが現実になる闇のデュエルだからこそ、大きなダメージを防ぎたい、と思うのは人としては当たり前。誰でもセツくんみたいに耐えられるわけじゃないんだから。
「オレらのターンでどうにでもすりゃあいいだろうが! どうせサイレントモンスターにモンスター効果耐性なんて上等なもんはねえんだ! オレのクライスとテメエのイビリチュアならどうとでもなるだろうが!」
そう。それも一つの答え。サイレントは魔法にこそ耐性を持ってるけど、効果モンスターや罠には弱い。けどね……。
「あ、それ無理だから~」
「……あ?」
「メインフェイズ2に魔法カード、『時の秒針』を発動。次のわたしのメインフェイズとバトルフェイズをスキップすることで、次の相手ターンのエンドフェイズまで、わたしのモンスターは魔法・罠・効果を受けず、戦闘では破壊されないよ」
わたしのフィールドが凍りつく。自分の次のターンを殆どスキップすることを代償に、自分のモンスターを無敵にするこのカード。使いどころは難しいけど、レベルアップモンスターとの相性は抜群だよ。
「なっ……!?」
「くっ……!?」
わたしは、自分でも自覚できる程に冷たい笑みを浮かべ、宣言した。
「二ターン、猶予をあげる。その間に、わたしをどうにか出来なければ……わたしの勝ちだよ」
「何やて……?」
「舐めやがって!」
「わたしはカードを三枚セット。ターンエンドだよ~」
「くそっ……オレのターン、ドロー!……くそ、モンスターを守備表示でセット。カードを一枚セットしてターンエンドだ」
『サイレント・マジシャンLV4』ATK3000→3500
これで『サイレント・マジシャンLV4』のレベルアップ条件も満たしたね。
「ウチのターン、ドロー! ウチは『リチュア・マーカー』を召喚! このカードの召喚・特殊召喚・反転召喚に成功したとき、墓地のリチュアと名の付く儀式魔法か儀式モンスターを一枚手札に戻すえ。ウチが戻すんは『イビリチュア・ソウルオーガ』!」
『リチュア・マーカー』ATK1600
「そして手札から儀式魔法『リチュアの儀水鏡』を発動! 手札の『ヴィジョン・リチュア』を8レベル分のリリースとして『イビリチュア・ソウルオーガ』を儀式召喚や!」
『イビリチュア・ソウルオーガ』ATK2800
なるほどね。儀式召喚が出来なくなる前に儀式召喚しておくってことだね。
「ウチのターンは終了や」
「わたしのターン、ドロー! スタンバイフェイズに『サイレント・マジシャンLV4』と『サイレント・ソードマンLV5』をレベルアップ!」
『サイレント・マジシャンLV8』ATK3500
『サイレント・ソードマンLV7』ATK2800
わたしのフィールドに現れる、沈黙の騎士と静寂の魔術師。わたしのエース。その双璧が揃った。
「わたしのメインフェイズとバトルフェイズは『時の秒針』によってスキップされるから、これでエンドだよ」
さあ……正念場だよ~。ここさえ乗り切れば……。
「オレのターン、ドロー! よし、オレはモンスターをリリースして『光帝クライス』をアドバンス召喚! 効果で今出てきた二体を破壊するぜ!」
「させないよ。カウンタートラップ発動。『天罰』! 手札を一枚捨てることで、モンスター効果を無効にして破壊するよ~」
「ぐっ!?……ターンエンドだ。だがな、オレを凌いだところで無駄だぜ。ナタリアのソウルオーガの効果までは防げねえだろ」
「……やってみないと、わからないよ」
「なら、やってみせて貰おか? ウチのターン、ドロー! ウチは手札から『リチュア・ナタリア』を捨てて『イビリチュア・ソウルオーガ』の効果を使うえ。対象は当然、『サイレント・ソードマンLV7』!」
「くっ……!? サイレント・ソードマン……!」
あまりにあっけなく、『サイレント・ソードマンLV7』はデッキに戻される。
「ふん、あれだけ大口叩いといて、なんや大したことあらへんなぁ? 更に手札から『シャドウ・リチュア』を捨ててデッキから『リチュアの儀水鏡』を手札に加え、もう一枚の『ヴィジョン・リチュア』の効果発動! デッキから二枚目の『イビリチュア・ソウルオーガ』を手札に加えるえ」
二体目……ソードマンが消えたから、もう儀式召喚を阻むものは居ない。
「儀式魔法『リチュアの儀水鏡』でフィールドの『イビリチュア・ソウルオーガ』をリリース。『イビリチュア・ソウルオーガ』を儀式召喚や」
『イビリチュア・ソウルオーガ』ATK2800
「そんで『イビリチュア・ソウルオーガ』の効果発動。手札から『リチュア・アバンス』を捨てて『サイレント・マジシャンLV8』をデッキに戻すえ」
「そっちはやらせない! 速攻魔法発動!『禁じられた聖杯』! ソウルオーガの攻撃力を400ポイントアップさせる代わりに、効果を無効にする!」
「くっ!? 速攻魔法やと?」
『イビリチュア・ソウルオーガ』ATK2800→3200
「ちぃ……消す順番、間違えたようやな。ソウルオーガじゃ、400程度アップしてもサイレント・マジシャンに敵わんわ」
そう。これは危うい賭け。ナタリアが最初にサイレント・マジシャンを狙ってきたら、私はあっさりと二体を失って負けていた。もちろんナタリアさんにとっては『サイレント・ソードマンLV7』の方が厄介だから、優先して消そうとはすると思ってたけど……不安はあった。だけど……。
「まあええわ。一番邪魔臭い『サイレント・ソードマンLV7』は消せたんやし……ターンエンドや」
わたしは、賭けに勝った!
「わたしのターン、ドロー!」
……うん!
「わたしは『サイレント・マジシャンLV8』をリリース!」
「なんだと!?」
「まさか……」
「正規の召喚手順で特殊召喚された『サイレント・マジシャンLV8』をリリースすることで、わたしは『サイレント・マジシャンLVMax』を特殊召喚するよ!」
『サイレント・マジシャンLVMax』ATK4500
「くぅ……やけど、所詮ただ攻撃力が高いだけ。またすぐに戻したるわ!」
「残念だけど~」
わたしはにっこり笑って告げる。
「貴方達に、次のターンは来ないから~」
「な、に……?」
「リバースカードオープン!『ナイトメア・デーモンズ』! わたしは『光帝クライス』をリリースして、光丸さんのフィールドに一体。ナタリアさんのフィールドに二体のナイトメア・デーモントークンを特殊召喚するよ~」
『ナイトメア・デーモントークン』ATK2000
「攻撃力2000のトークンをオレたちの場に……!?」
「何のつもりや……?」
「そして……これで終わりだよ。手札から魔法カード、『拡散する波動』!」
「なっ……!?」
「ライフを1000ポイント支払うことで、このターンわたしの『サイレント・マジシャンLVMax』は、全てのモンスターに攻撃するよ!」
ユーキLP4000→3000
「まさか、このための『ナイトメア・デーモンズ』……!?」
「『サイレント・ソードマンLV7』をあっさり除去させたのも……」
そう。『サイレント・ソードマンLV7』は強いけど、わたしの使う魔法まで無効にしちゃうからね。実は、ソウルオーガで除去してくれて助かったんだ。……まあ、除去されなかったら『ナイトメア・デーモンズ』でリリースしてただけだけど。
「ちなみに、『サイレント・マジシャンLVMax』は相手の魔法・罠の効果を受けないよ~」
「っ……」
「ウチらが、負ける? こないあっさりと……? なにもんや、アンタ……」
「わたしは友紀。加藤友紀。ただの普通の女学生。だけど……」
そう。わたしは普通の女子生徒だった。だけど。
「セツくんに出会い、セツくんに学び、セツくんに恋して……わたしはずっと、強くなった」
背中ばかり見て、追いかけるばかりはもう嫌だから。
「すぐ身体張って、すぐボロボロになっちゃう人だから。わたしはもっと強くなる。もっと、もっと強くなって……いつか」
サイレント・マジシャンの持つ杖に、魔力が集中していく。
「いつか隣に立つために。ここで立ち止まってなんかいられないんだ」
そのために、わたしは……。
「貴方たちを、倒すよ!『サイレント・マジシャンLVMax』で、全モンスターに攻撃! 静寂の彼方へ!『サイレント・ゼロ』!」
「「ひっ!?――――――――――っ!?」」
光丸LP1700→0
ナタリアLP4000→0
「……セツくん。すぐ、追いつくから」
いつか……貴方の、隣に。
こんにちは。
というわけで、まさかのユーキちゃんでした。「まさかのユーキちゃんだと!? こいつはとんだダークホースだぜ!」とか思ってくれればユーキちゃんの面目躍如だと思います(笑)。
そして滅茶苦茶強くなってます。ユーキちゃん。アテナには負けましたが、プレイング技術だけなら下手するとセツ以上です。まあその分デュエルが複雑になって書く方としてはめんど……げふんげふん! ま、まあちょっと理解しにくくなってるかもですのでなにかわからないところがあれば質問してください。出来る限り答えますので。
今回のオリカはこちら。
『時の秒針』 通常魔法
次の自分のメインフェイズ1とバトルフェイズをスキップする。次の相手ターンのエンドフェイズ時まで、自分フィールド上のモンスターは相手の魔法・罠・モンスター効果を受けず、戦闘では破壊されない。
『サイレント・マジシャンLVMax』 光属性 魔法使い族 レベル12 攻/守 4500/2000
このカードは通常召喚出来ない。
このカードは『サイレント・マジシャンLV4』の効果で特殊召喚された『サイレント・マジシャンLV8』をリリースした場合のみ手札から特殊召喚出来る。
このカードは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。
レベルマックスの方は以前ユーキちゃんが使ったサイレント・ソードマンやミスティック・ソードマンと同じような召喚条件です。LV8の魔法無効化が、罠にまで及んでいます。モンスター効果でのみ倒せますが、現環境だと召喚条件の割にあっさり倒されてしまいがちなので微妙かもです。
『時の秒針』の方ですが、実はこの名前には元ネタがあります。わかる人居るかな~? 少女マンガなので知ってる人少ないかも。効果としては完全にレベルアップまでの時間稼ぎカードですね。ただし、レベルアップさせても即座に攻撃出来ないのでその間に破壊されては元も子もないのですが。
次回は順当に凛になると思います。……リチュアだらけになるので滅茶苦茶面倒くさそうですが。
あ、それと報告。現在本気禁止制限決闘の方で、アルカナとのクロスが公開されております。アテナがそちらに行っているので、是非ご覧になってください。
それでは、悠でした!
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。