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インド洋通商破壊戦  前編

 旅順での整備を終えた平甲板型駆逐艦を中心とする31駆逐隊は、2月に新たな命令を受け、シンガポールのセレター軍港に移動した。そこで、先発していた第8水雷戦隊旗艦の軽巡「久里浜」と合流した。

 シンガポールに到着した所で、第8水雷戦隊は新たな命令を受けた。それは、インド洋とベンガル湾における通商破壊戦である。

 このころ大西洋では、独海軍のUボートが第一次大戦時と同じく連合国軍相手に通商破壊戦を行っており、連合国商船と通商路に大打撃を与えていた。

 当初はUボートが一方的に連合軍の輸送船団を叩いていたが、連合国もそれに対して、船団の護衛艦を増やしつつあった。当然Uボートの活動は制限され、戦果の減少を招いた。

 そこで、独逸海軍は日本海軍にもインド洋を通商破壊戦を行い、英国の裏庭であるインド洋やベンガル湾を少し荒らしてもらって、護衛艦をインド洋方面へ誘引するよう要請してきた。そして、その任務に31駆逐隊は就くことになったのだ。

 参加艦艇は続々とシンガポールに集まった。

 この作戦に参加したのは、平甲板型駆逐艦5隻の他に特設空母「安松丸」、軽空母「大鷹」、巡洋艦「久里浜」、特設巡洋艦3隻、そして哨戒艇2隻と「睦月」型駆逐艦2隻であった。このうち、軽空母大鷹と、駆逐艦2隻は連合艦隊からの派遣隊であった。

 これらの艦艇はそれぞれが2、3隻づつのグループを作って行動する。また、その行動予定地域もバラバラであった。

 これは、今回行う通商破壊戦は狙いが広い海に散らばる敵輸送船であること、そしてセイロン島のトリンコマリーとコロンボにこもる英東洋艦隊の動きを混乱させるためであった。

 このころ、英東洋艦隊はマレー沖海戦で旗艦を失い敗退したとはいえ、依然として戦艦や空母を中心とする強大な戦力を持っていた。

 これらがシンガポールと言わないまでも、ビルマ沿岸やペナン等に攻撃してくる可能性はなくはなかった。それを阻止し、なおかつこれらを混乱させる事は燃料の消費を強いて、士気を挫く事が出来る。作戦目的はここにあった。

 しかし、敵東洋艦隊との直接対決だけは避けたい所であった。

 この時期敵東洋艦隊旗艦は戦艦ウオースパイトで、この他に戦艦3、空母2を要する大艦隊であった。

 もしこの艦隊が出港して攻撃してこれば、それこそ通商破壊を目的とする今回のような小艦隊は、独逸海軍のビスマルクのごとく、こてんぱんにやられてしまうだろう。

 そんな不安を抱えつつ、艦隊は出撃していった。

特設空母「安松丸」。宮崎駿の雑想ノートに登場。


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