北太平洋海戦 上
1943年6月時点で日本海軍上層部が危惧していた事に、米太平洋艦隊の早期復活があった。この時期、メキシコを始めとする中立国やドイツ経由で、日本は米海軍が100機搭載可能のエセックス級正規空母30隻に、大和級に匹敵する新式の40cm50口径砲を搭載したアイオワ級戦艦6隻を建造中という情報を手に入れていた。
これらの艦艇の内何隻かは大西洋に回されるであろうが、それでも大部分は太平洋に回されるという予測を立てていた。
情報では、これら全てが揃うのは1945年初頭頃とされていた。
一方、日本海軍では戦艦では1944年年度中に大和級4番艦の近江、空母は雲龍級6隻が竣工させるのが精一杯であった。
米海軍の増強を許してはならない。逐次各個撃破するのが望ましい。その中で立案されたのがY作戦であった。
この作戦では、まず米軍の哨戒拠点であるフレンチ・フリゲート礁とミッドウエイ島を攻撃、その後真珠湾からつり出した米機動艦隊を叩き潰すという作戦であった。
この時点で米太平洋艦隊は正規空母3隻、軽空母4隻が戦闘可能であった。艦載機は軽480機を搭載し、充分日本機動艦隊と戦えるだけの実力を有していた。
米機動部隊を完全撃滅する為、日本側は徹底した作戦の秘匿と、敵に倍する戦力を確保する必要があった。
結果、日本海軍は戦艦大和を旗艦として、戦艦3隻を擁する海上打撃部隊の第二艦隊と、第一から第三までの航空艦隊を動員した。さらに、護衛空母に守られた補給部隊も参加する大作戦であった。
作戦発動予定は6月15日であった。
一方の米太平洋艦隊は、前述した機動部隊が戦闘待機態勢に入っていた。これは、別に日本の動きを掴んだわけでなく、米海軍がマーシャル方面への空襲を行う作戦を計画していたからであった。作戦発動予定は6月20日であった。
しかし、この米軍の目論見、いや米軍だけでなく日本軍の目論みも、ある事態によって暗礁に乗り上げた。
米太平洋艦隊所属の潜水艦ブルーギルがフレンチ・フリゲート空襲に向かう日本艦隊を発見したのだ。それは、空襲開始予定6時間前であった。
ブルーギルは対潜駆逐艦により撃沈されたが、彼女が死ぬ間際に送った報告は真珠湾に届き、直ちに、米機動部隊は日本艦隊撃滅の為出撃した。これが、北太平洋海戦の序章であった。
今回の話には、川又千秋先生の翼に日の丸を大いに参考にしています。
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