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珊瑚海海戦 中編

 1942年5月7日、珊瑚海海戦一日目。

 この日、朝から日米両機動部隊は厳戒態勢にあった。それぞれ敵機動部隊出動の可能性ありという報告を受け出撃したからである。しかし、この海戦は初っ端から波乱の嵐であった。

 まず、米側の機動部隊が偵察機が発見したMO攻略部隊を主力機動部隊と誤認して攻撃した。

 幸い、この攻撃によって攻撃を受けた空母「祥鳳」と「瑞鳳」は撃沈されなかったが、「祥鳳」は右舷に魚雷一本と飛行甲板に爆弾一発を喰らい、航空機の離発着艦が不可能になってしまった。ただ、沈没にいたるほどの打撃を受けることはなかった。

 これは米軍が後方にいた陸軍輸送船を空母と見間違え、攻撃隊を分散したのが原因だった。ちなみに、この陸軍輸送船は周囲にいた対空兵装が強力な「撫子」級駆逐艦が有効な対空射撃を行ったため、被害はなかった。

 ちなみに、この時陸軍輸送船には零戦10機が搭載されていた。なぜ海軍機が陸軍の船に乗っているのか?

 これはこの数ヶ月前、海軍と陸軍はある協議を行ったことによる。それは南方における陸軍徴用船の被害についてであった。

 実は、南方作戦の最中、陸軍の強襲揚陸艦「神州丸」が海軍の魚雷が命中し大破着底してしまった。海軍としてはたかが輸送船一隻の被害としてしか受け止めていなかったが、陸軍の怒りはすさまじかった。

「海軍は護衛の役目を請け負っておきながら、海戦に夢中になったあげく我々の輸送船が味方の魚雷で沈められるとは何事か!!なにが無敵連合艦隊だ!海軍は信用できん。我々は独自に護衛の艦隊を作る!」

 と言い出したのだ。確かに海軍にはたかが輸送船1隻だが、陸軍にとっては精鋭の一個連隊が消えてしまうかもしれない切実な問題なのだ。

 だが、だからといって陸軍が独自に艦隊を作るなど言語道断である。海軍の沽券に関わる問題である。しかし、既に陸軍は空母<強襲揚陸艦>の建造を開始し、輸送用の潜水艦さえ計画していた。陸軍としても引く気はなかった。

 長時間の議論の末、結局海軍が護衛専門の艦隊を作る事とした。それが海上護衛艦隊である。この時、陸軍空母も運営は海軍に移管されている。艦載機等は海軍でしか用意できなかったからだ。後に、この陸軍空母を含む護衛艦隊は商船の護衛も行っている。

 話はそれたが、結局米軍は30機近い喪失を出して、この日は他に行動しなかった。

 一方、日本側はというとまず翔鶴の偵察機が「空母1、巡洋艦1見ユ。」と打ってきた。しかし、角田少将はこの報告に疑問を持った。

「敵機動部隊がたった2隻だけであるはずがあるまい。」

 案の定すぐに偵察機から「敵空母は油送船の誤りなり。」と訂正電が来た。

 その後も誤報が相次ぎ、結局この日攻撃隊はラバウルの航空隊が発見した巡洋艦部隊を攻撃し、巡洋艦1、駆逐艦1を撃沈し、航空機5機を喪失ただけであった。

 こうして、1日目は終わった。


 感想・御意見待っています。

 神州丸の海軍の魚雷による大破は実際にあったことです。


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