決戦前夜 善行×原
「委員長。補給隊から、物資が届いてます」
善行は加藤からリストを受け取る。
「こんな時間にですか」
時計は23時をまわっている。
「明日の作戦に参加する隊には、今日中に届けているみたいやね」
善行はリストに目を通す。
各種武器弾薬の下に、重ウォードレス『可憐』が二体と、ウォードレス用の武器が、いくつかリストアップされている。
陳情者の欄に、小杉と新井木の名前が見て取れる。
「小杉さんはともかく、なぜ新井木さんなのです」
「委員長、知らんかったん。最初は、来須十翼長目的でしたが、いつの間にか若宮十翼長といい感じですわ」
「まあ、いいでしょう」
受領のサインをする。
「では、加藤さん。若宮、来須両名に可憐の調整を、急がせてください」
加藤と入れ替わりに原がやってきた。
「あなたが、ここに来るとはめずらしいですね」
「なに言ってるの、必要以上にハンガーに来るのは、あなたでしょう」
「あなたも、あなたの部下も、ほっとくと根をつめすぎますからね」
善行は、原から書類を受け取り、目を通す。
「後は、パイロットとの調整だけですね。明日は整備班も、前線近くまで出てもらいます。交代で睡眠を取るようにしてください。」
書類にサインをし、原に手渡す。
「ところで、夕食がまだでしたら、ご一緒にいかがです」
「あら、それは命令かしら、それとも、お誘い」
原が切り返す。
「私はよくばりでね。両方です」
「そうね、あなたのおごりなら、付き合ってもいいわ」
原と肩をならべて、歩くのは、何年ぶりだろうか。ふと、そんなことを考えた。
「きれいな星空でですね」
「……そうね」
彼女の命を、芝村の手から守るためとはいえ、何も言わずに姿を消したのだ。
それこそ刺されても文句言えない。
「私と、もう一度……いや、明日、生き延びることが出来たら、もう一度、誘ってもよろしいですか」
多分、この後の彼女の台詞は、分かっていた。
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