絢爛舞踏 決意
静かなハンガー内で、原と森の2人が士魂号(複座型)を見上げている。
その静寂を破り、森が口を開く。
「撃墜数298。次で取りますね、速水君と芝村さん」
「そうね」
そう答えた、原の表情からは何も読み取れない。
「行かせて、いいのでしょうか」
その時、多目的結晶から召集の合図が送られてきた。森の答えが出る前に……
「厚志、舞、行くな。お前達が化け物になることはない」
瀬戸口の言葉に、その場にいた全員の視線が集まる。
みんなも、そう思っていたのかもしれない。
人として、友として、一緒にいて欲しいと。
その視線の中、速水の表情は穏やかだった。
「ありがとう。でも、映さんが戦死したとき、決めたんだ。戦争を終わらせるために……力なき人々の剣になろう。もう誰も死なせたくない。人の身で、できないなら、死を呼ぶ舞踏、決戦存在、人外の伝説。なんにでもなってやるって」
そう言って、微笑む速水の目には決意のほどが見て取れた。芝村も、いつもの様にうなずいている。口にするまでもない、と言うことらしい。
まだ何か言おうとする瀬戸口を、速水がさえぎる。
「みんな、歌ってくれ。僕等が、殺戮に、血に狂わないように、あの青臭い歌の、ガンパレード・マーチのような決意を忘れないように……」
その心は闇を払う銀の剣
絶望と悲しみの海から生まれでて
戦友達の作った血の池で 涙で編んだ鎖を引き
悲しみで鍛えられた軍刀を振るう
どこかのだれかの未来のために 地に希望を
天に夢を取り戻そう
われらは そう 戦うために生まれてきた
最初に歌いだしたのが、誰だったのかは、わからない。ただ、5121小隊全員の歌声が聞こえた。
数ヵ月後
軍司令部への報告書には、5121小隊『戦死者0』の文字が見て取れる。
これは、学兵の小隊としては唯一のものである。
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