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過去と未来は隣り合わせ
作:SAI



#.08 別れ…始まり


(ついに来たのね…)



 あの独特なエンジン音を聞いた灰原は思った。



(もしここで逃げたら博士の家まで押し寄せるわね。それを考えたらここで会えたのをラッキーと思うべきかしら?)



「灰原!」



 灰原は必死にこの場から逃げようとするコナンを見た。



(工藤君…あなたは私が命に換えても守るから)



 そして灰原はその場から動かず、ポルシェから出てくる男を見た。 



(ジン…)





◆◇◆◇





 ジンはゆっくりと二人に近づいて来る。コナンは腕時計型麻酔銃を構える。しかし相手は二人。しかも去年、ジンに麻酔銃を撃ったが効かなかったことが脳裏に蘇る。



(どうする…)



 コナンが思案している間にも、ジンはもう目の前に来ていた。そしてジンは、二人を見下ろしながら言い放った。



「調べはついている。貴様がシェリーだな」 



 その言葉とジンの瞳にコナンは一瞬たじろいたが、こうなったら子供のフリをしながら隙をついて逃げるしかないと考えた。何を言っているの?そう言うつもりが、



「えぇ、そうよ」



 灰原が先に言ってしまったのだ。コナンは驚いた表情で灰原を見た。



(灰原…お前…)



 ジンは灰原の言葉に小さく笑った。



「フッ…そうなるとこのガキは工藤新一で合っているんだな?」 



 その言葉に灰原の表情が揺らいだ。コナンはジンを睨みながら、灰原を庇うような体制で二人の間に立つが灰原は、



「…この子は関係ない子よ。早く逃がしてあげて」


「灰原!お前何を言って…」


「お願い。私はどうなってもいいから、私に関わった人達には手を出さないで!」



 灰原はコナンの言葉を遮ってジンにそう懇願した。するとジンは、



「フン…俺からそんなガキに乗り換えたのか」



 その言葉にコナンは目を見開いて驚いた。そして灰原を見ると、灰原は無表情のままだった。



「俺と来い、シェリー。そしたら貴様に関わった奴らの無事は保障される。もちろん貴様が抵抗しなければな」



 その言葉にコナンと灰原は驚いてジンを見た。コナンはそんなの口から出た出任せだと思い、麻酔銃を構えた。しかし灰原は…



「本当なのね?」



 コナンはその言葉に再び灰原の方を振り向いた。するとジンは薄笑いを浮かべ、



「これが最後だ。来るのか来ないのか」



 もう一度聞いてきた。灰原はジンの言葉を丸っきり信じてはいない。だが、今ここで返答を間違えるとコナンが殺られる…。そう思い、灰原は僅かな可能性に賭けた。



「…わかったわ」



 灰原はそう言ったが、コナンはもちろん反対だ。



「灰原!これは罠だ!それぐらいわかるだろう!」



 コナンは今、自分の正体がバレることなど気にしていられなかった。



「シェリー、早くしろ」



 しかしジンは、そんなコナンには興味も示さないで灰原を呼んだ。



「えぇ。今行くわ」


「灰原!」



 コナンは今にもジンのもとへ歩いて行こうとしている灰原の両腕を掴む。 



「行くな!俺がなんとかする!頼むから行くな!」



 コナンの言葉にジンが言い放った。



「黙れ小僧。貴様に出来ることなど何もない」


「なんだと…」


「一つ忠告してやる。今シェリーが来なかったら、真っ先に工藤優作を殺りに行く」


「っ…!」



 コナンはその言葉に何も言い返せなかった。すると灰原が、コナンの横を通り過ぎて行った。



「行くな!灰原!」 



 コナンの瞳には涙が浮かんでいた。あまりに無力な自分への情けなさと、もう灰原が行ってしまうという現実に…。そして灰原はポルシェに乗り込む前に、



「安心して。必ず解毒剤は送るから…」


「解毒剤なんかいらない!頼むから行くな!」



 コナンはそう叫んだ。そして最後に灰原はコナンの方を振り返り、今までに見せたことのない、優しく哀しい笑みを浮かべながらコナンに言った。 



「今までありがとう…江戸川君…」



 そう言って灰原はポルシェに乗り込んだ。



「灰原ーーー!!」



 コナンの叫びも空しく、灰原を乗せたポルシェはどんどん遠くへ走って行った。





◆◇◆◇





 灰原を乗せた車は、東京から離れた『ある場所』を目指していた。



「しかし驚いた。本当にこのガキがシェリーだとは」



 運転をしながらウォッカが話す。一方、灰原は車に乗ってから一言も喋っていない。ジンはウォッカの言葉に、



「フッ、確かにな…」



 そう言ってバックミラー越しに灰原を見る。灰原はジンとミラー越しに目が逢い、



「彼らに危害を加えないっていうのは本当でしょうね…」



 灰原は二人に聞くように言った。その言葉にウォッカが反応した。



「え?言っちまったんですかぃ?」 



 予定では、そのことを口実に灰原を支配する予定だった。計画は必ず遂行するジンなだけ、ウォッカは少し驚いた。



「目的はシェリーを連れ戻すこと…こっちの方が確実だったからな。…それに、その話は事実だしな」



 ジンの言葉に灰原はミラー越しにジンを見た。100%は信じられない…だが、今回ばかりはこの言葉を信じるしかない。灰原はそう思った。



「それで、私はどうなるのかしら?」 



 その言葉にジンは笑った。



「お前は運がいい。ボスが幼児化した貴様に興味を抱いてな?」


「まさか…!」



 灰原はこれから行く場所を想像して驚いた表情をする。その反応にジンは笑った。



「行き先は『組織の本部』。シェリー…ボスがお待ちかねだ」


ボスの正体はまだ迷ってます。謎のままにするか、私なりのボスを出すか…かなり迷います。











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