#.03 見えない心
江戸川コナン…毛利探偵事務所に昨年から居候中。それ以前の経歴、出生、家族などは不明。唯一の身内は同じ米花町に在住の阿笠博。
灰原哀…昨年から阿笠宅に在住。江戸川コナン同様、それ以前の経緯は謎。
「アニキ、例の灰原ってガキが現れた日と『奴』が消えた日がほぼ同じでした」
ウォッカは早急に調べた結果をジンに報告した。
「やはりそうか。もう一人のガキはどうだった?」
「それが、このガキの経歴は全く謎でして…ただ、毛利小五郎とつるんでるせいか、サツと顔見知りのようですぜぃ?」
ジンは改めてコナンの身の回りの人物についてなど、徹底的に調べ上げられた資料を見ていくと、あることに気がついた。
(このガキが現れてから眠りの小五郎が始まっているな…。それどころか、このガキが事務所現れたその日に事件が解決され、それから眠りの小五郎が始まっている)
これは偶然のことなのか?ジンはコナンが関わっていて、尚且つ警察が動いている事件を調べた。
すると案の定、コナンが関わっている事件の90%以上が解決されていた。その中のいくつかは、組織が関わっている事件もあった。
(このガキ…)
ジンはコナンをただの小学生ではないと判断した。
「しっかしわからねぇ。どうやったら人間が幼児化するんだ?」
ウォッカの独り言のような呟きにジンは考えた。あのガス室に連れ込んだ時点で奴は手ぶら。かといって、あの部屋にあるのは死体くらい。だとすると、可能性があるのは…
(あの薬か…?)
するとジンは、薬を投与した人物の中から、身柄が見つからない者…さらに、『シェリー』がチェックを付けた者を全て洗い直させた。
◆◇◆◇
コナンは警察の事情徴集を終え、高木刑事に探偵事務所まで送ってもらった。
「それじゃーコナン君。お疲れ様でした」
「ありがとう高木刑事。さようなら!」
コナンは高木刑事を見送った後、小さくため息を吐いた。毎回探偵団で事件を解決する時には阿笠博士を呼んでごまかしていた。博士の指示でやったことだと思わせるために。そのため、いつも事情徴集のあとは疲れが残る。
ただ、今日は灰原のことが気になっていた。いつもなら博士の車で全員帰るのだが、今日は別々に帰ろうと灰原が言い出した。
組織のことできっと悩んでいたと思うが、あの様子は尋常じゃなかった。どこか、酷く怯えている感じがした。
(明日博士の家にでも寄って帰るか)
コナンはそう思いながら事務所のドアを開けた。
「ただいま〜」
「あ、コナン君お帰り」
出迎えたのは蘭だった。今はもう三年生で部活も追い込み時期で、この時間帯にいるのは珍しかった。
「珍しく今日は早いんだね?」
「うん。今日は早く終わったの。もうすぐ晩御飯できるから手洗ってきてね?」
蘭はそう言って台所に消え、コナンも、はーいと返事をする。この一年でも蘭の気持ちは変わっていなかった。音信不通の新一の帰りを待っており、もうコナンと新一は別人だと思っている。
一方、新一…コナンは自分でも気付かないほどの変化が生まれていた…。
RRR…
蘭は台所から走って電話を取ると、
「コナン君、阿笠博士から電話よ?」
「博士から?」
コナンは蘭にお礼を言って、受話器を受け取った。
「もしもし?」
「おぉ新一。実はのぅ…」
コナンと博士の電話は数分で終わった。するとコナンは出掛ける準備を始めた。
「あれ?コナン君どうしたの?」
「ちょっと博士の家に行ってくるね!」
「ちょ…ちょっとコナン君!もう晩御飯できるわよ!」
コナンは蘭の言葉を最後まで聞かないで行ってしまった。蘭はコナンが走り去った後を、寂しい表情で見つめていた。
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