#.02 いよいよ
探偵団が捜査を開始して数時間。コナンは犯人を特定し証拠を捜していた。
「間違いない。犯人はあの人だ。あとは証拠さえ見つかれば…」
「工藤君…これ」
灰原が示した物…それは紛れも無い証拠となるものだった。
「さすが灰原だぜ。あとはこれを高木刑事に報告すれば…」
灰原はやれやれとコナンの後ろをついて行こうとしたが…
ゾクッ
灰原は勢いよく後ろを振り返った。
(今の感じ…まさか!!)
灰原が足を止めていることにコナンが気がついた。
「灰原、どうかしたのか?」
「え…」
今コナンに心配をかけるわけにはいかない。それにまだ見つかったわけじゃない…。
「いえ…なんでもないわ」
そう言って灰原は歩き始めた。しかしコナンは、通り過ぎる灰原が僅かに焦っていたのを見逃さなかった。そして灰原は考えていた。
(いいえ…まさかじゃない。あの感じ…『視線』『気配』を間違えるはずがない。いくら平和ボケしていたとしても忘れるはずがない。
私の正体がバレたの?それとも偶然?…いよいよなのかしらね。あなたが私を見つけだすのも…ジン)
◇◆◇◆
(ん?あのガキ…今こっちを見たか?いや…間違いねぇ。あの表情は俺の気配に感ずいたんだ)
男は薄笑いを浮かべる。ただ…
(あのガキがシェリーだとしたら、あの眼鏡のガキは一体…)
コナン達の一部始終を見ていた男は、コナンの行動に不信感を抱いた。あの推理力と行動力はただの子供とは思えなかった。
「兄貴、帝丹小学校のデータが届きましたぜ」
ウォッカはパソコンを渡した。そして男はデータを見ていく。
「しかし兄貴、そんなデータどうするんですかい?」
男は無言でデータを見ていく。そして、
「江戸川コナン…毛利探偵事務所在住」
「毛利ってあの『眠りの小五郎』ですかい?」
男はこのガキも調べる必要があると考えていた。しかし今は…
「灰原哀…か」
「灰原哀?」
ウォッカはパソコンを覗いた。するとそこには…
「兄貴!このガキの顔…」
「クックック…ウォッカ、この二人を調べろ」
ウォッカは驚いたが、男の表情を見てすぐに組織に連絡をいれた。
(これなら一年探しても見つからなかったわけがわかる。今度はこちらから歓迎するぜ…シェリー)
◇◆◇◆
「なぁ、なんかあったのか?」
事件を解決したコナンは帰り道、灰原の様子がおかしかったことを気にしていた。
「別に…何でもないって言ったでしょ?」
「いや、絶対なんかあっただろ。なんだかんだで一年の付き合いだぜ?」
灰原はそう言うコナンを見る。コナンは真っ直ぐ灰原を見ていた。その瞳には迷いも曇りもない。灰原は自分にない輝きを持っているコナンに嘘をつけなかった。
「気配がしたのよ」
「気配って…まさか組織の!?」
「えぇ…」
そう…ジンの気配だった。
「それで、やつらを見たのか?」
「いいえ…」
「なら気のせいだったんじゃないのか?」
その言葉に灰原は反応を返すことができなかった。その様子を見たコナンは、
「大丈夫。もし奴らだとしても俺が守ってやっからよ」
ドキン
その言葉とコナンの笑顔に心臓が唸った。それと同時に不安が立ち上ってきた。この笑顔が消えてしまうんじゃないかと…。
(それだけはダメ。もし彼が危険になった時は…)
そんな灰原の心中を知らないコナンは、俺に任せろという表情を崩さなかった。
|