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過去と未来は隣り合わせ
作:SAI



#.09 過去と今…そして未来


 服部と和葉が毛利探偵事務所に向かう途中、二人はコナンの叫び声が聞こえた。



「灰原ーーー!!」



 その声にいち早く反応したのは服部だった。それに少し遅れて和葉も気がつき、



「あれ?今のコナン君の声とちゃう?」


「和葉。悪いけど、荷物持って先に行っててくれ」



 服部はそう言うと、自分の荷物を和葉に押し付け、コナンの声が聞こえた方へ走っていった。 



「ちょ、平次!…もう!何やねん!」



 和葉はぶつぶつ言いながら一人で探偵事務所に向かった。

 服部が曲がり角を曲がると、コナンがポルシェに向かって叫びながら走っていた。



「灰原ーーー!!」



 服部はコナンの尋常ではない状況に、急いでコナンに駆け寄った。



「工藤!」



 服部はそう言ってコナンの肩を掴んだ。しかしコナンは服部だと気がついていないようだ。 



「離せ!灰原が!」


「工藤!落ち着け!」



 服部はそう言うとコナンを、無理矢理自分の方に向けた。



「工藤!」


「…服部」



 コナンは少し冷静になったようなので、服部は手を離した。



「どないしたんや?そんなに慌てて。お前らしくもない」



 服部の言葉にコナンは荒い呼吸を調えて、ゆっくり話した。



「…灰原が奴らに連れて行かれた」 


「奴らって!例の組織の奴らか!?」



 服部の言葉にコナンは顔を俯かせる。



「…とりあえず、阿笠の爺さん家に行こうか」



 コナンは頷き、二人はとりあえず阿笠宅を目指して歩き出した。





◆◇◆◇





 灰原はこれから向かう、組織の本部について考えていた。



(あの方が私に用って…)



 ジンは灰原の思考を読み取ったのか、薄笑いを浮かべながら灰原に尋ねた。



「お前はボスに会ったことがあったか?」


「…昔に一度だけ」



 それからしばらく言葉を発する者はいなかった。次にウォッカが言葉を口にした時は、目的地に着いた時だった。



「アニキ、着きましたぜぃ」



 その言葉に灰原は、今まで封印していた『恐怖』の文字が蘇っていた。





◆◇◆◇





「そんな…哀君が…」



 博士は灰原が連れていかれたことを聞いて、その場に崩れ落ちるように座り込んだ。博士のその様子に、コナンは悔しさが沸き上がってくる。



「ゴメン…博士。俺は何もしてやれなかった…」



 博士はコナンの言葉に何も言ってやることが出来なかった。すると服部が、痺れを切らしたように二人に言った。



「いつまでも落ち込んでてもしゃーないやろ!早くあの姉ちゃん助けてやろうやないか!」



 服部の言葉にコナンは何も態度を示さなかった。そんなコナンに服部は怒りをぶつけた。



「おいコラ!いつまでそうしてる気や!お前がしっかりせんで誰があの姉ちゃんを助けれるって言うんや!」



 そう言って服部はコナンの胸倉を掴み、自分と同じ高さまで持ち上げた。博士は今朝の灰原とのやり取りを思い出し、涙を流していた。



「…あいつの前で俺は何もしてやれなかった。それに、あいつ…灰原はジンと過去に親密な関係にあったみたいなんだ…俺は何もしてやれなかった…」



 そのコナンの弱気な態度に服部はコナンを拳で殴った。



「そんなこと言ってる場合とちゃうやろ!過去に何があったって大切なのは今やろ!」



 その言葉にもコナンは服部を見ようとしなかった。そして服部は、コナンの目の前で話した。



「ええか工藤。過去。それに今。例え何があろうと未来は決まらん。未来は常に自分で切り開かなきゃならん」



 その言葉にコナンは少し顔を上げる。そして服部は続けた。



「それに工藤。お前はまだこの事件を解決しとらんやないか。お前は探偵やろ?」


「服部…」



 その言葉にコナンはようやく服部の顔を見る。



「この事件を解決して、その後に残ったものが真実やろ?それを何もしないで黙っとるのか?」



 コナンはその言葉に目を閉じた。思い浮かべるのは灰原…。そしてコナンは目を開き、服部の目を見た。



「服部…ありがとうな」



 その言葉に服部は笑顔を見せた。



「それでこそ俺のライバルや!」



 コナンは本当に服部に感謝した。そう…いつまでも悔やんでいてもしょうがない。大切なのは今。そしてこるからどうするかという未来。コナンはその一つの答えを出した。



(奴らをぶっ潰して、必ず灰原を助ける)



 コナンはそう決めた。



「ほれ、爺さんもいつまでも泣いてないで、さっそく作戦会議といこうや」



 服部の声でコナンは博士を見た。博士は顔を床に付け、哀君…と灰原の名前を呼んでいた。



「博士…ゴメン。俺の性で…。でも必ず俺が助ける!だから博士も力を貸してくれ」



 その言葉に博士は顔を上げた。その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。コナンは博士の目をしっかりと見据え、深く頷いた。



「新一…哀君を…哀君を頼む…」


「あぁ、任せろ」



 そして服部がもう一度仕切り直し、作戦を練ろうとすると後ろから声が聞こえた。



「すみませんが、私もその話に参戦させてもらえませんか?」



 三人は勢い良く後ろを振り返ると、そこには白のベールに包まれた天下の大泥棒が立っていた。












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