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  the keys 作者:羽村奈留
第99話:夢の中の庭園
 花々に囲まれた噴水のある庭。
 ラーグは、また白いテーブルがある椅子に座っていた。服はコトックの伝統に基づいた正装になっている。
 そう。ここはケルティック邸の庭園。
 テーブルの反対側には、賢者コトックと、賢者リーと、ケルティック将軍にそっくりの金髪の紳士が座っている。多分彼が賢者ケルティックなのだろう。
 室内着のラフな服装をした金髪の紳士は紅茶を飲んでいたが、カップを置くとラーグに言った。
「初めまして。コトックの末裔よ。ここでしか君と会話ができないのが残念です。賢者リーが、かなり骨を折って君を癒しているのだが、君は一向に回復する兆しが見えない。医師である私も君の治療を試みているが、あいにく私は水の魔法使いでね。相反する火の属性の君を直接治療すると、君の火の魔力によって私の水の魔力は殆ど相殺されてしまってね。我が身に返ってくる相殺時の反動も大きく、君の治療に困難を極めている状態です。完治させられない私を許して下さい」
 ラーグは、話の筋が全く分からない。
「私の治療って、どういう事ですか?」
「君の表層意識にいる、これだよ」
 賢者ケルティックが中指と親指で指を鳴らすと、オフェーリアとジェイローが現れた。二人は血まみれで全身の肉が腐ってただれている。
 酷い腐敗臭と目を覆いたくなるほど肉組織が見えている二人に、ラーグは悲鳴をあげ椅子から立ち上がって言う。
「許してくれ。私は、私は……」
 賢者リーは取り乱すラーグを見て言う。
「賢者ケルティック。鍵の魔力を使っても癒しが効かないのは初めてで、どうすればいいか分からないの」
 賢者コトックも言う。
「一時的に会話はできたのだが、今では全く会話ができん、いつになれば私との会話が可能になるのか」
 金髪の紳士、賢者ケルティックはまた指を鳴らす。
 するとラグの目の前にいたオフェーリアとジェイローは突然消えた。
 ラーグは肩を動かして呼吸を荒くしながら言う。
「消せるなら、なぜもっと早く消してくれないのですか? もっと早くに消してくれていたら、私はこんなにも苦しむことはなかったのに」
 賢者コトックは言う。
「ラーグよ。真実から目をそらすことは、解決にはならん」
 賢者ケルティックも言う。
「目をそらそうとも、見えないようにしようとも、目の前にあることに変わりはないんだよ」
 ラーグの両腕を見えない何かが掴む。ラーグの腕が指の形に凹み、そこに血がつき滴り落ちていく。
「どういう事だ?」
 今度は、ラーグの耳元でオフェーリアの声とジェイローの声が聞こえる。
「助けて」
「見捨てないで」
 姿は見えないが、オフェーリアとジェイローはラーグの腕を掴んでいるのだ。
 ラーグは、腕を掴まれ逃げれなくなって大声を上げる。
 その声は庭園中に響き渡り、賢者リーが悲痛の表情を浮かべて、錯乱するラーグを見ている。
「かわいそうなラーグ。どうすれば貴方を癒して差し上げることができるの」
 賢者たちが見守るなか、ラーグは大声を上げ続け、ついには意識を喪失してしまった。
Wandering Network


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