第89話:サザーランド王都10
オーカスは呆れて笑う。周りを見て人気が無いのを確認してから言った。
「いいえ。彼が鍵の継承者だったのか調べているのです。ケルティック家の鍵は水属性で青いブレスレットだと古代の文献にあったので、将軍の腕にブレスレットがあるか見ているのです。――ブレスレットをしていないところを見ると、ケルティック将軍は鍵の継承者ではないようですね」
オーカスはラグにケルティック将軍のブロマイドを渡す。
ラグはブロマイドを見た。ラフな姿、水を象徴する青い模様が施された鎧を身に着けた姿、競技を楽しむ姿、どれも白い肌と金髪が目立つハンサムな顔立ちである。サザーランドの女はこういう男に惹かれるのかと思いながら、オーカスの言う青いブレスレットを探すが、どのブロマイドにもブレスレットは見当たらなかった。土を踏む音がして、ラグが顔を上げると、アフタヌーンティーを持ったニックの姿が目に映る。ラグはオーカスにブロマイドを返した。
ニックはティーセットをテーブルに置きながら言った。
「早速ケルティック将軍のブロマイドを見ていますね。なかなかのハンサムでしょう。将軍の戦死が王都に知れ渡った時、女たちは涙したもんです」
それからケルティック将軍の女性遍歴や武勇伝を聞く事になったが、将軍が鍵の継承者でないと知ったラグとオーカスにはどうでもいい話ばかりだった。
ケルティック邸を出て、水の鍵の手がかりが王宮にしかないことを知り意気消沈のラグとオーカスは宿屋に戻ろうと思い、ニックに本日のガイド料と夕食代を手渡した。
ニックは料金を受け取りながら言う。
「もしかして今日はこれで終わりですか? まだ日も高いので別の所を観光できますよ」
オーカスは脱力気味に言う。
「いいです。旅の疲れが残っているので、早めに帰って休むことにします。ニック。今日は有り難う」
ニックはラグに言う。
「なら時間外で料金はタダって事にしますんで、今から一杯、一緒にどうです?」
「いや。今日は朝から飲んでいるからやめておく」
ラグはニックの酒の誘いを断った。
ラグとオーカスはニックと別れて宿に戻った。
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