第139話:ローラン国王9
穴は開いたが、壊れなかったナノマシーンの自動修復機能が働いて穴はどんどん小さくなっていく。
「こりゃ、いかん」
ニックは短剣の魔法器に触れ氷の輪を作って穴の伸縮を止めた。
「氷の輪がいつまで持つか判らん。早く穴を通ってここから出るぞ」
「おう」
「はい」
まずラグとニックが強力してオーカスを穴から出した。次にラグが穴から出る。最後にニックが穴から顔を出すと、ラグが手を差し伸べた。
「急げ、ニック」
ニックが出たあと氷の輪は砕け散り、壁の穴はみるみるうちに塞がった。ニックはラグの手を掴みながら言う。
「ラグ。愛してる」
ラグは急に手を放した。床に足をつけたばかりのニックはバランスを崩してコケそうになる。
「おい。急に手を放したら危ねえだろ」
「どうもな、お前から愛情表現を受けると、つい手を放したくなるんだ。俺は」
「またふられちゃったちゃったよ」
ニックはオーカスに言う。
オーカスは苦笑いを浮かべている。
ラグはニックを気にもせず天井を見た。
ニックが聞く。
「ラグ。何をやっているんだ?」
「確かローラン国王は天井のこの辺りに入っていったんだが」
オーカスは一緒に天井を見ながら言う。
「壊されたナノマシーンは学習できませんので、まだラグの火魔法は有効だと思いますよ」
「そうか。ならやってみるか」
「ええ。私も土魔法を使って穴を開けます」
オーカスがニックを見るので、ニックも言う。
「ほんで、俺が氷の輪で穴の収縮を防げばいいんだね」
「そうです。お願いします」
オーカスの声のあと、先ほどと同じ要領で穴を開け、ニックが氷の輪で穴の収縮を防いでいるうちに、オーカスは浮遊魔法を使いラグと一緒に穴を通って上へ移動する。ニックも氷の翼であとに続いた。
穴を通るとその先はだだっ広い空間になっていた。
穴から顔を出したラグは空が見えると思った。床に手をつけば、床には地面の景色が映し出され、大勢の兵士がローランとサザーランドに分かれて戦っている。周りを見れば小型飛空艇が空中戦を繰り広げ、サザーランドの飛空艇がこちらに向けて光線を打ち出している。
天井と壁と床がスクリーンとなって、外の景色を映し出しているのだ。
穴から出たニックは喜びの声を上げた。
「俺の連絡を受けてサザーランド国王が来てくれたんだ。ヒャッホー♪」
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