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  the keys 作者:羽村奈留
第109話:名も無き土地7
 ローラン国王は不審がって聞く。
「どうしたのだ? ラーグ。なぜ鍵を差し出さぬ?」
 オーカスが言う。
「恐れながら、火の継承者は現在火の鍵と土の鍵を身につけておりますが、キー・スピリッツの声が聞けず、鍵もこの者から離れないのです」
「なんと!」
 ローラン国王の目が好奇心でいっぱいに開かれ、ラグを見る。王はラグに近づいた。
「鍵は、英雄が好きとみえる」
 ローラン国王は笑い声を短く漏らし、ラグの左耳に手を伸ばした。火の鍵であるイヤーカフを触る。
 ラグは言う。
「恐れながら、母につけられてから鍵が取れた事は一度も無く」
 60歳を過ぎているローラン国王は、年若い火の鍵の継承者の苦悩を察したようで、それを気づかうために優しい笑顔を浮かべながら言った。
「案ずるな。余は生まれた時より全ての鍵を身につける事を許された者。王なのだ。体の力を抜け。アルランドの英雄ラーグよ」
 ローラン国王がラグの左耳に触ると、イヤーカフはするりと取れた。
 ラグは言葉が無いものの驚きの表情に満ちている。
 ローラン国王は続いてラグの左小指にある土の指輪も抜き取った。
 ラグは信じられないといった表情で指輪があった左小指に触れる。
 次に親衛隊はニックの下へ行くが、ニックは親衛隊に鍵を渡そうとはしなかった。容赦は無いぞと親衛隊に魔法器を突き付けられるニック。
 ローラン国王はそんなニックにも近づいた。
「賢者ケルティックの末裔よ。水の鍵は儀式を終えたらそちに返すゆえ、今は渡してくれぬか?」
 ローラン国王はニックに手を差し出す。ニックは親衛隊が突き付ける魔法器を見ながら、イヤそうに腕からサファイア色の水の鍵を外した。
「脅されているとしか思えないんだが」
 エメラルド色の瞳は警戒心に満ちている。ニックは、ローラン国王の顔を睨みながら水の鍵を手渡した。
Wandering Network


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