第10話:ラグ3
二人の酔っ払いは協力して抱きついてきたラグを押し返す。
「お前、鬱陶しいんだよ」
「なんだとぉ? 俺は床にこぼれた酒代を返せと言ってるんだ」
ラグは薄目を開けて後退りしながら腰の剣を抜いた。後退りをやめて剣を構えるが、千鳥足が酔っ払いのリズムをとってしまうので左右にふらついている。
酔っ払いはそんなラグを見て笑い飛ばした。
「お前の剣など恐くもないわ」
「酒代を出せぇー」
ラグは剣を振るが、剣の動きがゆっくり過ぎて、酔っ払いに逃げられて全然当たらない。
酔っ払いは余裕の表情で回りこんで、ラグを殴り倒した。
ラグの手から剣は落ち、床に倒れたラグは起き上がろうとするが、無雑作に手を伸ばしたところで力が抜けて、ラグの手は床に落ちた。
気絶して床に大の字になっているラグを、酔っ払いは見下ろす。
「お前の望みどおりに酒代は払ってやるよ」
酔っ払いは、ラグの耳に手を伸ばした。
「その耳飾りがあれば、酒代を払っても釣りが出る」
オーカスは、酔っ払いが触っているラグの左耳に注目する。
床で気絶しているラグがピクリと動いた。
酔っ払いは、ラグの耳にある飾りを触り続けている。
「なんだこりゃ? 取れやしねぇ」
「ただ単についてるだけだろ。なんで取れねぇんだ? 俺にやらせろ」
もう一人の酔っ払いが、ラグの耳にある飾りを引っ張った時、ラグはその酔っ払いの腕を掴んだ。
「俺のイヤーカフに触るな!」
酔っ払いは、ラグに掴まれた腕を痛がる。
「いてて、何しやがる」
「触るな!!」
ラグは酔っ払いを突き飛ばし、起き上がり様に床にあった剣を拾う。起き上がってからのラグは、酔い潰れていたとは思えないほど動きが早かった。アメシスト色の瞳を見開き、酔っ払いに向けて剣を振り回す。
「触るな。触るな。触るな」
Wandering Network
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。