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紙飛行機にして飛ばす未来 社会人編
作:大島なるみ



Last.


子供の頃は良く遊びでやっていたけれど、大の大人となるとその力はさすがにキツイこともある。
でも、僕はもっと早く…いや、この時にでも知るべきだったと悔やんでならない。
こうしてふざけあうことの出来る時間が、どれだけ幸せでどれだけ大切だったのか…。
そして、その為に僕は聞きそびれてしまった清水の本心を、切に思うようになってしまったのだ。
なぜなら…。



「よしっ、出来た」
それから少したったある日の夕暮れ、僕はまた屋上で一時の一服をもくろんでいる。
そこには清水の姿はない。今回は本当に1人だ。というより、1人になってしまった…という方が正しいのかもしれない。
あれから数日後、清水祐哉に移動辞令が出された。本当に間もなく、というタイミングで。
『じゃあ、皆さん。お元気で』
職場を去る時も、本当にあっさりと、それなのに余裕めいた笑顔まで浮かべて。
颯爽と清水は行ってしまった。
まるで、こうなることを分かっていたみたいに。
でもその理由を、僕は清水以外の他の誰よりも知っているような気がした。
あの日清水が口にした言葉は、きっと全て自分自身への覚悟だったのだ。
僕に気付かれるくらいに不安と寂しさを内に秘めながら、それでもあいつはあいつなりに悟られることのないように、自分を保っていたのだろう。
“グダグダ悩んでたって、どうしようもないことはある。だから、どうしようもないことをどうにかしていこう、って考える。それがこの先の自分に出会う近道なんだ”
この言葉を糧にして…。
「ただのお調子者じゃなかったんだな」
僕はそうつぶやいて、くすりと笑う。
今ここに清水がいたら、きっと
「相変わらず手厳しい意見だねぇ」なんて、ふざけた口調で言ってくるに違いない。
「あ〜ぁ、負けてらんねぇな。俺も」
そうつぶやいた後で、僕は軽くフェンスの向こうに身を乗り出す。そして、手にしていたものをスッと解き放った。
それは、あの日清水が作って飛ばしたものと同じで、ただ明らかに清水が作ったものよりも僕のそれはいびつだったけれど。僕はそれでも同じように、いびつな紙飛行機を飛ばしたのだった。


清水…今、お前はどんな未来を歩いてる?
そして僕は、この先どんな未来を歩くのだろう…。


答えはまだ見つかりはしないけど、今度清水に会う時までには一味違った自分でありたい。

そう思いながら、僕は今は遠くにいる懐かしきライバルを思い、遠き未来への自分へと思いを馳せた。
夕日に向かってゆっくりと飛行していく、あの紙飛行機を眺めながら…。



End.


ご拝読ありがとうございました!これは私自身が人事異動になった際に感じたこと、思ったことが要となっております。似たような体験をした方、そうでない方も感じ取れる何かがあれば幸いです。













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