第50話 久々に見る風景
〜翌日〜
‐コダマ中学校:教室‐
スバルが教室に入ると、生徒全員がスバルの近くに寄ってくる。長期間学校に姿を現さなかったのだから当たり前だ。
"何やってたんだ?"、"病気?"などと、スバルが学校に来なかった理由を尋ねてくる者も少なからずいる。答えに悩むスバルを見たルナは人混みをかき分け、スバル、アリス、菫の3人を無理矢理教室の中に連れ込んだ。
「あなた達、スバル君が学校に来なかった理由が気になるのはわかるわ。でも! 本人が答えたくない質問に対して、無理に答えを要求するのはダメだと思うの。だから、理由を聞くのは禁止!! わかったわね!?」
ルナが怒鳴り散らしたお陰でスバルは助かり、他の生徒は理由が聞けなくて不満そうにしている。
「スバル君、はい! ノート」
「ありがとう、ミソラちゃん……ッ!」
(僕がいないうちに、けっこう進んでるんだな……1日で写せる量じゃないよ……)
「休みを利用して、少しずつ写していこうかな……今度また見せてね」
「う、うん……頑張ってね……」
スバルがミソラから渡されたノートを開くと、約20ページに渡って知らない内容が書かれていた。
明らかに1日では写せないだろうと苦笑いしながら、スバルはそのノートをミソラに返した。ノートを返されたミソラも苦笑いしている。
「スバル君。そろそろ先生が来ると思うから、座って待ってようよ」
「うん……席替えしてないみたいだね。変わらずツカサ君の隣だ」
HRの後、ほとんどの生徒が席を立つ。教科書を忘れたため、他のクラスの友達の所に借りに行く者もいれば、クラス内の友達の所に集まって話し始める者もいる。
そんな中、スバルは教室を出ていく。クラス担任のクインティアに呼ばれているからだ。
(話って何だろう……まさか、補習の事!? やだなぁ……)
‐職員室‐
扉を開け、"失礼します"と言ってからスバルは室内に入る。冬場は暖房が利いているため、職員室は教室よりも暖かい。その暖かさを全身で感じながら、スバルはクインティアのもとへ向かう。
「先生、話って……」
「……シドウから聞いたわ。あの時、ハンターVGを直すためにWAXAに来る前、私達の知らない所で、あなたは戦い続けていたようね……」
「は、はい……えっと、勝手にいなくなったりして、すみませんでした……」
クインティアの話というのは、補習の事ではなくスバルが戦っていた事についてだった。
補習の話が出なくて安心していたスバルだが、勝手にいなくなった事はしっかりと謝った。
「謝る必要なんか無いわ……別に悪い事ではないもの。ただ……あなたがいない間、みんな心配していた……わかるかしら? あなたにもしもの事があったら、みんな悲しむの」
「はい……もう、勝手にいなくなったりしないって約束します。この町を守れるのは……本当に、ごく少数ですから……まだ戦いが終わったわけではありません。でも、この町は、必ず僕が守ってみせます!」
「……ありがとう。みんなも、協力してくれるはず……私もね……」
(クインティア先生……!)
「では、補習についての話を……」
「えぇ〜!?」
やはり補習の話が出てきた。秋の間ずっと学校に来なかったのだから、補習からは逃れられないだろう。
「……補習は、友達とやりなさい。冬休みを使って、遅れている分の内容をしっかり頭に入れておく事……良いわね?」
「……はい! ありがとうございます!! それじゃ、もうすぐ授業が始まるので、失礼します」
スバルの表情は一気に明るくなり、そのまま職員室を出て教室に向かう。
『ねーねー、補習やんなくて良いのー?』
「補習なんかしてたら、スバル君の休みが無くなるわ……課題もあるんだから、冬休みを全部削るわけにはいかないわね」
『つまんなーい……スバル君が補習で苦しんでる所見たい〜!』
スバルが職員室を出た後、今までハンターVGの中にいたクインティアのウィザード、ヴァルゴがハンターVGの中から出てくる。
もともと他人が苦しむさまを見るのが好きなので、補習をしないと聞いて残念そうにしている。
「ああいう子は、学校で1人黙々と勉強するより、友達と一緒に勉強した方が良いわ……」
『ふーん……』
補習は多分スルーすると思うので、思い切ってやらない方向に持って行きました(笑)
久々に、というか初めて(かな……)ヴァルゴが登場しました!
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