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死んでいる街
作:植崎健太郎



感染者


8月25日、夏休みも終わりに近づいた頃だった。

ガクッ

「…?」
体が動かない。起きあがろうにも力が出ない。

ピンポーン

誰か来た。しかし起きあがることが出来ない。
声すら出すことが出来ない。
私は必死で(助けて!)と叫んだ。
しかし声にならない叫びは届かなかった。

私は突然動けなくなったパニックで肝心なことを忘れていた。
そうだ!母親がいる。いくら寝たきりでもトイレか何かで起きてくるはずだ。
私は母親が起きて気付いてくれるのを待った。しかしいつまで経っても母親は起きてこなかった。

どれくらい時間が経ったのだろう?
何時間か何日間か。とても長い時間が経っている気がした。

バタン

突然玄関が開き警察官やら消防隊が入ってきた。
「ずいぶんヒドいな」
「警部、仏さんを二体、確認しました」
一体何を言っているのだろう?
「いや待て、こっちの少女はまだ息があるぞ!」
「君!君!大丈夫か!しっかりしなさい!」
「急いで病院へ運べ」
私は朦朧とする意識の中で思った。
きっと腐敗症の感染者は私だったのだろう。
私は何となく感づいていた。
この頃やけに体力が無くなってきたことや、自分だけが感じる異臭。
きっと私の体の内部が腐ってきているから私だけが匂いを感じるのだろう。
私はこのまま死ぬのだろうか?もっと早く気付いていれば治療出来たんじゃないのか?
あの時、本をちゃんと最後まで読んで病気の症状をもっと把握しておけばこんなことにはならなかったのではないだろうか?
いくつもの後悔をさまよう中、私の意識は無くなった。

ピッピッピッ

ピッピッピッピッ

何の音だろう?
私は手術室のような場所にいた。
いや、目は開かないのでわからなかったが何となくそのような場所にいるのだと思った。
「全く信じられないな」
「あぁ、まさか腐敗症の感染者だったとは…」
「運のいい娘だ」

私は耳を疑った。
私の運がいい?こんな病気にかかったというのに何故そんなこと…
そう思う一方、私は疑問に思っていた。
一体私はいつ感染したのだろうか?
感染の条件は感染者の死体に触れることだ。
私は今まで死体など見たことも無かったのだ。

「しかし母親の腐敗状況はヒドかったな」
「あぁ…死後2ヶ月は経っていたそうだ」
「腐敗症の患者で死後2ヶ月と言ったら相当なモノだよ」

母親が死後2ヶ月?
そんなことは有り得ない。
だって私は母親と会話したはずだ。
少ない会話だったが確かに声を聞いた。
何がなんだかわからない状況で、この後一番驚くことを聞かされた。

「この娘があの街の唯一の生き残りか」

えっ?私があの街で唯一の生き残り?
ほかの人達は感染していないんじゃ無かったのか?

うっ…

私は色々と疑問を残しながらも再び意識を失ってしまった。












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