半分の歩幅でPDFで表示縦書き表示RDF


半分の歩幅で
作:灯夜


 額を流れる汗を、手の甲で拭った。
 照りつける太陽は容赦無く肌を焼いていく、ペダルをこいでも流れてくるのはムッとした熱い夏の風。後ろを見れば、真剣な眼差しの葵が、離されてはなるものかと、立ちこぎで追い上げて来ていた。
 それがあまりに一生懸命で、どこか微笑ましい。
 視線を戻せば、陽炎にゆらめく熱いアスファルトの緩やかな上り坂、その終わりからどこまでも空に立ち上る、入道雲が見えた。

 駐輪場に自転車を止めて、ようやく一息つく。
 校舎の陰になっている所に入って、鞄からペットボトルを取り出す。キャップを捻り、一口だけ含んでゆっくりと飲み下した。
「ちゃんと付いて来れたみたいだな」
 少し遅れて、自転車を止めた葵。
「女の子、なめるなよ!」
 息を切らしながら、それでも正面から真っすぐに見つめる瞳。
「そうだな……ほら」
 ヒョイと、手に持ったペットボトルを投げる。
「わ、何?」
「麦茶、一本は凍らせずに持って来たんだ。飲んで良いよ、多分まだ冷えてるから」
 僕が言い終えるより早く、葵は一気に喉に流し込んだ。
「っはー、生き返る」
「おっさん臭いって、それ」
 手に戻った時には、半分に減った中身。もう一口だけ飲んでから、鞄に戻す。
「こんなうら若き乙女に何を言う!」
「なら、間接キスぐらい気にしろよ」
 意表を突かれたのか、真顔になって目をパチパチさせている。
「今更でしょう」
「……今更ですか」
 安心半分、残念半分。並んで部室へと歩いて行く。
 半歩遅らせて合わせる歩幅。

 いつからだろう、隣を歩く葵を女の子だって意識したのは。中学に入って、やっと背も追い越した。けれどそれは、今までとは微妙に違って加減が分らなくて、二人バラバラになって、意地っ張りな彼女は僕を呼ばなくて。

 それから、離れてしまうのがとても怖かったんだ――。

 部室に顔を出してから、体育館横の更衣室でジャージに着替え、グラウンドに出る。熱された地面が、土埃の中で陽光に少し揺らいで見えていた。
「今日も見せ付けてくれちゃって〜。一緒に登校したあげく、ひとの少ない駐輪場で――」
 肘で僕の胸を突きながら絡んでくるのは、部活の悪友達。
「あっそ、だから?」
 返す視線は、いつも通り冷ややかに。
「冷てーの、ちょっとは慌てたり否定したりしないと、つまんねえじゃん」
「くだらないし……今更、だな」
 ぶーぶー文句をたれている連中を一瞥して「そんな子供っぽいから、お前ら彼女出来ないんだ」と笑い、大人のふりした余裕を見せて、勝ち誇った。
 葵の事は本気だから、こいつらの悪気の有無とか興味だとかはどうでもいい、ただ思うのは邪魔されたくないって事。意地っ張りな葵が、その冷やかしを受けて距離を取る、なんて事は絶対に避けたいから。
 時間が来て、練習が始まる。いつもどおり五分遅れてくる大倉先生。
 ジョグから柔軟、二百の流しの共通練習をこなして、種目別練習へ。そうして、幅跳びの順番待ちのストレッチをしている間、不自然にならない様にグラウンドに視線を向ける。

 惚れている贔屓目抜きにしてみても、葵は可愛いと思う。
 長距離選手特有のすらりとした手足、本人は気にしている女の子にしては少し高めの身長、丸顔に大きな二重の瞳、揺れるポニーテール、そこから見える小麦色のうなじにドキリとして、少し慌てて視線を外した。
 遠くから「健一、順番」と聞こえてきたので「わかった」と答えて、さっきの視線を誰も追っていない事を祈りながら、助走位置へ向かった。

 少し長めの助走距離、スピードに乗るまでに時間の掛かる僕は、普通の人よりもかなり長く走ってから跳ぶ。手足をブラブラさせて、真っ白な踏み切り板を見つめる。
 大会でも練習でも、駆け出す前の時間をいつも怖いと思う。妙な拍動をする心臓に、胸から込み上げる焦燥感。

 似ていると思った。
 いつも言い出せない気持ちを、葵に伝えようとしたその時の心境に。
 いや、幾度となく踏み止まってしまったその時は、この何倍もだった気がする。
 それを皮肉だな、と思う。
 特に何もしたいことが見つからなくて、葵に誘われるがままに始めた陸上で、こんな風に何かと向かい合う事をも学んでいるという事が。
 そして未だにそれを成し終えていない事が。

 そんな事を考えてから、大きく息を吐いてから、一歩を踏み出した。
 駆け出したその瞬間から、そこにある全部はスタート地点に置いてけぼりになって、ただ感覚だけが自分の全てに語りかける。吹き抜ける風の涼しさ、降り注ぐ日の暑さ、肌にぶつかる砂粒に、ぶつかる空気に弾ける汗。
 その瞬間だけは、煩雑な思考も、葵への胸を締め付ける想いも消えていてくれる。
 もっとも――、着地してしまえばまたその姿を探してしまうのだけど。


 町役場から流れてくる昼の場違いな音楽を合図に、散り散りに練習していた部員が集まってくる。二百メートルの校庭を三週走ってから、体操にストレッチで練習の仕上げ。
 最後に顧問に礼をして、やっとノルマは達成された。
 背中にべっとりと張り付いたシャツ、額や首筋の汗は手でぬぐっても、どこかべた付いていて気持ち悪い。水道に駆け寄って、思いっ切り蛇口を捻って喉に流し込む。そして、そのまま頭から水を被った。
 顔を伝う水滴を、Tシャツをたくし上げて拭う。
「ちょっ、腹見せないでよ。ってか、服の裾で顔拭くな!」
 いつの間にか、近くに来ていた葵が声を上げる。
「んー?」
 どっちみちこの後着替えるんだし、取り合えず顔の水滴は払いたい。
「だから、腹出すな!」
 生返事を返していたら思いっきり叩かれた腹筋、乾いた音が辺りに響く。
「バッカ、マジ……痛いって」
 見れば、真っ赤に手形が残っている。
「それでね、午後からプール解放するって言ってるから、コンビニ行こうよ」
「スルー? って、プールでこのモミジさらすのか」
「自業自得だー」
 部活後にプールを開放するのは、良くある事なので、水着はいつも持ってきている。食事を済ませたら、ふやけるほどに泳ぐつもり。
 校門前での待ち合わせを確認して、さっさと更衣室へ行く。
 男の着替えなんて、たいしたものじゃないからパパッと上脱いで新しい半袖を羽織る。念のため、汗の臭い消しにスプレーで仕上げ。
 この日差しの中、早く行き過ぎても大変だけど……。
「お? もう着替えたのか?」
「ああ」
 ここにいれば、からかわれるだけだしな。適当に日陰でも探して、そこにいるか。
「飯、行って来るよ」
「お幸せに」
 そんな声を背中で受けて、更衣室を後にした。
 結局いつもそのネタなのか。

 ゆっくりと歩いて、職員玄関の日陰でレンガ造りの壁に背を預ける。
 待ち人はまだ来ない。
 携帯でダウンロードしたての音楽を聴きながら、高台になっている学校から町を見下ろす。 家々の屋根に反射する光、距離があるからゆっくりと町並みを流れていく電車、その向こうにそびえる濃い緑の山々。この地形が、小さな盆地みたいになっているから、熱がこもるのだと思う。
 二曲を聴き終え、いくらなんでも遅すぎると思い始めた時、制服姿の女子が小走りでこっちに近付いてきた。
 葵、だ。
 風に膨らむスカート、白いブラウス、朱色のリボン、左右に揺れる長いポニーテールの尻尾。
「プールなのに、制服に着替えたのか?」
「うん」
 自分でも少し変だと思っているのか、モジモジしながら頷いている。
「やっぱ、ジャージっていうのも頑張ってなさすぎかなぁって」
 弱々しくそう俯いて言うものだから、そんなに気にするほどでも無いのに。
「やっぱ、女の子はそういうの気になるか」
「うん!」
 僕は軽く呟いただけなのに、やけに大きな返事をした葵に驚いてまじまじと見詰めた。そうしたら、自分でも気付いたのか結局赤面して元通りに俯いてしまったのだけど……。
「それじゃ、行こうか?」
 このままここでお見合いを続けたら、絶対に冷やかしのネタにされるだけなので、葵を促して歩き始めた。
 一日で一番暑くなる時間帯、昼の猛暑は容赦無い。
 長い階段を下って、真下のコンビニへと辿り着く。暑さのせいか、練習の疲労か、空腹のせいか、理由は定かじゃないけど葵はずっと黙って隣を歩いていた。
 そうして辿り着いたコンビニで自動ドアが開くと、寒いくらいの冷房が迎える。
「生き返る」
 冷気の吹き出し口に顔を向ける葵を見て「確かに」と、答えた。
 雑誌コーナーを横目でさっとチェックしながら通り過ぎ、大きな飲料用の冷蔵庫で缶コーヒーを一本取り出す。そして、レジまでの道の右側にあるコーナーから、おにぎりとサンドイッチを取りさっさと会計を済ます。
「んー」
「まだ、迷ってる?」
 パック飲料の隣、デザートのコーナーで止まりっきりの葵に声を掛けた。
「焼きソバとお好み焼きのセットに、オレンジジュース、メロンパンまでは決めたんだけど、デザートはヨーグルトとプリンのどっちにしよう?」
 二つを見比べた後、その両方を手に持って「どっちが美味しい?」と、問いかけられた。
 その言葉に自分の袋の中身を見直す。ミックスサンドに五目おにぎり、そして缶コーヒー。
「食べすぎじゃないか?」
 同じ様に、葵も僕の袋を覗き込んでから「ふつう、だよぅ」と、甘えた声を出した。
「これは?」
 僕が指差したのは、コーヒーゼリー。
「苦いからイヤ、しってるくせに」
 しかめっ面で答えるその様子は、食べてもいないのに苦そうだ。
 結局、フルーツヨーグルトに決めたみたいで、レジを済ませるのを待って外に出た。
 真正面から吹き付ける熱気に、げんなりする。
「どこで食べる?」
 額に薄く浮かんだ汗を軽く手の甲で拭って、顔だけを隣に向ける。
「せっかくだし、教室にしよっか」
 真顔で数秒悩んでから、こっちを見ずにそうポツリと言い放つ。
「え?」
 普通、部室とか校庭の日陰で済ませていたから、その答えに少し戸惑った。
「あ! ……だって、制服に着替えちゃったもん」
 葵は、慌てて捲くし立ててから、スカートの裾を軽くつまんで、お姫様の挨拶っぽく決めてにっこりと笑う。
 日焼けした肌の境界線、多分部活の練習で着ることの多いハーフパンツのラインが目に留まって思わず凝視してしまい、慌てて視線を逸らした。
 いきなりそんな事をしてくるから、凄く焦った。
「こっちは、ジャージなんだけど……ま、いいけどさ」
 一気に熱が頬まで上ってきて、快活な葵だけどこういう仕草も可愛いかもしれない、なんて思い、言葉が上手く紡げない。

 とにかく、心臓に悪いんだ。

 前を歩く彼女を追い越さないように、自分の歩幅が詰まらない様に細心の注意をする。自分の足に蹴躓くなんてかっこ悪い事、出来ない。時々、何も言わないのに振り返って様子を窺うのが可愛らしくて、合うと直ぐ逸らされる視線がもどかしい。
 アスファルトから立ち上る熱気、道路と歩道の間にある小さな花壇、辺り一面から響いてくる蝉の声、山の上に掛かった入道雲、一歩一歩進んでいく中、同じペースで流れていく景色に、夏の歩みを見ている気がした。
 明日も暑くなりそうな青空に、まだまだ続いていく夏を感じる。

 学校内は外よりは少し涼しかった。
 文化部がそうしたのか、窓が開け放されていて、強めの風が廊下から教室の窓へと吹き抜けていく。その風にポニーテールの尻尾がなびいて、軽く僕の肩をくすぐる。風が収まる度に撫で付けているその仕草は、少しだけ大人びている感じがした。
 開け放したままのドア、それなのに誰もいない二年二組の教室。
 ま、部外者が居ない方が気が楽だけど。
 隣り合わせのお互いの机に座って――、そう同じクラスで机も隣同士で……久しぶりの自分の席、向かい合わせにくっ付けてコンビニの袋を乗せた。
「案外涼しいな」
 十日くらいしか空いていないのに、どこか懐かしい。夏の日差しの光と影の強いコントラストに、普段は大勢が居て当たり前の教室に自分達しかいない空気、それらがそう思わせているのかもしれない。
「風が良く入るみたいだからね」
 缶コーヒーを開けて、まずサンドイッチを広げる。缶を開ける空気の爆ぜる小さな小気味良い音と、微かに香りたつ珈琲。
 この香りが凄く好きだ。
 じっくりと食べる準備をしているその間にも、前の机には袋の中身が手際良く出されていく。
「もしかして、ごちゃ混ぜで食べる気か?」
 少しだけ眉をひそめて、そう聞いてみた。
「うん」
 何を当たり前な事をとでも、言いたげな視線。
「味、混ざっちゃうだろ」
「そんな事ないよ、全部美味しい」
 パックを破って、準備完了箸をくわえて割っている。
「だって、メロンの甘さに、お好み焼きと焼きそばのソースって」
 言い終えるよりも早く、お好み焼きを切り分けてメロンパンを齧る葵。
「うわ、マジだし」
「ちょっと食べてみる?」
 お好み焼きを一口サイズに切り分けて、箸でつまんで見せてくる。
「いい、遠慮する」
 自分でも使っている箸だっていう自覚はあるんだろうか?
 朝もそうだけど、そういうの全然気にしないよなと、思う。
「こういう濃い目が美味しいのになぁ」
 そのまま自分の口に入れる葵。
 なんだか無防備すぎて、逆に不安になる。
 ひょいひょいと口に運んでいくお好み焼きとメロンパン、そしてパックのオレンジジュースに慌てて伸ばされる左手。
「何だかなあ」
「な、なにがよ?」
 詰まらせた事に対してだと思ったのか、バツの悪そうな顔をして、上目遣いに非難の視線を向ける。
「お子様」
 溜息混じりに、そう呟いた。
「また馬鹿にしてぇ!」

 振り回されてばっかりの僕のささやかな復讐は、一方的な暴力行為で倍返しにされた。
 ――もっとも、全然力なんか入っていなくて、かえって触れ合っているのとか、じゃれ合っているのだとかを意識させられたのだけど……。


「だからさ、思いやりだとか、優しい気遣いってモノが必要なのよ、女の子には」
 食休みをしながらの、プールへと続く道。そこまででもないだろうに、さっきからずっとご機嫌斜め。
「わかるぅ?」
 肘で僕の胸を突きながら、顔を覗き込んでくる。
「顔が、近過ぎる」
 その距離に戸惑いながら、気恥ずかしくて視線を逸らした。
「えっ! そう?」
「ああ」
「そうかなぁ?」
 斜め後ろから響くボヤキを聞きながらそのまま数歩進んで「なあ」と、声を掛けながら振り返る。
 散漫していた思考、ちょっとの油断がいけなかった。
 そのまま進んできた葵は、その頭を僕の首元に埋めて、その華奢な体は勢いを止めずに飛び込んでくる。柔らかさがスポーツで鍛えている以上に女子である事を強く意識させ、微かに香るミントのスプレーが思考を鈍らせた。
 空を掴む指先が、その背に伸びそうになる。

 多分、二人を包む風がもう少し弱かったら、躊躇うことは無かった。
 迷う自分を押し止める、心を鷲摑みにされた様な強い不安と切なさが、その一瞬を、通り過ぎていった。

 少しだけ停止した時間の後「ほら、な」と、肩に手を添えてゆっくりと引き離す。
「うん」
 何だか、上手く言葉が思い浮かばなくて……。
 それぞれの更衣室への別れ道まで、押し黙って歩いた。


 更衣室のドアを開けると、時間にはまだ早いのに男子部員は結構集まっていた。
 奥のいつも使っているロッカーを開け荷物を押し込んで、その中からバスタオルと水着を取り出す。
「そういや、お前どこ行ってたんだ?」
 シャツを脱いだ時、隣で着替えるクラスメイトにそう聞かれた。
「昼食べに行っただけ」
 焦ったのは一瞬で、出来うる限りそっけなく答えた。
「部室来なかったじゃん」
「どこバックれてんのかと思ったぞ」
 確かに他に食べるのにちょうど良い所なんか無いから疑問に思われたのか、他の部員もその話題に食いついてきた。
「気にするなよ、そんな細かい事。行くぞ、プール」
 バスタオルを巻いてさっさと着替えてから、ここで話は終わりとばかりに、ゴーグル片手に外へ出る。
「おお」
「あ、待てっつーの、俺まだ……」
 ドアの中から聞こえてくる声に、まだ何か話題を見つけて騒いでいるのが簡単に想像できた。
「子供じゃないんだから、変に勘繰るなよな」
 聞こえないようにそう一人呟いて、プールサイドへと歩いていく。着替えて出てきているのは、まだ僕以外に居ない。その時、着替えていない女子部員の一団が、プールの入り口へ向かって歩いていた。
「健一」
 目聡く僕を見つけた一人が声を掛けてきた。
「随分ゆっくりだな」
 右手を上げて答える。
「女の子には時間が掛かる事が多いんだよ」
 軽く舌を出しながら、つまらなそうな顔をして、察しなよと目線で言ってくる。
「葵、もう着てるよね」
 そいつの隣のショートボブの同級生がそう問いかけてきたので「ああ」と、考えもせずに答えてしまった。
「ふーん」
 小悪魔的……いや、普通に悪魔的な嫌な笑顔。
 しまった、これだと自分から昼一緒だったと言っている様なものだ。
 だけど彼女は、まだ騒いでいる男子更衣室を見て「大変ね」と、言っただけ。他の女子部員達もいやらしい笑顔だったけど、茶化すような事はしなくて、少し拍子抜けしたけど、やっぱり女子の方が大人になるのが早いんだなと、思った。
「飯食った後なんだし、体操しとけよー」
 女子部員の後ろを歩いている大倉が叫んでいる。
「了解」
 わらわらと更衣室から出てくる他の男子部員を振り返って「体操」と叫んだ。
「あいよ!」
「お前、一番なんだし、掛け声かけろよ」
「面倒だ、部長の仕事だろ」
 右手を上げて答える。
 全員の揃った男子が先に体操を始める。そして、シャワーに入った頃に、女子もぼちぼちとプールサイドに集まり始めた。
「俺、一番!」
 シャワーからそのまま飛び込むヤツ。
 それを皮切りに、次々と飛び込んでいく。
「まず、五往復してから自由行動だ」
 いつのまにか、プールサイドで塩素を撒いている大倉先生が声を上げる。
「はい」
「あいよー」
「了解」
 猛暑のせいか、水温も高めで少し温いけど、案外この位の方が丁度良いかもしれない。
 強く壁を蹴って、流れるように潜ってからバタ足を始め、腕はしなる様に大きく水を掻いた。
 ゴーグルで澄んでいる視界、プールの底まで差し込んでくる強い光の欠片は、水面の波を受けて水底を揺れ動く。息継ぎの度に響く外の喧騒と、水中の自分の立てる水の音。
 練習で疲れてはいるのに、その感覚が心地良くて、いつのまにか泳ぐ事に没頭していった。

「水球しようぜ、水球」
 プールサイドに寄りかかって一息ついた時、そういう声が上がった。
 サッカーボールと同じ模様の入った標準品よりもかなり小さめのビーチボールは、既に誰かが倉庫から持って来ていて、その方向でスムーズに話は進む。。
「チームどうする?」
「男女に分かれてから、グーパーじゃんけんで決めれば良いんじゃね?」
 毎回そうだし、すぐにそういう流れになって、少し距離を置いて男女で集まった。
「じゃんけん、ぽい」
「あいこで、しょ」
「しょ」
「しょ」
 さっきから、あいこが続いている。グーとパーどちらかが、極端に少ない。
 こういうのは、一度はまると長いんだよな。
「人数多すぎないか?」
「こっから、更に二つに分けんのかよ」
「いいから、じゃ、これもう一回やってから、な」
 部長が何とかまとめて「グーとパーでじゃんけん」やけにノリ良く音頭を取った。
「ポイ」
 七、六で、何とか二つに分かれている、これでやっと決定か。

「健一、どっちだった?」
 プールサイドを、軽い足取りで近付いて来る葵。
「グー」
 右手で作って、持ち上げる。
「パー」
 真似る様に、葵も右手でパーを作って掲げる。
「葵、変わってあげるね」
 いつの間にか、葵の後ろに居た女子部員が彼女の肩を掴んで笑いながらそう言った。
「ちょっとぅ、それじゃ、まるで私が……」
 肩越しに振り返って、そう言い返している。
「別の方が良かった? ああ、それだと合法的に――」
「あー、あー、あー! 聞こえない、きこえない!」
 からかわれるのが苦手だからか、大声で耳を塞ぎながら駆け出してしまった。
「振られちゃった?」
 とぼけた口調で、こっちに少しだけ舌を出して見せるその女子。
「バーカ」
 苦笑いでそう答えて、僕も自分のチームの方へと歩き出した。


 プールの中央で投げられたボール、上手くばらけた高飛びの選手がジャンプして奪い合う。
 手で払って、ボールを受け取ったのは相手チーム。
 目測で自分の場所から大体五メートル、クロールでその背中を追いかけた。
「泳げー!」
 距離が遠いのは、追いかけるのを諦めてに無責任な声援をっている。
「アホか! ボール持ったままどう泳げっての」
 前を走るヤツは、背後の声に振り返って答えたから、その隙に手を弾いた。
「せい」
 浮き上がったボールを掴んで走る、纏わりつくような水の抵抗が重い。
「うわ、最悪」
 後ろからは、悔しそうな声。
「行ったぞー、そっち」
「オメーが追えっての!」
 とにかく、あちこちの馬鹿騒ぎの声が大きくて、光を反射する水面を目を細めながらぐるっと見渡す。
「誰か前にいろよ!」
 ゴールへ向かってのライン上、良い位置にチームメイトが居ない。動きの制限される水球だと、パス回しが重要なのに。
 仕方がないので、自分で行こうと浮力を利用してジャンプするように前に飛び出した時。
「うわ、グッ……ハッ」
 良くある怪談みたいに、足を掴まれて前のめりにつんのめった。
 突っ込んだ顔、鼻と喉に少し水が入って気持ち悪い。
「足掴むのは反則だろ」
 水の中から、顔を半分出してゴーグルを取る葵に向かって、そう言った。
 小さな掌、繊細な指、そもそもそんな事を僕にしてくるのは他に思い浮かばない。
 ちなみに、前に水面を転がって行ったボールは、とっくに誰かに取られて、今はちょうど対岸での争奪戦が行われていた。
「死なない事が唯一のルール、だよ!」
 可愛らしく気合を入れながら、そうガッツポーズ。
「バーカ」
 そう、苦笑いしながら答えた。
 だけど、聞きもしないで、ボールへ向かって葵は潜って行った。僕はというと、その争奪戦の参加は諦めて、水中の影を見送った。

 何があっても苦笑い一つ、しばらく経てば元通り。
 ここに来るまでの道で、抱き合うような格好になったのも、もう微塵も意識していない様に。多分、それは告白したとしても……。
 そう考えていると、少し胸が苦しい。

「けんいちー」
「?」
 慣れ親しんだ声に落ち込みそうな思考を中断して辺りを見回すと、いきなり目の前の水が弾けて、打ち上げられたその水の塊を正面から無防備のまま受けていた。
 絶句して、目の前に浮上した葵を呆然と見つめる。
 前髪から滴る水滴が、視界を滲ませていた。
「ぼさっとしてんなよな!」
 凄く嬉しそうな、楽しそうな顔。
「ふ」
 かなりイラっとしながらも平然を装って、顔を両手で拭ってから、目を細めて笑う。
「え?」
 その気配を察してか、不思議そうな顔で微妙に引きつった笑顔の葵。
「いい度胸だ、コラ」
 そう冷ややかに告げて、モヤモヤした思考ごと目の前の水を大きく払って波を立てた。
 モロに顔面から被って、慌てふためいている。
「ちょ、ヒドッ」
 抗議を無視して、水にもぐってボールを追った。

 止め、止め。
 思い詰めてても仕方が無いんだ、差し迫って急ぐ理由も無い。

 走るよりもはるかにゆっくりな水の中、そう誤魔化しながら平気なふりして泳いでいった。


 結局、数時間を費やした熱戦は、途中から点数の計算も放棄されて、勝者不明のまま体力の尽きるまで続けられた。
 勝者不明と言うよりは、引き分けの泥仕合の方が合っているかな。
 皆が体力の全てを使い果たして、水から上がって着替え終わると、まだ空は青いのに、一日が終わってしまった気がする。
 全員の点呼をしてから、大倉先生がプールを閉めて解散した後、それぞれ散っていく部活のメンバー。
「帰んないの?」
 校舎へ向かう僕に、葵はそう問いかけてきた。
「ああ、読書感想文仕上げたから本返して、ついでに何か借りようかと思って」
「ふーん」
 そう言いながら、隣に並んで来る。
「ん?」
「なによぅ」
 拗ねた様な上目遣いがくすぐったい。
「別に」
「私も書かないとなぁ」
 少し強い風がはためかせる彼女の髪が、半袖のワイシャツから出ている僕の腕に触れて、水の気配と直ぐ傍の近すぎる距離を伝える。
 プールからそう遠くない校舎に入って、各々の下駄箱に分かれてからまた合流。目の前の廊下の少し先に掛かっている、図書室のプレート。
「書いてよ、もう一人分くらい」
 コツンと、踵に爪先がぶつけられた。
「葵」
 それに弾かれるように振り返りながら、真剣な目をして名前を呼んだ。
「な、何よ?」
「これは、葵が落ちこぼれない様にっていう、僕からの愛情なんだ。わかってくれ」
 笑いたいのを堪えながら、真正面にその瞳を捕らえる。
「え、そうなの……?」
 揺れる漆黒の瞳、不安と期待の色を移した表情はあまりに無防備で、自分で言った言葉が少し切ない。
「もちろん」
 大きく息を吐いてから、頬を緩めた。
 してやったり、そんな笑顔、そうした作り笑い。
「また、なんか馬鹿にしてるでしょ」
「そんな事無いって」
「絶対、嘘だ」
 むくれる彼女の背中を押して、図書室へと入っていく。

 軽い冗談でも、話の流れの自然な位置でも、愛情とか好きだとか言うのは凄く緊張する。
 その辺の所、分かっているのかな?

 ドアの通ると、独特の本の香りが出迎える。人はほとんど居なくて、退屈そうな図書委員が、カウンターで文庫本を読んでいる。
 採光に気を使っている図書室は、他の場所よりもさらに涼しい。ここまでの廊下よりも少し暗く、だけど本を読むのに不適切って訳じゃない。
「ちゃんと良い本見繕ってやるから、さ」
「むー、失礼な事言ったんだから、どうせならお詫びに書いてよ」
 まだむくれている葵の隣に並んで、まずは返却するのに貸し出しカウンターに向かう。
 文庫本を読みふけっていた女子生徒は、こっちをちらりと横目で見てから、しおりを挟んで本を閉じた。
「ふーん」
 鞄から取り出し、積み上げた五冊を見て葵はそう呟いた。
 その声を聞きながら、図書カードを本の上に乗せる。
「どうかしたか?」
 そのカードをリーダーに通して、パパッと手際よく操作しているのを見ながら、そう問いかけた。
「いや、聞いたことのあるタイトルだから」
 その視線の先には、上から二番目に積まれた本。
「借りようと思ってた?」
 手続きの終わったカードを受け取って、葵と向き合う。
「ううん、そういうのじゃなくて」
 珍しく歯切れが悪いのが気になったけど、葵は「ま、いいから、いいから」と、僕の背中を押して奥の本棚へと連れて行くから、それ以上聞く事は出来なかった。
「あ! 長いのは無理だよ、読めないから。簡単でまとめやすいのが良いな」
 過ぎていく本棚に並べられた背表紙を読まずに、視線だけ流してそう言った。
「これとか?」
 一冊を手に取る。
「どんな話?」
「多分出た当時は現代恋愛系だったと思うけど、少し昔の話だから、手紙とか少し馴染みが薄いキーワードが出てくるかも――」
「意外!」
 言い終えていないのに、大声を上げられて言葉が遮られた。
 ここ、図書室なんだけど。
 さっと辺りを見渡して、カウンターのさっきの図書委員に頭を下げた。
「何がだよ」
 恥ずかしさも有って、苛立ちを隠さずに睨む。
「そういうの読むんだ」
 だけど、葵はそれに気付きもしないで、興奮冷めやらぬ口調でまくし立てている。
「ああ」
「普通、男子って……アクション? みたいな戦ってたりする感じのとか、もっと違ったの読んでるんじゃ――」
「止めた、もう帰る」
 彼女が馬鹿にしているんじゃないって事は分かってるけど、どこか『そんなの読んでるんだ』なんてニュアンスがある気がして、ちょっとムッとした。
「あー、もう、そんな直ぐ怒んないでよ! これにする」
「無理するなよ、今話題になっているファンタジー物だったら映画とかの感想でも」
 気遣って言ったつもりだったのだけど「いいの!」と、返ってきた声はとても強い口調で、高く響いた。
 そして、辺りに流れる微妙な空気。
「いいんだから」
 もう一度繰り返す言葉はトーンダウンして、その悲しそうな表情が胸に痛い。
「……わかったよ。でも、外れで怒られても困るからな、プロローグ軽く目を通せよ。そこがOKなら、後はすんなり入れるはずだから」
「うん」
 そう頷いて、葵が少しだけ笑ってくれたから、いたたまれない気持ちも和らいで、強張ったモノ達がゆっくりと溶けていった。
 本を開き文字を追っていく視線とその横顔を見て、そういえばさっき返却した何タイトルかは、女子にも人気があった事を思い出していた。
 恋愛要素も多く含まれているし、それでだったのかな。

 いつになく真剣な顔を見て、いつからこんなに好きになったのだろうと思う。

 だけど、それは問題がループしていて数学の様に確かな答えが見えるものでは無い。
 そんな事は、ちゃんと自分でも分かっている。
 それでも、考えてしまうんだ。
 小学校の同じクラスで最初見た時、可愛いなとは確かに思った。
 でも、そう感じるだけの娘は、それに前後しても案外沢山いた気がする。ちょっと良いなと思って、そして数分後には忘れているすれ違いの女子。なんとなく憧れていたけど、向こうが中学に行ってからはすっかり忘れていた先輩。良いなとは思ってもそれだけだった感情は、葵を想う気持ちとは全然質が違っていた。
 自然といつの間にか視線で追って、声を聞けば話が出来れば嬉しくて、怒っても嬉しくても悲しんでも色々な表情に惹かれて、じゃれてくるのにドキドキして、無茶して必死なその姿を愛おしいと想った。
 はっきりとした理由も切っ掛けも無かったと思う。
 でも、本当にいつのまにか、想いはこれまでにない程に募っていた。

 そして、そんな風に考えて、もう一歩彼女を好きになる。

 カウンターに本を置いた時に、響いてくる下校チャイム。
 嫌な顔をしながらも、文句を言わずに手続きしてくれた見知らぬ図書委員に心の中で感謝しつつ、図書室を後にした。
 リノリウムの床に響く、テンポの違う足音。
 並んだ彼女との二十センチの距離。
 日中の疲労が少し言葉を奪っていた。

 人気の無い下駄箱、蝉の声も蜩に移り変わっていて、外に出れば無人のグラウンドと微かな波がたゆたうプールに、寂しさを感じた。
 閑散とした駐輪場、長く伸びた影。
「およ?」
 鍵を外して、自転車を引いた葵は少し間の抜けた声を上げた。屈み込んで、前輪をいじくっている。
「どうかした?」
 歩み寄って同じように屈んで、前輪を押してみる。
「タイヤ、パンクしてるな」
 弾力を失くし、平らに地面と同じ形でだれているゴム。
「え〜? 嘘、何で?」
「これかな」
 すこしだけ尖った、三角形の石をつまんで見せた。
「刺さってそのままになってたから、栓になって気付かなかったんだろ」
 空気を入れなおしても、復活の見込み無し。
「歩くしかないな」
 コンとハンドルを叩いて、そう告げた。
「少しくらいなら……」
 未練がましく自転車を見つめる葵に「フレームがいかれたら、もっと修理費かかる」と言って、自分の自転車を元に戻した。
「何で戻してんの! 良いよ置いてって!」
「さっきは葵が待っててくれただろ」
「それは――、それとは別だよ!」
 怒鳴る彼女を、ただただ真っ直ぐに見詰めて「こっちも少し自転車の調子悪いんだ」と短くそれだけを言った。見詰め返す視線からは、伝えたいことが伝わったのかなんて分からない。 だけどそれ以上は、お互いに何も追求しないで歩き始めた。
 長いこと遊んでいたから、傾いてきた太陽と優しくなった日差しに感謝しながら、朝は上ってきた学校への道をゆっくりと下っていく。自転車と違い風の流れは緩やかで、あちこちから聞こえてくる蝉の声や、夏のざわめきを耳に届ける。
 半分を歩いた頃、まだ僅かに水分の残る髪を撫でながら「これだけ暑いのに、まだ乾き切らないないなんて、ヤんなっちゃう」と、隣でぼやく声が聞こえてきた。
 普段はポニーテールだから意識していないが、葵の髪はかなり長い。
「ドライヤーは?」
「これ以上荷物持って来たら、それだけでダウンよ!」
 どこかまだ葵は不機嫌で、振り回すスポーツバックは、いかにもな重量感を誇っていた。
「そもそも、電源どっから取るのよ」
 愚痴っている隙に、ヒョイと振り回されるバックの紐を取って、自分のと重ねて肩越しに担いだ。少しだけ呆けた真顔の葵と、視線がぶつかる。
 そして、おずおずと伸びてきた左手。
 そっとだけど、離れないように強く僕の右手が彼女に捕まる。
 昼間より優しくなった日差しに、やっと涼を含み始めたオレンジの風が、二人の間を流れていった。

 触れ合っている右手が熱を帯びていく。

「ほんとは、ずっと前から気付いてた……私が追いついたんじゃ無くて、健が合わせてくれているんだって。隣にいれば緩めてくれる歩調も、さりげなくフォローしてくれている言葉も」
 訥々と語り始めた、葵。
「でも、認めたくなかった!」
 強い視線と言葉に、不安がよぎる。
「……何で?」
「私の方が、お姉さんなんだよ」
 予想外の答えに、少し吹き出してしまった。
「たった三ヶ月」
「されど、三ヶ月!」
 思えば、いつもこうだよな。ちょっと変な自分ルール、そして頑固にそれを通すから始末に終えない。
 微かに聞えるか聞こえないかの声で「意地っ張り」と呟いた。
「僕は、姉弟として手を繋いでいたい訳じゃないんだけどな」
「知ってる、私もそうだもん」
 でも、そんな所も嫌いじゃない。
 そして、沈黙が歩いていく。
 一歩、二歩……三歩。
「葵、俺の事好きだろ?」
「なっ!」
 その台詞は予想外だったのか、大きく目を開いて言葉を詰まらせている。
「そういう告白の仕方、あるかなぁ」
 めまぐるしく表情を変えながら、告げられた言葉は弱く震える。
「平気だよ。俺、葵の事好きだし」
 戸惑いながらも向けられた視線を、しっかりと捉まえた。
「追いつき追い越されたとかじゃ無くて、長い時間を一緒に過ごしてきたんだからさ、これからも二人のテンポで愛していけたら良いと思わない? それに――、これまでの毎日は軽いものじゃないんだし、そんなに直ぐには変わらないって」
 照れながら、ちょっとうつむいている葵。
「ま、こういう事が出来る様にはなるのかな」
 そう笑って言いながら、左の頬に唇を落とす。
「――ッ! 不意打ちすな!」
 赤い顔をしたのも可愛いから、その主張は聞き流して、つないだ手を引いて抱き寄せた。ひたすらに、二人の距離を縮めたくて。
「葵」
 今の気持ちを表せる言葉がないから、ただその名前を口にする。背中に回した手の柔らかさ、胸に収めた一体感、首筋に感じる息遣い、微かなミントの香り。
 微かに頷いた葵「好き」と呟く小さな声が、優しい風を受けながら耳に届いてきた。

 今に至るまでの、沢山の時間と気持ち。
 どちらからも一方通行だったかもしれないけど、そこにもきっと愛があって、それは自然に愛せる今に必要なもので……。
 だから、今日も僕達は同じペースで歩いていく。
 いつだって傍に居たくて――。


いかがでしたでしょうか?
これまでの作品よりかなり文字数が増え、短編にしようかどこかで切って連載にしようかと悩みましたが、どう区切るかで迷い、短編で投稿しました。
長い作品はまだ不慣れな点も多いと思いますので、意見・ご感想など御座いましたら宜しくお願いいたします。








ネット小 説ランキング>恋愛シリアス部門>「半分の歩幅で」に投票
ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)









ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう