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思わぬ再開
予想しえない言葉にかっとなったのは確か。
予想しえない足元のものにつまずいたのも確かだ。だが。
一番予想もしえないのは壁が回ってその奥に吸い込まれることではなかろうか。
暗い穴。壁の向こうの暗い宙に放り出されたかと思うと一瞬の浮遊感の後、すぐに地面が迫るのを見て、次に来る衝撃に備えてサシャは目を瞑った。

「っ!!」
「っ!」

どすん!
不思議と予想したほどの衝撃もなく、石造りの冷たい地面の感触が手に感じる。
一瞬浮遊感を感じるほどの、高さから落ちたはずなのにである。
意外にそんなに高さがなかったのかと、そっと目を開いて驚いた。

「っ!アポロ!?」

なぜか自分の下敷きになっているアポロにサシャは驚いて、まじまじと下敷きになっているアポロを見た。

「どうして…?」

下敷きになっていたアポロは目を閉じたままピクリとも動かない。
その姿が先ほどサシャが椅子を投げつけ昏倒した姿にダブり、サシャは顔を青くした。

(まさか、また頭を打ったのでは…。)

サシャは上を見上げた。暗い空間は天井の存在も見えないほどだが、決して天井が低いと言うわけではなさそうだった。だとしたら相当な高さから落ちてきたことになる。
なのにサシャはそれほど衝撃を感じなかった。状況的にアポロが庇ったに違いなかった。
不意にアポロは閉じていた目を開いた。

「アポロ!?どっか痛いところはありませんの!?」
「…サシャ。」

ぼんやりとした瞳で、いつものことだが、状況的に慌てる。サシャは一言一句聞き漏らさない覚悟で耳を傾けた。

「なんですの!」
「…重い。」

ごしゃっ。

サシャの無言の一撃が先ほどまでアポロの顔のあった辺りにヒットする。鉄拳は地面にめり込み、直に当たっていたらかなり痛そうである。
それを腹筋の要領で避けたアポロが相変わらずの無表情でサシャを無言で見た。

「…………。」
「…どうしてよけますの。」

サシャは笑顔をアポロに向ける。怖い笑顔だ。

「…どうしてって。痛いのやだ。」
「ほほほほ!いやですわ。レディに対して『重い』などという輩には鉄拳制裁するべしと法律で決まってますのよ。それを痛いくらいでよけるなんて。」
「そんなの、聞いたことないけど。」

呆れたアポロがサシャを見ると、少し睨んだかと思うと思いっきりそっぽを向いた。
心配したのに。言うに事欠いて重いなどと。
だが、心配したなどというのも恥ずかしい気がして、目を合わさないようにしているとアポロが様子をうかがうように覗き込んでくる。

「…心配、した?」
「…してませんわよ。そんなの。」

なんだか見透かされているようで少し腹が立つ。今まで弟みたいに思っていたから、年下扱いしていた相手にそんな守ってもらうような態度取られるとどうしていいのかわからない。
反応に困ってしまったので、話題転換を図った。

「…ここはどこでしょう?」
「さあ?…保健室の裏?」
「そんなことはわかっていますわ!何で保健室の裏にこんな空間があるのかってことです…。」

そこまで言いかけて言葉を止める。
アポロが口に人差し指を立てて、黙るように指示したからだ。

「…静かに。…聞こえる。」
「…何がですの?」

暗い空間と言うのはそれだけで不安を呼び起こす。アポロのただならぬ雰囲気に思わず、胸の鼓動が早くなる。

「この空間…だれか、いる?」
「え?」

その言葉にひやりとする。
こんな暗い場所にいる誰かとは一体誰なのか。
ともかくそこはじめじめとした石造りの空間だった。周囲の壁にはわずかに苔が生え、決して全うな人間が普通にいるような空間に見えない。

「まさか、魔物?」

サシャは青ざめた。
以前キラートスに襲われたときには、大賢者からもらった武器があった。だが今は丸腰だ。
いや、キラートスの時だって、五人がかりで武器を持って漸く一体倒せた程度だ。
そのときに比べて、今は二人。状況的に最悪だ。

「…わかんない。でも。」
「…あっれえ?」

言いよどんだアポロの声に重なるように声が聞こえて驚く。
だが、どこかで聞いたような声に、別の驚きが重なり、サシャは勢いよく振り返った。

「…チェルシー?」
「…随分なところであうわねぇ。」

薄暗い空間の少しはなれた場所にZクラスの級友の姿があった。
だらだら長いです。
プロットの段階ではもっと短かったのですが、力量不足。すんません。
とりあえずこの章?の完結に向かって頑張りますわ。
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