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なんでも知ってるお姉さん 作者:古川アモロ
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3/4

お姉さん、よろこぶ。

 翌々々日―――すなわち、め切り当日……私のパソコンには、メールが殺到さっとうしていた。
 ノルマ? 冗談じゃない!

 新たに寄せられた質問は38件。余裕よゆうのよっちゃん―――私の秘策ひさくが、見事にみのったと言っていい。
 秘策。すなわち小学生たちに、私のほうから疑問を投げかけたのだ!

――――――――――――
 クイズ①
「なぜ扇風機せんぷうきをつかうとすずしくなる? あつい空気をかきまわしているだけなのに」

 クイズ②
「電波はまっすぐに飛ぶ。じゃあ、なぜ日本からハワイへ無線で通信できる? ハワイに向けて発信しても、地球は丸いから電波は宇宙のそとに飛んで行ってしまう。地球の丸みに沿って電波が飛んでいるのか? ありえない!」

 クイズ③
「電話もテレビのリモコンも、ボタンは上から1、2、3……なのに、電卓でんたくだけどうして、下から1、2、3……なのか?」

――――――――――――

 私は、雑学ざつがくクイズを3問用意した。
 そしてA3用紙に印刷して、各校の通学路つうがくろに何十枚と貼っておいたのだ。公園、曲がり角、アニメ映画のポスターの下……大人には気づかれにくく、子どもには見つけやすい。そんな場所を選びに選んだ。
 県下の小学校は、公立私立あわせて184校。もちろん、3問のクイズは、一校一校すべてちがう問題だ。
 したがって、用意したクイズは、552問。クイズ王の私にとって、問題を考えるのは大した手間ではなかった。しかし、2日半ではとてもすべてを掲示けいじすることは出来なかった。わずか54校ぶん……それでも効果は絶大ぜつだいだった。

 そう、ここからが秘策なのだ。  
 第4問を用意したのだ。

――――――――――――
 クイズ④
「熊本県で、野生のクマをつかまえることは出来るか? 野生である。動物園のクマはのぞく」
――――――――――――

 「こどもたちへ」誌の発行部数は、95000部。全国に小学校は約22000校。つまり単純計算でひとつの小学校に、4、5人の購読者がいるはずなのだ。必ずいずれかの読者の目にれる……少なくとも、学校内でうわさになるはずだ! 

 そして第4問……「こどもたちへ」を読んでいる子どもならば、お姉さんの休載きゅうさいの理由を知っているはず。必ず連想れんそうしてくれると信じた! 大成功だいせいこう―――

 最終日、私はメールの返信にてんてこいだった。次から次にメールが来る。まったく追いつけない。ノルマを24通オーバーしたところで、0時をまわった。

 もちろん、次号に「お姉さんへの質問50」はデカデカと掲載けいさいされた。まるで特集のようなあつかいだった。

★ ★ ★
扇風機せんぷうきの風が、体の周りの、温度の高い空気を吹き飛ばすんだッ。だから涼しく感じるんだよッ』
★ ★ ★
『地球の周りには、大気圏たいきけんっていう空気のそうがあるんだッ。その中に、電離層でんりそうっていう電波を反射する層があるんだよッ。上空に発射された電波が、それにハネ返ることで地球の反対側にも通信できるんだよッ』
★ ★ ★
『数字の計算をするときには、0と1をすごく使うんだッ。だから電卓は、使いやすいように、0と1のボタンを近いところに配置はいちしてあるんだよッ』
★ ★ ★

 私のクイズ行脚あんぎゃは、毎日の習慣になった。北へ南へ、西へ東へ。もちろん、大反響だった。
 何度か、通学路に貼りつけてあるのがネット上にアップされ、話題になったことがある。だが、大したさわぎにならずにすんだのはさいわいだった。それからは反省し、第4問だけは記載きさいから外した。
 すなわち「熊本県にクマはいるか」。
 もはや必要あるまい。

 今後も私はお姉さんとして、子どもたちの疑問に答え続ける―――と思っていた。
 数か月後―――

☆ ☆ ☆
『お姉さんへ』
『クマをつかまえました。どうしたらいいですか?』
『熊本県 龍の巫女みこみちびかれし聖剣士くん(11歳)』
☆ ☆ ☆
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