[ ♯3・昼下がりの天使 ]
(哀SIDE)
中学校が始まって一ヶ月
大体の人が学校に慣れてきたみたい
昼休みは一人でいる事が多い
それに仲の良い吉田さんは隣のクラス
たまに吉田さんといるときもあるけれど、活発な彼女についていくのは大変
一人って嫌いじゃないし、いろいろ落ち着いて考えられる
このクラスは何だかみんな元気がいい
教室にいつもいるのは、私と難易度の高い高校を受験する人達…
といっても先生に勉強を聞きに行くか、図書室で勉強をやるか
だから実際は私だけ
工藤君は、毎日のように外でサッカーをしている
彼が言うには、中学校で唯一良いことはサッカーがたくさん出来る事だとか
今日も、得意のサッカーをやっているのかと思って外を見ても、その中に彼はいなかった
不安…たったこれだけの事だけど、それだけで何かが足りないような気持ちになる
彼がサッカーをしている姿を見て、私はいつも安心していたのだ
私の心、だいぶ弱くなっちゃったみたい
自分を変えて社交的になって、昼休みほかの場所で遊ぶ事は出来るかもしれない
でも私が何か変わったら、彼が離れていてしまう気がするから…
(コナンSIDE)
俺は昼休みはいつもサッカーをしている
「遊ぼうぜ」と声をかけてくる奴と適当に
けど今でも、基本的に話せるのは元太と光彦くらいだ
アイツは…灰原はいつも教室で本を読んでいるみたいだ
その姿はなんと言うか近づきにくいけれど、なんかきれいで…
素直に声をかけれたらいいのに、ためらっている
そっけなくされたら、きっと大きなダメージになってしまうから
小学校の頃から灰原は変わっていない
そんな灰原を見ることで安心している自分がいる
けれど、今日は少し近づいてみよう
そろそろ俺達も変わらなくちゃいけない
(哀SIDE)
「よぉ灰原。また読書かよ?」
「工藤君…」
突然でおどろいた
さっきまで私一人だった教室に彼がいたから
「誰もいないことだし、遠慮せず話せよ」
彼はそう言うと哀の隣の席に座った。
「…2回目の中学生生活は、暇で仕方が無いのかしら工藤君?」
私って…本当に素直じゃない
「そういうんじゃねぇよ。ただ…たまにお前といるのも良いかなぁって」
「なっ、何言ってるのよ…」
彼はくさいセリフの天才、聞いてるこっちが恥ずかしくなる
「なぁ、いっつも何の本読んでるんだ?」
「HOW・TO本…かな」
なんてね…あなたの話しについて行きたいから、推理小説ばかり読んでる
今日のは違ってて良かった
「俺の厳選した推理小説でもどうよ」
「あなたの推理オタク、移さないでよ」
「なっ、蘭みたいな事言って…」
「……」
「悪ぃ、蘭の名前出して」
そんな…謝らないでよ
「別に…私に気なんか使わないでくれる?」
「なぁ灰原、俺はアイツの事はもう…思い出だから」
思い出?彼は私に何を伝えたいのだろう
「だから、何?」
「ん〜だからあれだ、昼休みでも使って、新しい思い出でも作ろうか…俺達で」
私は少し戸惑った
でも今だ、今が素直になる時だ
「それも…良いかもね」
私は顔を少しゆるめて答えた
(コナンSIDE)
灰原が少し笑ったように見えた
すごく、すごく、可愛かった
「…やっぱオメェにはかなわないな」
「それって、どういう意味よ?」
どういうって…今お前は俺の中で一番って意味だっつーの
「さぁな、シークレット、シークレット(笑」
一人は落ち着くものだけど、でもそれよりも二人の方が幸せになれるはず
(哀andコナン)
2回目の中学生は、前よりも甘酸っぱく…
二人でいる昼休みが日常になったら良いのにと、心底思った。 |