ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
「それじゃあ、またな」

トラムはナップに軽く手をふると、また別の輪の中へと消えていった。

「馬鹿な真似…ね」

この極めて楽天的な思考の持ち主の青年に、果たしてトラムの言葉どのように響いたものなのか。
ナップは、再び杯から酒をうまそうに飲むと、手近にあった椅子に腰かけた。と、その途端ー

「ああ!!いたいた」

間髪を入れず、彼に声をかけてくる者がいた。

「探したよ、ナップ!!」

「うぉ!!ボッシュじゃん!!」

振り向いたナップの先にいたのは、なんとも恰幅のよい若者であった。
短い金色の巻毛を生やし、小さいがクリクリとした瞳と小さな鼻がしもぶくれのぽちゃっとした顔にはりついている。
ナップと同じ位の中背だが、服の上から腹のふくらみが見て取れる。

「久しぶりだなぁ、キリー村以来だもんな」

「そうだねぇ」

ボッシュはにこにこと微笑んでいる。なかなか愛嬌のある憎めない笑顔だ。

「せっかく帰ってきたのに、ヨルムに着いた途端に倒れちゃって、ほんと情けないよ」

ボッシュも、ナップと同じトラム小隊の新卒騎士であり、当然キリー村で石になる体験をした一人である。
先月、最後に帰投したトラム隊の一員としてようやくヨルムに戻って来たのだが、運悪く直後に虫垂炎となったため、昨日まで西区にある自宅で静養し、今日ようやく仕事復帰を果たしたのだ。

「もう体の方は大丈夫なんだろ??」

「うん。退院したあと家で何日か休めたからね」

「そっか、確かにお前ん家ならゆっくりできそうだよな」


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。