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「それじゃあ、またな」
トラムはナップに軽く手をふると、また別の輪の中へと消えていった。
「馬鹿な真似…ね」
この極めて楽天的な思考の持ち主の青年に、果たしてトラムの言葉どのように響いたものなのか。
ナップは、再び杯から酒をうまそうに飲むと、手近にあった椅子に腰かけた。と、その途端ー
「ああ!!いたいた」
間髪を入れず、彼に声をかけてくる者がいた。
「探したよ、ナップ!!」
「うぉ!!ボッシュじゃん!!」
振り向いたナップの先にいたのは、なんとも恰幅のよい若者であった。
短い金色の巻毛を生やし、小さいがクリクリとした瞳と小さな鼻がしもぶくれのぽちゃっとした顔にはりついている。
ナップと同じ位の中背だが、服の上から腹のふくらみが見て取れる。
「久しぶりだなぁ、キリー村以来だもんな」
「そうだねぇ」
ボッシュはにこにこと微笑んでいる。なかなか愛嬌のある憎めない笑顔だ。
「せっかく帰ってきたのに、ヨルムに着いた途端に倒れちゃって、ほんと情けないよ」
ボッシュも、ナップと同じトラム小隊の新卒騎士であり、当然キリー村で石になる体験をした一人である。
先月、最後に帰投したトラム隊の一員としてようやくヨルムに戻って来たのだが、運悪く直後に虫垂炎となったため、昨日まで西区にある自宅で静養し、今日ようやく仕事復帰を果たしたのだ。
「もう体の方は大丈夫なんだろ??」
「うん。退院したあと家で何日か休めたからね」
「そっか、確かにお前ん家ならゆっくりできそうだよな」
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