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サントノーレ 作者:奈備 光

1章

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4 ゲート白金を訪れし者達

 イコマはGPTにいた。
 アヤとともにいるためである。
 さすがにンドペキは、隊員でもないアヤを戦場に出すつもりはなかったが、アヤが少しでも役に立ちたいといって聞かなかったからである。

「ゲート内で迎え撃つ! 敵の数は少ない!」
「バリケードを閉じろ!」
「まもなく視認可能!」
 ニューキーツの街は夜。
 ほのかな明かりが灯る街路。人通りはない。
 ゲートを守っていたのは、コリネルス他数名の隊員とアヤである。
 GPTは比較的小さな出入り口であり、守りやすい反面、大型火器による破壊にはもろい。
「相手の武装を確認しろ!」

 義足姿のアヤは、行動には遜色はないが、どうしても下半身の装甲防御力に見劣りがする。
「アヤ! 後ろに下がっていろ! 市民を避難させろ!」
 コリネルスが叫んでいる。
「了解!」

 ンドペキからの発信。
「総員Nポジション!」
 イコマはチョットマも自分の持ち場に向かっているだろうと思った。
 チョットマの持ち場は、プリブの部屋の先に設けられた前線基地である。
 Nポジションは、全員があらかじめ決められたゲートに集結し、各々そこを守るという隊形である。
 いくつかのフォーメーションが想定されているが、Nポジションは最もノーマルで、戦闘初期の隊形であるといえた。
 従って、急襲されたGPTに隊員が続々と集結するというものではない。
 フォーメーションはNからSまであり、Sとなれば最終局面であり、全隊員が他のゲートを放棄してでも、戦闘中のゲートに集結することになる。

 隊はすでに、ホトキンの間を放棄していた。
 最前線として監視カメラやセンサーなどは設置してあるが、百名余りでこのエリアREFからスゥの洞窟まですべてをカバーすることはできなかった。
 物資や人材すべては、すでにエリアREFに集結してある。
 エリア内で、敵の攻撃から最も安全と考えられていたのが、プリブの部屋の先にある前線基地、通称GFEである。
 スゥの洞窟あるいはホトキンの間から侵攻して来る敵を事前に把握しやすいからである。
 ただ、守りに弱点がある。
 防御基地としての足がかりに弱いのだ。しかも、撤退時にあの細い鉄橋を渡ることになる。



「重火器はない模様!」
「ゲートに集中! 迎え撃つ!」
「視認! 敵数、三!」
「ゲートから出るな! 確実にものにする!」
「ひきつけろ!」

 わずか三名!
 これまでにも急襲を受けたが、これほど少ない数での侵攻は初めてだった。
 いやな予感がする。
「他のゲート! 警戒を怠るな! 相手は少数! 囮の可能性あり!」

 わずか三名でも、敵が接近しつつあるときは緊張で気分が悪くなる。
 スキャナーを飛ばした隊員から、重火器を保持していない模様と報告されてはいる。
 しかし、万一小型のエネルギー弾でも保持しておれば、バリケードや建物の外壁は吹き飛んでしまい、ゲートは大口を開けることになるだろう。
 瓦礫に埋もれ、土埃が舞う中で、広がった入口を数名で守るのは難しい。
 隣接のゲートから隊員を急行させるOポジションに移行するタイミングが難しい。
 イコマはンドペキの意識として、急接近しつつある敵の部隊を凝視した。
 後、二秒ほどで双方射程距離内に入る。

 これまでの経験で、アンドロ軍は遠距離攻撃は仕掛けてこないことが分かっていた。
 必ず、一般的な近接戦の効率的射程といわれている三百メートル前後から攻撃を仕掛けてきている。
 街の破壊や市民の犠牲を最小限にするためか、他の理由があるのか分からなかったが、今回もその例に漏れないようだ。
「迎撃用意!」


 エリアREFを手中に収めたときには、まだアンドロ軍は完全にエリアREFを掌握していなかった。
 住民らの抵抗があったからだろう。
 いくつかの戦闘はあったものの、あっけなく勝利し、エリアを掌握したともいえる。
 その後、七度の攻撃を受けたが、いずれも散発的なものだった。
 エリア内に侵攻されることもなく、蹴散らしている。
 彼我ともに死傷者はない。
 しかしいずれ、大規模な侵攻作戦が実施されるはずだ。これまでの攻撃は、そのときのための偵察行為とも取れた。
 今回がそのときではないか、と常に考えていた。

 コリネルスが、撃て!と号令を発するそのときだった。
 敵がその場にぴたりと立ち止まった。
「ん!」
 と、メッセージが流れた。
「我々は使者である!」


「油断するな!」
「我々はタールツー正規軍!」
 敵は銃口を下に向け、戦意がないことを示している。
 装甲、装備共に統一されている。
 どことなく、騎士を思わせる気品を持っている。
 最新鋭の装備が街頭の光にきらめいていた。


「では、用件を聞こう!」
 コリネルスが叫び返した。
「ここでは話せない!」
「なにを!」
「タールツーが直々に話したいとのこと! ンドペキ隊長ないし代理の方が、タールツー居住区までお出向き願いたい!」
「なっ!」
「期限は二十四時間以内。お越しになられたら、衛兵に声を掛けられよ!」
「行かぬといえば!」
「知らぬ! タールツーが決めること!」

 そう告げると、三人は踵を返し、走り去っていった。
「ふざけたことを!」
 暗い街路には、かすかな砂煙が舞い、静寂だけが残った。
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