荒らしの予感を肌で感じる。
青年は息を殺し
“それ”を待っていた。
辺り一面雪が覆う、そこは雪山
その頂上付近に生息する怪物。
白く巨大なヒヒ
「ドドブランゴ」
多くのハンターがヤツに敗れ、命を落とす者も少なくない。
「・・・・」
全身を恐怖と緊張が支配する。
そして、ヤツが姿を現した。
その巨大な身体は2mを越え、口元には30cm以上の巨大な牙が見える。
「っ!飲まれるな!」
圧倒的なその姿に一瞬萎縮する自分を奮い立たせようとほほを2、3度叩く。
ヤツはこちらに気付くと空気を大きく震わせ、雄叫びをあげた。
「ウウォォォオオウゥ!」
「くっ!」
その声に目眩を覚えるが、ぐっとこらえた。
青年は背中に背負った巨大な剣
「レッドウィング」を構える。
じりじりと互いの距離を詰めると
先制を仕掛けたのは青年だった。
大きく背中から振りかぶると力まかせに叩きつけた!剣に練り込まれた火竜の体液が摩擦により爆発を起こす。
爆発にたじろぐドドブランゴだが、
幾多のハンターを死に追いやった怪物の皮膚は堅く、かすり傷1つ付かない。
「なんて堅さだ!」
それならと生物の弱点となる末端に向け剣を横に薙ぎ払った!
しかし、剣は空を切る!
まるで予測していたかのように横に飛びのき刃をかわす。
青年は前転し、態勢を整えもう一度切りかかった。
刹那
巨大な拳が青年を殴りつけた!
「・・・・!!」
ヤツにしてみれば
ただ腕を振り下ろしただけの事だろうが、
人間の体が受けるダメージはかなりのものだ。
「なんて力だ!」
一瞬、心が折れそうになるが手に握られた剣を見ると柄に力をこめた。
一気に距離をつめる。
だが、ヤツもただやられる訳も無い。
大きく腕を振りかぶる。
その瞬間に懐に飛び込み、腹部を剣の横腹で叩きつける。
さすがの怪物ドドブランゴも内臓へのダメージは防ぎようも無い。
頭を振り、少し後ずさるとすかさず横に跳んで追撃を回避した。
「スキが…無い!」
剣を背中にしまうと距離をとった。
腰に付けられたポーチからボールを取り出す。
「これでも……
食らえ!!」
投げてすぐ、凄まじい閃光が広がった!
「グワゥゥゥゥ!」
その光をまともに受けたドドブランゴは
その場でのたうちまわった。
「よし!今だ!」
さらにポーチから刃先に毒の塗られたナイフを取り出し数本投げ付けた。
毒の効果を受けたのか少し動きがにぶくなる。
「一気にいくぞ!!」
距離を詰め、
その勢いのままに斬り付けた。
激しい爆音と共に刃が皮膚を貫通した。
「これならっ!」
そのまま刃を横に払った。刃は皮膚を切り裂き深紅の血しぶきを撒き散らした。
「グガァァァァ!!」
さすがの怪物も悲鳴を上げた。
「もう一度!」
剣を振りかぶった瞬間
ドドブランゴは体を大きくのけ反らせ、そのまま地面に倒れ込んだ。
「うわっ!」
その衝撃で周辺が揺れ、
態勢を崩した。
「しまっ……!!」
一瞬のスキに巨大な拳が彼を捕らえる。
大きく叩き飛ばされる。
「ぐっ!」
なんとか意識を保っていたが、全身が強烈な痛みで悲鳴を上げている。
ドドブランゴは勝ち誇ったようにのっしのっしとこちらに向かってきた。
狩りの終わり……
ドドブランゴは腕を振り上げた。
「グガァァァウゥゥゥ!」
怪物の眼球には刃が突き刺さっていた。
「……ははっ
怪物でもそんな悲鳴上げるんだな…!」
顔を左右に大きく振り、剣を一気に眼球から引き抜くとゴロゴロとその場でのたうった。
「………今なら
今しか……!」
地面に落ちた剣を支えにし、体を無理矢理起こす。
ボロボロの体を引きずりながらドドブランゴの前に立った。
「…人間も……
少しは……やるだろ!?」
剣をなんとか構えると
体重をのせ一気に頭部に叩きつけた!
気付くと部屋で寝ていた。
結局ヤツはどうなったのか?
倒したのか?
それとも逃げられたのか?
ベッドの横に立てられた剣を眺める。
「剣を構えろ……っか
父さんがよく言ってたな」
青年は目を閉じた。
数日後−
片目のドドブランゴの噂が彼に届いた。
青年は背中に剣を背負い雪山へと1人向かった、、、
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