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更新遅くなりました。すみません……。
かなり難産でした。この話について感想や評価もらえると幸いです。
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「先輩たちももうすぐ引退だな」
「ん?」
 放課後。体育館に向かう僕とハル。廊下をかなりのんびり歩いていた。
「引退って、バド部の先輩はまだまだ引退しないよ。うちは強いから」
「ぬわぁに!? てっきりどこの部も同じくらいに引退するのかと!」
 バスケ部は弱小だもんねー。
「うっせ! 俺らの代は言っとくが強いぞっ! 先輩が引退したら勝ちまくってやる!」
 試合に出してもらえない奴がよく言う。
「うっせ!」
 怒ってる風に言うけど笑っている。そう言えばハルが真面目に怒ったところ見たことないなー。
「あ、じゃぁ俺部室こっちだから」
 あ、うんバイバイ。
 ハルはテテテと走って行った。
「引退の時期かー。そう言えば先輩が引退したら……」
 考えたくないが、僕が部長をすることになるんだろうな。ヤだなー、普通にバドがしたいのに。
 どうも、あいさつ遅れたけど、久々の小山和人(コヤマ オヒト)です。時間が流れるのは早いねー。もう先輩が引退を始める部が出てくる時期だよ。ヤだなー、ほんとヤだなー、部長したくないな〜。なんだか周りの空気が僕がやるって感じだし、他にやりたそうな奴いないし、あーヤだなー。
 そう、普通にバドがしたいだけだ。部活は真面目にやってるだけで何故か強くなった。それだけだ。別に青春したくてバドやってる訳でもないし、モテたくて強くなったわけじゃない。そう、普通にバドがしたい。
 それなのに……。
 誰も僕の気持ちなんて無視だ。勝手にエースって呼んで、勝手に僕に期待して、勝手にやる気のない僕に失望するんだ。
「いつもこうだ……」
 ハルなら理解してくれるだろうか?
 んー……。
 ドン。
 うぉっ、視界がグルグル回る……。
 なんだなんだ、地球が逆回転し始めたか? いや、人とぶつかっただけだ。なんか最近よく……。
「ご、ゴメン」
「ゴメンなさい……。って、あ!」
 あ! と言った少女の声。僕はこの声の主をよぉーく知っている。
「み、美坂さん……」
「あ、苗字覚えてくれてるな、このヤロー」
 そう言って僕の胸をどついた。きゅん、ってなる。
 ってあれ? なんかキャラ違うような……。
「おかしいな。ハルがこうやったら和人君喜ぶって言ったのに」
 あの野郎、また面倒なことを。
「ん、なんか言った?」
 いえ、別に。美坂さん別に僕のこと君付けしなくていいよ。普通に呼び流してほしいな。
「そっかな? じゃぁ……。芳君がハルだから……。オヒ!」
 あ、いや、何かそれは尾ひれみたいだからちょっと……。
「じゃあオヒトって呼ぶ。よろしくオヒト! アタシのことも美里でいいよ♪」
 あ、あーうん。よろしく美里。
「うん、じゃあね! アタシバレー部のマネさんだから!」
 そう言ってタタタと走って行った。
 やべぇ、今すんごい笑顔になってる気がするーっ!
 ん? てか今ハルって言った? アイツいつの間に!?
 んー……。
 BOOKブック ONオン TRUTHトゥルース DROWINGドロゥウィング
 専用の紙とペンが手元に出現する。
 さてさて、紙に書くのは……クラブのマーク。
 僕のこれからの運勢、教えてくれたまえ。
 紙には、『中吉』と出た。
 クラブのマークはこれからの運勢をおしえてくれるのだ。
 中吉かぁ……。
 ま、許してやるか。僕にそんなこと言う権利ないもんね。
 そのままゆっくり僕は部室に向かって行った。

 *

 最後の公式戦?
「うん」
 僕の目の前のツンツン頭はそう言った。
「試合、出れるかも知れないんだ」
 マジ? やったじゃん。
「でも、出れるかどうかはまだわかんないし、それに……最後の試合だし」
 そんな思いつめた顔するなよ。バスケよく分からんけど、いつも通りにすれば良いじゃん。
「わかってる! わかってるけどぉ!」
 相変わらずネガティブだねー。とにかく元気出せ。
「うん……頑張るわ、ペンギン星人の名にかけて」
 意味分からん。
 この光景は昨日の次の日の朝練の前です。バスケとバドは練習場所が隣だから、今話せているのです。この話し方ウザいです。もう止めるです。
「小谷ー! 練習始めっぞ!」
「あ、ハイッ! じゃあまたあとで」
 先輩に大声で呼ばれたハルは慌ただしくコートに走って行った。
 んー……。
「和人、練習するぞ」
 ハイ。
 ……なんかやる気でないな。適当にしよ。なんか面倒だ。
 案の定、なんか今日は全然上手くいかなかった。スマッシュも微妙にコートに入らず、ヘアピンもネットにかかってしまう始末。
 先輩には「どんまい、午後練頑張れ」と言われたけど、午後練も悲惨な結果に終わってしまった。

 *

「疲れたっ」
 流れるように僕はベッドに倒れ込んだ。そして「んー」と唸る。
 ポケットで携帯のバイブがした。
 メールか。誰だろ?
【小谷芳】
 何用かな?
『明日試合なんだけど、暇だったら見に来てな★』
 よく見れば一斉送信している。
 大丈夫なんか? 試合出れるかわからんのやろ?
 んー……。
 ま、見に行ってやるか。
『おーけー。行くわ。何時から? どこで?』
 送信。
 大丈夫かなぁ……。

 *

 翌日。
 なんか今回場面転換多いね。
 その試合とやらを見に来てやっている最中です。今体育館の二階と言うかなんと言うか、学校にもよるけど、コートを上から見れるところ。なんて言うんだっけ? あーもうわかんなくてもいいや、とりあえずそこから見てるんだよ、バスケの試合。体育館中応援やらなんやらで盛り上がっている。
 そしてハル達は今まさにベンチで円になって色々話している。部長さんが手振りをつけながらあれこれいって皆真剣に話を聞いている。それで顧問の佐藤先生がマグネットを使って何やら説明を始めた。ホワイトボードの上であっちこっち動かしている(ここからよく見えるなー僕)。僕にはさっぱりわからないけどバスケ部の方々はみんな相づちを打っていた。……なんかすげぇ。
「あわわわ……体育館すごいあっつっ!」
 む? 左の方から聞き覚えのある声が……。て、うわっ!
「ふぃー、試合って二階で見ないといけないのかー。てかここ二階って言うのかな? まぁいいや。にしてもたくさん人が来てるなー。むぅ?」
 その娘と目が合う。
 騒々しい体育館の中のちいさな沈黙。
「み、美里」
「わぉ、和人じゃん!」
 なんで? なんでこんな所に!?
「昨日ハルからメール着たんよ。和人も?」
 う、うん。
「そっかー。本気で応援しなきゃね!」
 も、勿論。
「さっきから噛みすぎっ! まったくー」
 ご、ごめん。
「あはは、また噛んでるっ」
 ぐぅ……。
「ゾォオオォォオォオオォオォオッ!」
 うぉ!? すっげ。ハル達円陣組んでる。
「……かっくいぃ」
 え、なんか言った?
「い、いや何でもない。そら、応援の用意しよっ!」
 あーうん。
「ウォイッ!」
 ドン! と同時にみんな床を蹴った。
 うわー決まっちゃったよ、円陣。
「……かっくいぃ」
 え?
「何でもないよっ!」
 わずかな沈黙。
「は、始まるよ!」
 う、ウン。
 待てよ……。まさかハルの奴、この状況狙って……? してやられたな。
「我らが新庄高校(しんじょうこうこう)を応援せねばっ! ねっ」
 そだね。
 ブザーが鳴った。選手たちがコートに入ってゆく。ハルは……。ベンチ。まぁスタメンに入れないのは当然か。でも応援は応援。
 しんじょ……。
 と応援しようとした瞬間。
「尼城ーファイトォ!」
「尼高ファイトぉ!」
 ……。
尼城高校(あましろこうこう)ー!」
 これはつまり……。
 僕たちの周りにいる人が全員……。
 相手チームの応援者なわけか。
「反対側、行こうか」
 ……そうだね。
 
 *
 
「新庄ー!」
 試合が始まって、2ピリオドが終わった。つまり、前半が終了したということ。そして3ピリオドに突入。試合は36−28で我らが新庄高校がリードしていた。8点差かー。余裕じゃん。
 
 キュッ。
 
 その小さなバッシュのスキール音はなぜか響いた。この騒々しい体育館の中に。尼城高校の白いユニフォームがコートを切り抜けた。7番という数字だった半円型のラインの外側。いわゆる3ポイントラインの外側。その7番は相手をゴール下まで押しこんでフェイク。一気にそのラインの外に抜ける。味方のパスを受け取り、流れるように、なめらかにその人はシュートを打った。大きな弧を描き、一瞬体育館が凍りつく。
 
 パスッ。

 ゴールのネットが揺れた。審判が三本指を立てて両手をあげる。
 スリーポイント……!?
 36−31。
 会場が震えた。歓声が湧き上がった。相手チームが一気に表情を変える。
「あっ!」
 パスがカットされた。そのまま白いユニフォームがいっきに駆け抜けてランニングシュート。
 36−33。
 何やってんだよ、先輩達!
 そのまま点取り合戦になった。
 38−33。
 38−35。
 40−35。
 40−36。
 3ピリオド終了。
 40−39。
 43−39。
 44−39。
 44−41……。

 58−56。
 
 残り時間35秒! ボールは相手! 死守だ! 止めろ!
 ボールがポストに入った。ゴール入れられたらヤバい! 何とかしろよぉ!
 相手がターンをする! 先輩がジャンプ! よし、これで相手はシュート打てない。ブロックでき……。
 ボールがサイドからサイドへ割った。あの7番の数字が目に飛び込んでくる。目を、見開く。
「打たせちゃダメだぁ!」
 ハルの声だった。
 ボールは高く弧を描いた。まっすぐに、あのリングへと飛んでいく。体育館が、凍りつく。
 ネットが、揺れた。
 審判が指を三本立てて両手をあげる。
 58−59。
 残り9秒。
「早くボールをいれろぉ!」
 佐藤先生の叫び声。新庄の赤いユニフォームが交錯する。白いユニフォームがオールコートで当たって来た。なかなか味方にパスできない。やっとコートにボールが入る。その人に対してディフェンスが二人来る。
 8秒。
 激しいあたり。なかなかドリブルで抜けきれない。
 7秒。
「パスをつなげろぉ!」
 やっと味方にパス。
 6秒。
 その人が思いきりロングパスを出す。
 パンッ。
 ボールがカットされる。
 5秒。
 さらに新庄が転がったボールを拾う。味方に素早くパス。スリー!
 4秒。相手のディフェンスが咄嗟に反応し、ブロックに入る……!
 フェイク。ゴール下への味方へのパス。シュート……。
 激しい相手のブロックがお見舞いされた。
 やば、ボールが外に……。
 3秒。
 先輩が飛び込んだ。味方へ思い切りパス。ボールが一瞬浮く。先輩がボールを受け取る。ディフェンスが激しくて打てない。パスしようとする瞬間、3人が詰めてきた!
 あれじゃパスが通らない……!
 2秒。
 これは、奇跡? パスが通った。スリーポイントラインの外側。シュート。
 ボールがゆっくり、大きな弧を描く。
 会場が鎮まる。
 1秒。
 これは、入る……!
 ボールが、リングの上を跳ねた。虚しく、空中を舞う
 ブザーが、鳴った。
 会場が、熱と冷気に覆われた。世界が、真っ二つに割れたように。
 ベンチにいるツンツン頭は、そのまま顔を伏したままだった。
「ハル……」
 美里が顔をゆがめる。
「僕、帰るよ」
「え?」
「帰って、市民体育センターに行く」
 そう言い残して、僕は体育館という名の混沌の世界から抜けた。
 バド、本気でやろう。
 そう思ったとても蒸し暑い午後だった。
因みにこれからも更新が遅くなります。それでも最後までこんな作品につきあって頂けたら幸いです。


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