ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  日常賛歌 作者:しろくろ
第八話 虫除けスプレー飲むタイプ
 夏の日差しは度を越えてウザく、空を見上げては雪降らねぇかなと考える今日この頃。

「暑い」

 この季節、まだこの二文字を使ったことのない人はまずいないだろう。

「暑い、暑い暑い暑い!」

 このまま言い続けるとやがて『暑い』が『消えろ太陽』とか『失せろ二酸化炭素』とかになる。

 そのまま順調にプロセスをふんでいくと、最後には誰にともなく『あー、死んでくれねぇかなぁ、できるだけ苦しんで』とか言ってしまう。

「消えろよ太陽」

 あ、言っちゃったし。このまま行くとまずいな。いや待てよ。この際普段言えないことを暑さのせいにして……。

「カップリングはアルバムに入れないんじゃなかったの?カップリングだけのアルバム作ってどーすんだよ」

「てか新曲はまた一年たってから?」

「やっぱ最高だなぁ、ハンマー○○グ」

 とまぁ、これは作者の趣味として。

「この小説のタイトルさ、あの曲のパク『パクりじゃないです!参考にしたんです!』

「なんかやけに必死だね、奈央さん」

「誰かが叫んでる気がしまして」

 誰だろうね。そういえばこの子にも言いたいことがあったんだ。

「このクソ暑いにベタベタくっついてくるのは可哀想だと思う」

 誰が、誰にとかはもう察してください。

「そんなことないです。真央ちゃんはとっても喜んでるはずです!」

 その自信に満ちた表情はなんだ。

「そう思うならいいけど。別に真央さんの顔が日に日に殺気を帯び始めてるとか俺には関係ないしね」

 それはもう恐ろしい表情だった。俺なんか意味もなく頭下げちゃったしな。

「えっ……マジですか?」

「この前ね、虫除けスプレーは人間にどれほど効くかって質問された」

「……なんて答えを?」

「害虫みたいな女には程よく効くんじゃね?って」

「死ぬか生きるか死んだ様に生きるか、どれがいいです?」

「いや普通に生きるし。因みに今真央さんは部屋で虫除けスプレーを調合してるよ」

 なんか目がマジでとても近寄れる雰囲気じゃなかったけど。

「虫除けスプレーの調合っていったいなんですか!?」

「俺が知るか。そんなの真央さんに聞けよ」

 今聞きに行くと『完成品』をふっかけられるだろうけどな。



 その後真央さんが満足げな表情で持ってきた『完成品』。気味が悪い程に綺麗な紫色のソレは、なんか禍々しいオーラと刺激臭を放っていた。

「どうぞ奈央ちゃん。日頃の感謝を込めて私からのプレゼントです」

「あ、いや、気持ちは嬉しいんだけど……」

「遠慮せずに。さ、グッと行ってください」

「え、これ…飲むの?飲み物なの?これ」

 もはや虫除けスプレーじゃないしな。

 てぇかすげぇな奈央さん。どんなに暑かろうとあれだけの汗はなかなかかけない。
 まぁ冷や汗は別物なんだろうけどな。

「さっ、私からのプレゼントですよ?」

 プレゼントと書いてなんて読むんだ、ソレ?めちゃめちゃ勧めてるし。

「真央ちゃんからの…プレゼント…」

 息を一つ吐いて覚悟を決める奈央さん。そんな壮絶な覚悟も人生じゃなかなかないだろう。

「じゃあ遥人さん……その、行って来ます」

 おいおいそれはつまり行って来ますと書いて逝ってきますと読むんじゃ……。

 てか、こんなときに何故そんな綺麗な笑顔ができる?そして真央さん、その表情はもう恐怖しか感じとれないんですが……。

「ちょっ、ま、待てぇぇぇぇ!!」


 この後、俺も奈央さんと一緒に必死こいて頭をさげましたとさ。そして奈央さんはしばらく真央さんに近づき過ぎないよう自粛しましたとさ。


「ふふふー♪遥人さん、最近暑苦しくなくて快適ですよー」

 うん、奈央さんがいる前で言う言葉じゃねぇな。



 こんな一日
 そんな日常



+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。