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目が覚めたら何故か泥の魔女のシモベになってたんだが 作者:魚太郎

第一章 半獣人の狩人は俺と共に弓を引く

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ベルティーナの魔法

前回のあらすじ!!
 不 審 者 と 化 し た 泥 兵
「金が必要になったんだよ。ほら、お前らも知ってる通り今度うちの国で王選があるだろ?」

 ひげを生やした男は村長の近くでしゃがみニヤニヤ笑いながら話しかけた。

「王はもう決まったも同然だ、金、支持率、人格、どこを取っても我らのルーディー様が上!だから今から準備に取り掛かる必要がある!盛大に盛り上げてデンブラート王国で周囲との圧倒的な差を見せつけるために!!」

 俺は家の影に隠れながらその会話を聞いていた。あれ?この国の王様についてどこかで聞いたことがあるような・・・。

「なあ、この国の王様って今どうなってんだ?」

 後ろに一緒に隠れているベルティーナとバーニスの方を向いてに聞いてみる。

「今このゼントール王国では5年前に前国王ジーデル・アルヘンド様が亡くなったので、その腹違いの娘である二人が王様候補になっているんですよ。片方の姉はルーディー・アルヘンド様、もう片方の妹はスゥーデリアシィー・アルヘンド様です」

「二人・・・なるほど。前の王様が亡くなったからその二人が今王の座を奪いあってるんだな?」

「まあそうなんですけど・・・でも大差をつけてルーディー様の方が王になるだろうと言われています」

「ほーん、そんなにルーディーって奴の方が人気なのか」

「いえ・・・ただ権力を持っている人達がみんなで持ち上げているんです」

 するとそれを聞いていたバーニスも突然俺に向かってベルティーナと一緒になって言葉を発してくる。

「ルーディーは半獣人を差別したり各地に重税を課したりで自分達のことしか考えていないクソなんだ!!5年前にこの集落に来た時なんか俺らは無理やり料理を出させたのに一口も食べずに蹴り飛ばしたんだぞ!?」

「なので僕達半獣人の中ではルーディー様のことを良くは思っていない人が多いですね―――もしあの人に王を任せたらこの国は終わりという人もいるくらいです」

「ほー―――」

 悔しそうに地べたを踏みつける二人を後ろに俺はじっーとおっさんを見つめる。話を聞くだけでも確かにむかつく野郎だ、俺達も今後あいつらに見つからないように目立たないよう気をつけないといけないかもしれないな。そう考えた後、俺はさっきのバーニスの発言で気になっていた部分を聞いてみた。

「・・・ああそうそう。あとバーニス、なんでベルティーナをあの髭のオッサンや王国騎士団から隠そうとしたんだ?」

「・・・へっ?」

 バーニスは突然不意を突かれたかのように後ろに一歩下がった。

「いや、バーニスお前さっき”姉貴は出ていっちゃだめ!”って言ったよな?”姉貴は”っていうことはベルティーナはあいつらから隠さないといけない理由があるのか?」

 バーニスの顔の表情がゆっくりと驚きと焦りに包まれていく。

「えっ、いや・・・えっと」

 何かを言おうとしているのか口元が動いているだけで声が出ていなかった。何か言い訳を考えているのだろうか?けどそれを見ていたベルティーナは驚きもせず焦りもせずに何も問題なさそうに口を開いた。

「あの男はルーディーの右腕のゼンベラという男でして、最近様々な場所で魔女狩りを行っているんです」

「魔女狩り?」

「国民の右手を強制的に出されて魔女の印があるか調べられるんです」

「もし魔女だったらどうなるんだ?その場で処刑とか?」

「国宝と同じ価値があると考えているあの人達はそんなことするはずないです。魔女が連れて行かれたことを聞いたことがないのでどうなるかは詳しくはわかりませんが、どうにかして自分達の道具にしようとするハズです」

「なるほどねぇ・・・だから魔女であるベルティーナをバーニスは引きとめようとしたのか」

「そういうことになりますね」

「えっ!!ちょっとまって姉貴!?」

 バーニスは俺の発言に何故か唖然とする、それを見たベルティーナは頭を縦に振った。

「大丈夫ですよバーニス、この人―――泥兵さんには僕の魔法のことはもう話してるんです」

「へ、へぇー・・・そうだったんだー・・・」

 バーニスの俺に対しての睨みはさらに強くなっていく。しかしそんな中、俺はさっきの魔女狩りを聞いてあることを思い出してしまった。

「・・・デトラが」

「デトラさんがどうかしまし・・・あっ」

「「あああああああああああああああああ!!!」」

「ちょ、ちょっと!?二人とも静かにしてよ!!」

「あーめんどくせー!!」

 そう、俺はすっかり忘れていたのだ。あの鎧を着た騎士達に囲まれた中に泥の魔女で右手にマークがあるデトラがいることに。
 俺は叫んだと同時に地面に向かって頭を叩きつけた。

「ええ!!どうしたの二人とも!?」

「あの中にデトラさんという魔女がいるんです!!」

「へっ?」

 その時のバーニスは“姉貴体調悪いの大丈夫?”という顔だった。

「こ、こんな時に冗談やめてよー。魔女がこんな集落に二人もいるわけないじゃ―――」

「そういう反応になりますよね・・・僕も第三者なら絶対信用しませんし」

「魔女が二人もいるってそんなにレアケースなのか・・・いやそんな場合じゃねえ!」

 もしデトラがゼンベラにスカウトされたとして、勿論アイツならお前らの下になんざ付きたくないと言うだろう。だがゼンベラは途中から強行手段で連れて行こうとし、そこでデトラが魔女の力を使ってそれを阻止しようとする。そして俺達は将来の国の王の最有力候補のルーディーに目を付けられて逃亡もしくは戦闘、この集落を巻きこむことにもなる最悪な未来予想図が脳内で簡単に完成した。

「ど、どうにかしてデトラがあいつらにみつからないようにしねーと」

 俺は遠目で睨みつけるようにデトラを探す、しかし俺達が隠れている家の影からデトラと泥鴉を見るにはその間にいる半獣人の人達を移動させないと見えない絶妙な加減で隠れているのだ。

「くっそ、こっからだとちょうど反対側の一番奥にいるからギリギリ見えねえ!どうにかしてデトラを見れないものか・・・」

「じゃあ僕の出番です、千里眼を使いましょう!」

「おお、ありがとうベルティーナ!」

 俺はベルティーナに感謝の言葉を述べると包帯に巻かれた右手を目の前に出した。すると右手の甲から包帯を巻いているのにも拘わらずクッキリとマークのような物がうっすらと光って浮かび上がる。

「えっ姉貴!本当に魔女さまがこの集落にいるの!?」

「ええ―――いますよ―――」

 そういうとベルティーナは左目をつぶってだまりこんだ。

 ベルティーナの魔法”千里眼”は視界に映った生物の視界を乗っ取りその情報を自身へと共有できる能力であり、またさらに乗っ取った生物の視界にいる別の生物の視界を乗っ取ることも可能である。だが乗っ取れるのは10回という回数制限があり、さらに何を乗っ取っているのかはその生物の体が映らないとわからないらしいし場所も分かったりはしない、共有される情報も視界だけだ。俺はこの能力を初めて聞いた時に某ゲームの能力”視界ジャック”に少し似ているのかなと考えていた。
 戦闘特化ではないがこの魔法を上手く使えば狩りの際、左目で獲物の視界を共有しながら場所を予測し、こちらを見ていない隙に右目で狙って弓で射ることも可能らしい。

 ベルティーナはまず一番近くにいた騎士の視界を乗っ取り、そこからゼンベラが見えたので次にゼンベラの視界を乗っ取る。
 その視界にはしゃがんで上を向いた村長や怯えた集落の仲間が映っていた。

「・・・村長、みんな」

 だけど今の僕にはどうすることもできない。もし僕の存在がルーディーにばれたら集落の仲間に迷惑をかけてしまう、もし最善の行動を起こせるとしたら黙って見ているだけ・・・。

「―――――」

 こんなことを考えている時間はない、僕自身に今できることをするだけ。
 僕は泥兵さんの言葉を思い出しながらゼンベラの視界に映る範囲で私達から一番離れた半獣人に乗り移った。すると、その仲間の視界には帽子をかぶった白い髪の毛の少女デトラさんがいた。

「あっ見つけました!!」

「ナイス良くやった!デトラは今どういう状況だ!?」

「えーっとですね・・・顔が赤いですね、あとずっと上を向いて何か喋っています」

「えっ」

 デトラさんの様子がおかしい。顔が赤くてずっと上を向いてる・・・?あれ、もしかして―――

「―――酔ってる?」

「えぇ・・・!?こんな状態で!?」

 俺はその一言を聞いて焦る。いつも荒々しいアイツが酒で酔ったらどうなる!?容赦なく暴れはじめたりするかもしれないしもしかしたらそのまま連れていかれるかもしれないしもしかしたらそれ以外の行動をとるかもしれない。つまり全く予想できないということだ。

「ベネティクトや泥鴉はそこにいるのか?」

「え、ええと・・・泥鴉さんはいません。ベネティクトは焦った表情でデトラさんと村長を交互に見ていますね」

「・・・やべえよやべえよ」

 俺がそう言った次の瞬間だった。

「・・・おい?そこの変わった帽子をかぶったおじょうちゃんよぉ、ちょっとこっちに来いよぉ」

 静まりかえっていた広場にゼンベラの声が響き渡り、それと同時に持っていた銃の銃口をある方向に向けた。

 勿論銃口を向けられたのはボンヤリと赤い顔で空を見上げていたデトラだった。

「―――――あっ」

 ベルティーナはその状況に焦るが、真っ赤になったデトラを千里眼でただただ見ていることしかできなかった。
次回予告!!
 考えてなE
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