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破棄されない婚約

明けましておめでとうございます!!久々の休みなのでちょっと書きたいと思っていたものを書いてみました。
(わたくし)、ミリアリア・ハージェストは公爵家の息女でこの国の王子であるシュナイダー・ストライド殿下の婚約者です。しかしこの婚約もあと少しで終わりを迎えようとしています。それは結婚式をして真の夫婦となるからという良い意味からではありません。

「お嬢様、本当に宜しいのですか?」
「ええ、こんな茶番は終わりにしてしまいませんとね」

私は今日、シュナイダー様に婚約破棄を申し出るのです。
















「ミリアリア、君にしては珍しいな。なんの約束もなしに押し掛けるなんて」
「申し訳ございません。どうしてもお話しすべきことがございましたので・・・」

城の兵士に先導されて辿り着いた場所には、目的の人物であるシュナイダー様が書類片手に部下に指示を出していました。そして私を見つけると少し驚きながらも万人に好かれる笑顔を此方に向けたのです。シュナイダー様は私の言葉を聞くと部下に退出するように合図を送り、それを確認した彼等は私達に礼をとるといそいそと部屋の外へ出ていきました。シュナイダー様に飲み物は?と聞かれましたが、これからする話にお茶など不要と判断し静かに首を振ります。

「それで、話したいことってなんだ?」

備え付けの光沢のある革のソファーに優雅に腰掛けるシュナイダー様は、私の対面からそう尋ねます。私は深く息を吸い込んでそれを吐き出すように口を開きました。

「シュナイダー様、私との婚約を破棄してください」
「・・・・・・・・・・・・・は?」

長い沈黙の後に出たのはシュナイダー様の間抜けな声でした。そのお顔も普段のものとは違い口を大きくお開けになられていて可笑しく、笑ってしまいそうでした。

「すまないが聞き間違いかもしれない。もう一度、言ってはもらえないか?」
「ですから、私との婚約を破棄してください」

聞き間違いではなかった・・・と項垂れている様子に首を傾げます。暫くして復活したシュナイダー様は理由をお尋ねになります。

「理由、ですか・・・それはシュナイダー様が一番良く理解しているのだと私は思っているのですが」
「・・・分からないな」

本気でそう言っていることに驚きと同時に苛立ちが沸き上がります。

「シュナイダー様は我が家の暗部についてご存知ですか?」
「暗部?ああ、確か昔公爵家の人間に命を救われ、それから公爵家に暗部として仕えるようになったんだったか?」
「ええ・・・我が家の暗部はとても優秀で色々なことを調べて教えてくれるのです。シュナイダー様、貴方のこともです」

俺のこと?と首を傾げるシュナイダー様。私はコクリと頷き再び口を開きます。

「シュナイダー様は最近、ある令嬢に御執心だと・・・わざわざその者のところへ出向いては親密そうに話をしていると。我が家の暗部は優秀且つ嘘を言いません。主人の為を思っても本当のことしか口にしません。だから私は暗部の言葉を信じています。シュナイダー様、婚約者がいるにもかかわらずそのような行為をしたということは私との婚約に不満があるのですよね?」

あからさまに動揺し目を泳がせる姿に私の気持ちはどんどん冷めていきます。婚約し、いつかは夫婦となってもいいと思うくらいには好きだと思っていたけれど、それは公爵家の人間としての義務がそう錯覚させたのではと思い始めました。

「真実は分かっているのです。ですから弁明をしようとなさらなくて結構ですよ。仕方がありませんわ。私達の婚約など所詮政略的なものですもの。好きになれずに他に唯一を見つけてしまわれるのは自然の理です。ですが私は他に心のある方と夫婦になるなんて御免ですわ。政略的なものでも、私を好きになろうと努力してくださる方のもとへと嫁ぎたいのです」
「ちがっ・・・あい、彼女とはそういのではないんだ!詳しくは言えない・・・っだけど違うっ!!信じてほしい」

どうしてそこまで必死なのか・・・大人しく身を引くと言っているのですから有難いと受け入れてくださればいいだけなのです。

「信じる、ですか・・・理由も言えず、ただ信じろと言われて素直に頷ける人などおりませんよ。シュナイダー様も、もし私が親密にしている殿方がいらっしゃって、その方とはなんでもないから信じてほしいと言われても頷けないでしょう?裏切られた、と思う方が当たり前だと思いますの」
「・・・・・っ」

なにも言えず唇を噛み締める様子を眺めて、私はこれが最後と思うままに話しました。

「シュナイダー様、婚約を破棄しても私はハージェスト公爵家の一員として生涯王家に忠誠を誓うと宣言致しますわ。ですから私との婚約に囚われず、本当に好いた方と結ばれてください。相手の方もシュナイダー様が本当にお好きであれば王妃教育にだって耐えてみせるでしょう」

すべてを言い終えると私はソファーから離れ扉に向かって足を進めます。そしてノブに手を掛けたところで身体半分だけ振り向き、硬直したままのシュナイダー様を見ました。

「父には帰り次第このことを伝えます。シュナイダー様も陛下にお伝えになり書類の準備をお願い致しますね」

こうして私とシュナイダー様の婚約期間は終わりを告げました。
















そう思っていたのですけれど・・・












「どうして此処にいらっしゃるのですかシュナイダー様」

あれから一ヶ月も経たずして何故か私の前に現れたシュナイダー様。

「もしかしてもう申請が通ったのでしょうか。やはり王族の婚約は重要ですから早く次へということなのでしょうね」

それなら納得だと思ったのですがどうやらシュナイダー様の様子から違うように思えます。

「漸く、一段落したから会いに来た。すまないが君との婚約は未だ継続中だミリアリア」
「どうしてですの?まだ申請が通らないのですか?そこは王族の特権を使ってしまえば直ぐですのに」

私がそう言えばシュナイダー様は首を振りました。

「そうじゃないんだ。婚約破棄をしたくないから書類自体作成すらしていない。公爵にもちゃんと説明して・・・理解してもらった」

お父様、私が話したあとは特になにも言っていなかったから了承したものだと思っていたのですけれど。そしていつお父様とお話されたのかしらと首を傾げます。

「君にもきちんと説明する。だけどその前にきちんと言っておきたいんだ」

なにを?と心の中で思っていると突然シュナイダー様が膝を曲げ、まるで絵物語の王子様のように傅いたのです。

「ミリアリア・ハージェスト公爵令嬢。貴女はこの婚約は政略的なものだと思っているようだが真実は違う。五年前、初めて貴女が登城したときのあまりの愛らしさに、その・・・一目惚れをしてしまった。貴女と結婚したいと陛下に願い出て、貴女を勝手に婚約者にしてしまった。だけどそれに関して後悔したことはない。貴女の気持ちが俺になくても傍に置いておきたいと思うほど、貴女のことが好きで仕方がないんだ」

ちゅっと指先に愛を請うように口付け上目遣いで此方を見つめるシュナイダー様に頭がクラクラとし視界が暗転します。意識がなくなる直前に聞こえたシュナイダー様の焦った声と私の身体を包み込む逞しい身体の感覚に、一度は無くなったはずの暖かい気持ちが再び甦ったような気がしました。
今回はミリアリア視点で進んでいますがこの続編としてシュナイダー視点で完結させたいと思います。

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