♯浴衣
「ごめんねー」
蘭が電話を終えて帰ってくると、2人は一緒に米洗いをしていた。
「何・・やってんの?」
「莉乃、米洗いも知らへんねん!おかげで米、流しそうになってしもて・・」
「あ、そう・・・」
夕飯を作り始めた時から思っていたが、ここまで莉乃が料理下手とは思っていなかった蘭は、その2人の光景を面白そうに見ていた。
「そうそう!さっき園子から電話があってね、あ、園子って言うのは私の幼馴染で、鈴木園子。それで、皆で花火大会に行かないかって」
「花火大会?」
2人は声を揃えて言った。
「良いやん!あたし、絶対行くっ」
「うちもうちも!祭り行事大好きやもん!」
「そう言うと思って、行くって言っといたよ!」
そして、3人は料理を放棄し、それぞれの支度を始めた。
蘭は父親に、2人は平次に電話を掛けた。
「平次とコナン君、今から帰ってくるって!」
「お父さんにも直ぐ帰るように言ったけど・・ 本当に大丈夫かな・・。」
蘭は心配そうに呟いた。
しかし、そんな心配も直ぐに忘れたように2人に提案した。
「あ、そうだ!2人とも浴衣着ない?」
蘭の提案に、2人は軽く顔を見合わせる。
「でも・・蘭ちゃんの分あるん?」
「私は大丈夫!お母さんが昔着てたの、貰ったんだ。和葉ちゃんは私と同じくらいのサイズでしょ? 莉乃ちゃんはちょっと小さいから、昔私が着てたの着れると思うの」
蘭は笑顔で答えた。
少し迷ったが、和葉は直ぐに浴衣を借りる事になった。
「莉乃はどうすんの?」
「どうしよっかなあ・・。やっぱり良いわ。うちは。」
莉乃がそう断っても、蘭が強く勧めるので、結局3人とも着る事になった。
平次とコナンが帰る頃には3人とも、支度が出来ていた。
「おかえりー」
和葉と蘭が声を揃えて言った。
2人はその姿を見て少し躊躇ったが、直ぐに返事をした。
「ちょっと蘭ちゃん!? やっぱりうち浴衣着ぃひん!」
バタバタと階段を駆け降りる音がして、その直後開いた事務所のドアから入ってきたのは莉乃だった。
蘭の中学時代の浴衣の裾を持ち上げて、息を切らしている。
「・・・って何であんたおるん?」
冷静に戻り、平次を見据えて驚いた調子で聞いた。
平次はそんな莉乃に何の態度も示さずに
「おったらアカンのか」
と絶妙なツッコミを入れた。
「いや・・別にそんなんちゃうけど。」
莉乃は横を向いて返事をした。
それに続いてか、平次もコナンと何かを話し出した。
「莉乃ちゃん、浴衣は右前だよ?」
「っていうか、浴衣着て走んのはどうかと思うねんけど・・」
和葉と蘭の指摘もあり、莉乃は再度2人によって着付け直される事になってしまった。
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