♯疑惑
その夜、3人で夕食の準備をしている時だった。
探偵事務所の電話が鳴った。
「ごめん2人とも。お父さん居ないみたいだから、ちょっと出てくるね」
小五郎は、この煩い集団に耐え切れなかったのか、何所かへ行ってしまっている。
なので代わりに蘭が電話に出た。
「蘭ちゃんって本間しっかりしてんなあ。とても同い年には思えへんわ」
自分が切ってボロボロになった茄子を不満げに見つめて莉乃は言った。
隣を見ると、蘭が綺麗に切った人参。
そのまた隣では、和葉が手際よく野菜を炒めている所だった。
「なあ莉乃・・ どう切ったらそんな切れ目いっぱいになるんか、あたしはそっちが気になんねんけど」
「良いやん!炒めたらどうせ形なんて分からんくなるやろ!!」
「全然良く無いと思うけど・・」
和葉は冷静にツッコミを入れながらも、調理を進めて行く。
莉乃でも出来そうな事を厳選し、最終的に米洗いを彼女に任せた。
「なあ和葉・・ あんたと服部ってもしかして・・・」
莉乃は途中で言葉を切った。
「何?」
「・・・やっぱ何でも無いわっ 気にせんといて」
「何やねん、ちゃんと言いやー!」
「だから何でも無いって言ってるやろっ」
莉乃は無理に笑顔を作った。
きっとこの事を、和葉は見通しているのだろう。
あんたと服部ってもしかして・・・
両想いなん?
言いたくても言えない言葉が ずっと莉乃の頭に焼き付いていた。 |