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きらきら星
作:あみ



♯哀しげに輝く星


その夜…というか深夜。
2時頃に、莉乃はふと目を覚ました。
隣では蘭と和葉が静かに寝ている。
自分の反対側の隣を見ると、居る筈の哀が何所にも居なかった。

その部屋を出ると、窓の傍に一つの影を見つけた。
それが哀だという事は直ぐに分かった。

「哀ちゃん…?」

出来る限りの小声で呼ぶと、哀は座ったままゆっくり振り返った。
哀は持っていたノートパソコンを閉じると、莉乃と目を合わせた。

「何やってるん?」

莉乃はその横に座ると、同じ目線で空を見上げた。
珍しく、二、三個星が見える。

「東京でも星って見えるもんなんや…。大阪じゃあ、あんまりやから」

「今日は珍しい方よ…」

そう言うと、哀は隣に座る莉乃に遠慮しながらも少しだけ下がった。

「あ、せやせや。哀ちゃんに、これあげようと思て…」

渡したのは、さっき祭りで見かけたビードロだった。
哀は其れを見てかなり驚いた。

「え…どうして……」

「欲しかったんとちゃうん?」

「別にそういう訳じゃ…無かったんだけど……」

「まあ貰っとき!プレゼントなんて、何もろても嬉しいんやろ?」

「…ええ、そうね」

哀は其れを嬉しそうに眺めると、月明かりに翳して色を映してみた。

「でもこんな物いつ…」

「皆と別れてから買ってん。哀ちゃんには内緒にしとこと思ってたし」

「…だから別行動を?」

哀の質問に、莉乃は躊躇いながらも答えた。

「それは…また別の事で……」

「さっき話していた事ね」

余りにも軽く哀が言うので、莉乃は少しむっとした。
それから直ぐ、何処でそんな事を知っているのか、其れを気にした。

「御免なさいね…さっき小学校の所で言ってるの…聞いてしまったの。」

「……どっから?」

「何かした?って貴女が聞いてた所しか、私は聞いてないから…安心して」

そう言われても安心出来るものじゃなかった。
幾ら大人っぽいと言っても、小学生にそんな会話を聞かれるなんて、あんな所でするんじゃなかったと莉乃は後悔した。

「良いわよね、友達って」

「……え?」

「何でも言い合える友達って…ちょっと羨ましい」

「哀ちゃんにもおるやろ?ほら、コナン君とか」

「江戸川君…確かに何でも言い合えるっていうのは、当たってるかもね」

クスっと笑って、哀は呟く様に言った。


星と月がとても綺麗に見える。
窓から、二人はただ其れだけを眺めていた。

「哀ちゃん、そろそろ寝た方がええんちゃう?夜行性てうても…肌にも悪いで?」

「寝ようと思った時に、貴女が来たからね…もう目、覚めちゃってるわ。でも良かったかもね。こんな綺麗な夜空…此処じゃ滅多にないから。」

そう言って哀は再び空を見上げる。
其れに莉乃も続いた。
横に座る哀の横顔を、莉乃はじっと見つめた。

「哀ちゃんって、小学生やのにめっちゃ大人っぽいよなあ…」

「…え?そうかしら?」

悪戯っぽく莉乃に返事をすると、哀は軽く微笑みを零した。
莉乃はまた哀の横顔を見て、クスっと笑う。

「…何か?」

「ごめんごめん!哀ちゃんって、本間似てるなって思って」

一度莉乃は言葉を切った。
その続きの言葉が出てくるまで、哀は黙っていた。

「……うちの妹に…」














「うちより大人っぽくて、何時でも堂々としてて… 本間、そっくりやわ」

そう言って、莉乃は哀に微笑みかける。
哀は其れに気づくと、すぐに視線を逸らした。

「あら、私、堂々となんてしてるつもり無いけど?」

「でもそう見えんねんって」

「…そう。有難う」

哀は再びパソコンを起動させた。
少し時間が掛かり、哀は爪でパソコンの側面を叩いた。

「…でもうちの妹……二年前に死んじゃってんけどな…」

哀は少し怯えたように莉乃の方を振り返った。
彼女がパソコンを立ち上げている間に、莉乃はベランダに出ていた。

「……あら…奇遇ね」

哀はふと微笑みを零して莉乃の隣に立った。
そんな彼女を不思議そうに莉乃は見ていた。

「…何が?」

「何でも無いわよ」





「(…ま、お姉ちゃんと貴女じゃ、似ても似つかないけどね……)」





少し星を眺めて、二人は部屋に戻った。
それから哀はさっき起動させたパソコンを閉じ、元寝ていた場所へと莉乃と向かう。

「おやすみ…哀ちゃん」

「…おやすみなさい……」













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