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10年ぶりに会う山本は日本最大の暴力団『四矢組』の5代目になっていた。どんな要件で聡を訪ねてきたのか?
ヤクザとバーテンダー
結局・・・・・
北見も今野も30分程山本と談話した後帰っていった。



山本は決まったスコッチしか飲まない男で、『フェイマスグラウス』(ブレンデッドウイスキー)一本やりで、お付きの護衛は外で待っている為に他に来客もなく(恐らくは怖くて入れない?)


黙って飲み続けている山本に話しかける事すら出来ず、聡は黙って見ていた。




「大同組ってのは・・・・」

いきなり話し始める山本に慌てて返事をする。

「・・・はい。」

「最近までは弱小の小さな組だったんだが・・・・うちの傘下に入った途端に勢力を延ばしてきて・・・いまじゃうちの下では風神会に次ぐ組にまでなった。」

「そうなんですか・・・・」

「組長はイケイケで鳴らしたくちだが、若頭に大野ってのがいて・・・・こいつが金を産む才能に長けててな。ここいらも古い組から大同に移したばかりだった。」

「そう・・・みたいですね。」

「・・・・で、だ。お前なんで俺に相談しねえ!?北見にでも今野にでも連絡は出来るだろう。」

「・・・・・北見さんにも言いましたが・・・俺は堅気です。堅気の俺が、こんなつまらない事で風神会や山本さんにご迷惑かける訳には・・・」

「・・・・まあ、お前ならそう言うわな!くっくっく。」

それから山本はしばらく黙ってグラスの残りを一気に煽った。

「まあいい。一応お前のところと下の岩堀んとこは俺の古いなじみだと大同には伝えてある。あとは大野次第だろうな。口は出さないから好きにするがいい。」

そう山本は言った。

「ありがとうございます。」











ドアの外まで見送ると、

「別に組に顔出せとは言わねえ・・・たまには連絡してこい。つまらねえ用事でもいいから。」

「ありがとうございます。・・・・オヤジ。」

「おう・・・じゃあな。」






その日はそれから一組も来客はなかった。
(まぁ・・・・仕方ないよな・・・今日は。)














それから二日がたって、大野が一人で店に来た。3:00ぴったり。客足が切れるのを見計らっていたようだ。

「お待ちしていました。」

「へっ・・・待ってなんかいねえだろう?」

「・・・いえ。お約束でしたから。」

「・・・・ったく。その落ち着き方は確かに尋常じゃねえよな。」

「そうですか?だって、あんたがたの商売は、俺達みたいな堅気にはよっぽどの事がないと危害を加える事はないでしょう?」

「そこからして違うんだよお前さんは・・・普通にそんな事ヤクザに向かって言えねーんだよ本当の堅気はな!」

「・・・・で?今回のミカジメの件はどうなるんですか?」

「取れる訳ねーだろうが!うちの親元の5代目の息子同然の舎弟と義兄弟になった『堅気』のやってる店からなんてよ!?」

「・・・?じゃあこのビルのほかの店からは?どうするんです?」

「お前さん次第なんじゃねえの?」

意地悪く大野はほほ笑みながら、そう振ってきた。おそらくこのコネクションを聡がどこまで使ってくるのか・・・・・見極めたいと思ったようだ。



聡はというと、もう腹は括っていた。『毒を喰らわば皿までも』の心境だった。

「本当はこういう反則は使わないつもりだったんですが・・・使ってしまった以上ついでにわがまま言わせてもらうなら、この界隈でのショバ代は取らないでほしいんですけど・・・」


以外な言葉に大野は一瞬あっけにとられた顔をしていたが・・・

「このビルじゃねえのか?!お前言うに事かいてこの界隈たあ、どんだけ厚かましいんだ。」

「そうはいいますけど、因幡組の時は取られてなかったものを今度の組は取るってのは、大同組にとってもあんまりいい事じゃないんじゃないですか?ミカジメはないけど、因幡組は困ったときは助けてくれてたと聞いてますし、その代り、組のシノギの邪魔はここいらで商売してる奴は誰もしてませんでした。そういう不文律が出来上がってるのを崩すって言うんなら、俺も利用するもんは利用して・・・・これからも口出させてもらいますよ。」

確固たる決意を表情にだして聡は大野を見つめる。

「ちっ、わかったよ!!お前なぁ、ヤクザ脅すような奴は俺は絶対『堅気』とは認めねえからな!くれぐれも俺のシノギの邪魔だけはするなよ!」

諦めた顔で大野はそう要求した。

「どんなシノギなんです?」

「なんでそんな事までお前に聞かれなきゃならねえんだ!?」

「ここいらは若い奴が結構溜まってるんです。シャブだけはやめて貰えませんか?」

「あのなぁ・・・昔はどうかしらねえけど、四矢組は今日本で一番でけえ代紋になってるんだ、麻薬の類はご法度なんだよ!だからミカジメなんて古臭いもん集めてるんだろうが!」

「ああ、そうなんですね。」

「けっ・・・もうこの話はしまいだ!ビールくれ!」

「かしこまりました。なんにしましょう?」

「ギネスなんて、おいてないだろう?」

大野には試すような顔がありありと浮かんでいたが・・・

「ありますよ。お待ちください。」

ギネスを銅製のカップに注ぎ、大野に出す。

「洒落たもんで出すんだな・・・」

「ビールや軽いカクテルはより冷たく飲んで頂きたいので、ちゃんとしたバーならどこでもやってますよ。」

「ふーん・・・そうなのか。俺は初めてだな。この辺りの店はみんなか?」

「どうでしょう?・・・少なくとも自分が修行した店やこのビルの店のオーナーはみんなこの仕事に誇りをもってやってますから・・・手は抜きません。」

「・・・・なるほどな・・・・・・・なあ、一つ聞いてもいいか?」

改まった顔で大野は質問があるという。

「なんです?おれが応えられる事ですか?」

いきなりで驚いた聡は言葉を選んだ。

「なあに・・・大したことじゃねえ。・・・・お前、なんでヤクザにならなかった?」

以外過ぎる質問にちょっと考えたが・・・











にっこり笑ってこう答えた。

「簡単ですよ。バーテンダーのほうがヤクザより『かっこいい』からです。」

「・・・はっはっは・・・そうか・・・そうかもな。」









大野と聡は旧知の仲のように、夜も更けるまで話し込んだ。






昔とった杵柄・・・・

やり手ヤクザの大野も聡には一本取られたようだ。
さてこれからBARsaintwaveにはどんなトラブルが待ち受けているのやら・・・・


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