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天使の独り言 シリーズ ~Season 1~

訪問者2009冬

作者:え.うれん
 この世界には、僕の他にも天使はいるけれど、中々出会うことってないんだよね。
今日もさ、いつものように何となくビルの上で、夜の景色を眺めていたんだ。
そしたら、冷たい手の風が僕の髪をすいていったその後ろから、何かが近づいてくる気配を感じたんだ。
振り返らなくても、それが鳥じゃないって事は解ったさ。 それに、振り返るより先に、低い声が聞こえたからね。
「こんな街を好んで住む天使が居るとは珍しいな」
 声の主も僕と同じ天使。 だけど、向こうの方が体が大きいせいか、僕が何だか子供っぽく感じて萎縮しちゃう。 着ている布の服だって同じなのに、向こうの方がたくましく見えちゃうし。 でも、ここは僕のホームグラウンド。 胸を張って、対等にお話しなくちゃね。
「そうかな? 僕はこの街が大好きだよ。 それにしても、僕以外の天使に出会うなんて久しぶりだ。 新しい住家を探してるの?」

「ああ、そうさ。 色々この世界を見てみたくってね。 この街が好き、か。 俺はこの町の、昼の空を見た時は驚いたよ。 こんなに汚れた空を見たのは初めてだったからな。 ……けれど、こうして見ると、この街の夜は悪く無いな。 ただ、昼の汚れを夜が隠しているだけかもしれないが、この無数の光は本当に綺麗だよ。 いつまでも見つめていたいくらいに惹きこまれる。 そうだな、まるで夜に咲く花、だな」
 そう言って、僕に目を向けた彼は、優しい目をしてた。 僕も、久しぶりに話し相手が出来て嬉しかった。
「夜に咲く花かぁ。 確かにそうかもしれないね。 これから僕もそういう風にこの景色を見ようかな」
 朝になれば消えちゃう花、だもんね。
それから、二言三言彼と話をして、お別れすることになった。 あっという間の、短い時間の出会いだったけど、お別れは寂しい。 けれど、彼はそういう小さい別れをたくさん経験してるんだな。 別れ方を知ってるみたい。 サバサバしてる。
「さて、今日の寝床を探すとするかな。 この街じゃ落ち着いて眠れそうにないけどな。 明日になったら、また違う街へ旅立つよ」
「良い住家が見つかるといいね」
「ああ、君も、元気でな。 そんな寂しそうな顔しないで!」
 ポンポン、と肩を叩かれた。 ありゃりゃ、顔に出ていたみたいだ。
「この街には君の仕事がいっぱいありそうだ。 ……それこそこの花と同じ数だけ、な。 また手伝いに寄るよ! その頃には今の寂しさなんて、綺麗に忘れちまってるさ。 じゃあな!」
 そんな最後の言葉を言い切る前に、風を捕まえてあっという間に彼は消えて行った。 口元は笑っていたけれど、彼もどこか寂しそうだったな。
 良い住家がが見つかるといいね。 ハラハラ落ちる羽根は、花びらみたいだったよ。 なんて、もう届かないけど。

このトウキョウの街は好きだけど、そうさ、良いとこばかりじゃないさ。 昼間の汚れを夜が隠し、そこに咲く花も全てが美しいわけじゃない。 光で獲物をおびき寄せる、怖い罠の花だってあるのさ。
 それを知ってて、引っ掛かっちゃう人間をこうやって遠くで見つめながら、僕自身も、この街自身に魅了されている。 そんな自分に笑いながら、旅の天使の消えていった空に語り続けていた。

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